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tonguing

作者: 三桝隆一

カラスが鳴く


とばりという名の人生の分岐点を間違えたのか、午前4時のコンビニ飯と、

TV画面に向かう、42歳

 その42歳という年齢と、生活

人生という命題


そのすべてを、親に、責任という、

命の説教に


 甘えという欺瞞に満ちた人生を肯定するだけの、母の出産という、愛を



    


 

すべては再生の話しである

                    


       (パパは42歳から、頑張りました)

 54歳の冬、竜太郎は泣いた


42歳の夏

竜太郎は、広島でも有名な、基町の土手に居た


42歳まで、毎日の様に、深夜までゲームに向かい、延々と

、それは、時間と自分の身体への対峙の如く向かう

(なんだよ、弱えなあ)

(レベル3と、レベル4の差ってなんだよ)

(結局それか?レベル7って結局それか?)

延々と、毒づきながら、コンピュータに向かう

(所詮、ウチじゃ、コンピュータだよ)

巷のネット回線など、竜太郎には縁が無い


(貧乏底無し)

そういって、コンビニ飯に向かう


カラスが鳴く17時


土手から川を眺めながら。向こうに見える景色を視ながら…


それは、ストリートファイターの飛んでいく飛行機を見ながら、外を感じたくなった

その時


 いつもは、11時に、8時には用意された朝食を、冷えたそれを、食す

その日は、8時にダイニングに出て、温かい食事を口にした


母は、動じなかった

息子が27歳の時に、父はこの世を去った


癌だった



竜太郎は、21歳から25歳まで

低所得労働をしていたが、仕事の価値に悩み

仕事を辞めた


父親は、生命保険金を残し、この世を去った

母親は、息子が8時にダイニングに訪れた朝


何も言わなかった

ただ、息子の変化を祈った

腐りきった身体を確かめながら、23時には

疲れた身体を抱えて、眠りについた


(25歳から、何を?)

職業安定所で、竜太郎は、その日、初めて自分の過去を振り返り

(何もせず、家に居ました)

と、職員に答えた

(まあ、あの機械でしたい仕事探してみてください。みんな、似たようなもんですよ)


職業安定所の職員にとっては建前だが、竜太郎にとっては、優しい言葉に聞こえた

その日は、少しだけ、求人の様子を機械で見て、また、土手に向かった



 竜太郎は、その日、自分の住んでいる土地を、自転車で徘徊していた

(みんな、なにしてんのかな)

小学生の時、好きだった女の子の家の前を通り過ぎてみる


 近所のお婆さんが、優しい顔を向ける

なんとなく、外に出ることを心がけているが


することといえば、こんなことである

 お婆さんの優しい顔が、逆に自分の行動の

不安に向く

 小学校の校門の前で

(入るのは流石にまずいか)

 と、呟き、家路につく

まだ、オレ、ガラケーか

 スマートフォンの方がいいのかな

 でも、友達もいないしな


昔から、形から入るのが苦手だった


母と夕食をとる

今日は、肉じゃがと菜の花のお浸し・かまぼこ

 母は、テレビと夕食をともにしながら、竜太郎にかける言葉を探している

 テレビに映る、芸人、まえだまえだ、を視ながら

(あなたもこんな時があったわね)

と、声をかける

竜太郎は、

(こんな有名じゃないよ)

と答えるが、母は、

(小学生なんて、似たようなものよ。みんな可愛いんだから)

 竜太郎は

(歳、とっちゃったね)

そう答えた


ビル風を感じる朝。

 職業安定所に向かいながら、会社に向かうサラリーマン、OLを視ながら

この人たちは、何を感じながら、生きているんだろう、と疑問を感じる


 そう、自分が仕事を辞めたときも似たような思いがあった


 ただただ 生きる価値 人生


母親が

(あなたも、スマートフォンに変えてみれば?SNSぐらいやってみなさいよ)



ありがとうございます


 竜太郎は、ソフトバンクを後にして、スマートフォンを手に入れた



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