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【コミック5巻制作中】クラスメイトの元アイドルが、とにかく挙動不審なんです。  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第八章

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289話「お着替え」

「お待たせー!」


 更衣室から、しーちゃんの元気な声が聞こえてくる。

 学校でも二大美女と呼ばれる二人だ、何かあってはいけないからと俺が二人の付き添いをし、荷物は孝之が見ていてくれている。


 落ち着いた海ではあるが、それでも去年のプールの時のように二人がすぐにナンパされないとも限らないからだ。



「じゃじゃーん!」

「ごめんね、待たせちゃったよね」


 水着姿を見せつけるように、腰に手を当てポーズを取るしーちゃんと、申し訳なさそうに更衣室から出てきた清水さん。


 そんな二人の水着姿に、もうずっと一緒にいる関係ではあるけれど、やっぱり目のやり場に困ってしまう。


 まずはしーちゃん。

 今回は、アイドル時代のイメージカラーでもある白のビキニを選んでおり、元々透き通るように白い肌と水着がよく似合っている。

 制服姿ではあまり目立たないが、こうして見ると出ているところはちゃんと出ていて、改めてこんな美少女が自分の彼女であることが信じられなくなってしまうほど美しい。


 そして次に、清水さん。

 今回も事前にしーちゃんと水着を選んできたそうで、今回はピンクの可愛らしい水着に腰にはパレオを巻いている。

 その姿は美少女そのもので、ちょっと大人っぽくも感じられる。

 これは孝之が見たら、きっと大喜びすること間違いなしといった感じだ。



「二人とも、よく似合ってるよ」

「本当? ありがとね」


 俺は心の底から素直な感想を二人に伝えると、二人とも嬉しそうに微笑んでくれた。

 こういうのは、どれだけ照れ臭かろうとも素直に褒めた方が良いのだ。

 良いものは良いし、褒められて嫌な人なんていないのだから。

 そんなわけで、俺は水着姿の美少女二人を連れて孝之のもとへと戻ることにした。


 ここはファミリー層がメインの海。

 しかしそれでも、二人の水着姿に早速引き付けられるように視線を向けてくる人がいる。

 俺は改めて気を付けないとなと気を引き締め直しつつ、前回のプールの時同様に全力でフラグを折っていくことを心に誓うのであった。



 ◇



「おぉ! 二人ともよく似合ってるな!」


 二人の水着姿を見るなり、俺同様に素直な感想を口にする孝之。

 やはりモテる男というのは、ナチュラルに相手のことを褒められる男なのだろうと納得する。

 そんな孝之の反応に、大成功というように嬉しそうに手を叩き合うしーちゃんと清水さん。


 というわけで、女性陣の着替えは無事に完了したから、お次は俺達の着替えの番……だけれど、このまま二人で着替えに行っては女性だけをこの場に残してしまうことになる。

 全力でフラグをへし折る覚悟の俺は、先に孝之一人で着替えに行ってもらうことにした。


 最初は不思議そうにしていた孝之だが、こちらを見ている男性の姿に気が付くと、納得するように頷き一人先に着替えに行ってくれた。



「……ねぇたっくん、お願いがあるんだけど」


 身体に日焼け止めクリームを塗っていたしーちゃんが、少し照れ臭そうに声をかけてくる。

 水着姿、そして手には日焼け止めクリーム。

 この条件が揃えば、あとは何を言われるのか大体想像がついてしまう……。



「せ、背中にクリーム、ぬ、塗って貰える、かなぁ!?」


 お願いする側も恥ずかしいのだろう、久々の挙動不審が飛び出すしーちゃん。

 隣で一緒にクリームを塗る清水さんは、そんなしーちゃんを見て微笑んでいる。


 というか、女性二人でクリームを塗っているのだ。

 お互いに塗り合えば、別に俺は必要ないのでは……と思っていると、それを察したように清水さんが口を開く。



「わたしは、あとで孝くんに塗ってもらうから」


 ……なるほど、これはきっと女性陣の今日の決定事項なのだろう。

 であれば、もう俺もそれに従うしかなくなる。



「分かったよ、しーちゃん後ろ向いて」


 俺はクリームを受け取り、しーちゃんに背中を向かせる。

 そして、そっとクリームを手に取りその白い背中へ塗る――。



「ひゃ!?」

「ご、ごめん! 冷たかった?」

「う、ううん、へ、平気です! つ、続けてください!」

「は、はい!」


 何故かお互い敬語になりながら、俺は言われたままクリームを再び塗る。

 もう声は上げないが、触れる度に少しだけビクッとするしーちゃんに、俺もドキドキしてきてしまう。


 でもこうして見ると、本当にシミの一つもないように思える綺麗な白い肌。

 この肌の美しさを守るためにも、恥ずかしがって塗り漏らしがあっては言語道断だ。


 今だけは、自分はクリーム塗り職人なのだと思いながら、入念にクリームを塗ることにした。



「よし! これで塗り漏らしはないはず!」

「あ、ありがとね」

「どういたしまして」


 無事に一仕事終えた俺は、謎の達成感を覚える。

 しかし、後ろを振り向きつつ恥ずかしそうに頬を赤らめるしーちゃんの姿に、そんな達成感は一瞬で吹き飛び、またしてもドキドキとハートを射止められてしまうのであった――。



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