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第八章

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277話「夏休み一日目」

 次の日。

 俺はたっぷりと昼過ぎまで惰眠を貪ると、部屋のカーテンと窓を開けて空気を入れ替える。


 今は夏休みであり、季節は当然夏。

 今日も雲一つない快晴とともに、高く昇った太陽からは夏の暑い日差しが容赦なく差し込んでくる。


 ミンミンと絶え間なく鳴く蝉の鳴き声が、煩くも夏を思わせるそんな真昼間。

 本来なら今頃は学校にいる時間なのだと思うと、今日からついに夏休みが始まったのだという実感が喜びとなって込み上げてくる。


 幸い今日はバイトのシフトも入ってないし、これといった予定があるわけでもないから、一日のんびり過ごそう。

 そう決め込んだ俺は、とりあえず今ハマっているスマホゲームを楽しむためスマホを手にする。



「あ、メッセージきてる」


 スマホに表示された、Limeの通知アイコン。

 どうやら俺が寝ている間に、送られてきていたようだ。

 とりあえずタップしてみると、それはしーちゃんからのLimeだった。



『おはようたっくん! 今日はね、駅前のパン屋さんで可愛いパンが売ってたから買ってきたんだ!』


 そのメッセージとともに、ウサギの形をした菓子パンの写真を送ってくれるしーちゃん。

 そんな何気ない日常を切り取った写真を、俺に送ってくれていることが嬉しかった。



『本当だ、可愛いね。何だか食べるのももったいなくなりそう』

『大丈夫だピョン!』


 俺の返信に対して、しーちゃんは語尾をピョンにしてすぐに返信してくれる。

 何が大丈夫なのかはよく分からない。

 ただ、元のメッセージは大体三十分前に送られてきたもので、少し時間が経っている。

 そしてしーちゃんの大丈夫という返事と語尾のピョン……恐らくあのウサギのパンは、もう既にしーちゃんの胃の中なのだろう。

 だからしーちゃんは、語尾がウサギになってしまっているところまで想像して、俺は吹き出すように笑ってしまう。



『美味しかった?』

『うん! 中はクリームでしたピョン!』


 そうか、クリームか。思えば最近クリームパンとか食べてないし、俺も久々に食べたいかも。

 今度そのお店を教えて貰おうかな。


 そんなこんなで、この休日の昼下がり。

 彼女とこうして連絡を取り合っているだけで、俺は幸せで満たされていくのであった。


 それからも他愛のないメッセージを交わしつつ、俺は昼ご飯や歯磨きを済ませる。

 そして時計を見れば、あっという間に午後の二時過ぎ。

 特にすることのない俺は、再び自室へ戻りベッドで横になる。

 その間もしーちゃんとのLimeは続いており、今はパンの話題から俺のやってるスマホゲームの話題に変わっている。


 普段スマホゲームとかは一切やらないしーちゃんだけれど、俺がやってるならと珍しく興味を示してくれているのだ。

 それは俺としても嬉しいことだから、しーちゃんにも好きになって貰いたいし色々と話は弾んでいく。



「会いたいな……」


 そんなメッセージを続けていると、俺は不意にそんな言葉を漏らしてしまう。

 昨日まで毎日のように学校で会っていたというのに、もうしーちゃんに会いたくなっている自分がいるのだ。


 バカップルであることは、今更もう否定はしない。

 それでも、まさか自分がここまで堪え性がないとは思っていなかったため、これはちょっと考えものかもしれないな……。


 それでも、これが俺の素直な気持ちなのだ。

 それだけは確かであることから、俺はその自分の気持ちに素直に従うことにした。



『しーちゃん、ちなみにこのあとの予定は?』

『何もないよ!!』


 すぐにしーちゃんから、返信が返ってくる。

 まだ誘ったわけではないのだが、この文面を見れば誘っているようなものだろう。

 そのうえで、すぐに空いていると返事をくれたしーちゃん。

 そんな風に同じ気持ちでいてくれたことに喜びを感じつつ、俺はすぐに返信する。



『じゃあ今から一時間後に、駅前のいつもの場所で会わない?』

『喜んでっ!!』


 敬礼するしおりんスタンプとともに、やっぱり即答してくれるしーちゃん。

 こうして俺達は、まだ夏休み一日目にして早速会うことにしたのであった。




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