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【コミック5巻制作中】クラスメイトの元アイドルが、とにかく挙動不審なんです。  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!
第五章

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170話「アイドルと映画」

「到着~♪」


 あかりんの提案により、俺達は同じショッピングモールにある映画館のフロアへとやって来た。

 あかりんは映画館にやってきたのが嬉しいのか、とにかくご機嫌な様子だった。

 どうやらこれから観る映画は、よっぽど観たかった映画だという事が伝わってくる。



「で、あかりんはどれ観たいの?」

「あれよ」


 上映中の映画一覧を見ながら、しーちゃんはあかりんにそう問いかける。

 するとあかりんは、その中でも一番大きな広告が出ている映画のポスターを指さした。

 その映画は今話題の女優と男優が主演を務めるアクション映画で、人気コミックが原作の話題作だった。



「へぇ、流石人気作だけあって出演者も豪華だね――え、右下に新見彩里って書いてあるけど!?」

「そう、わたし実はちょろっとこの映画出てるのよ」


 凄いでしょと胸を張って笑うあかりん。

 凄いなんてもんじゃない、その衝撃の事実に俺もしーちゃんもとても驚いた。


 どうやらこの作品では、作中で出てくるアイドル役で出演しているようだ。

 脇役キャラではあるものの、原作の方でも人気の高いキャラの一人だ。

 その役をあかりんが務めるのだとしたら、贔屓目抜きにイメージ通りだった。


 前にしーちゃんと観に行った恋愛映画では主演を務めていたあかりんだから、その演技の上手さはお墨付きだし映画へ出演する事自体に驚きはない。

 けれど、前の主演作の上映からまだ日も浅いというのに、また違う映画に出演しているというのはただただ凄いとしか言えなかった。

その上アイドル活動も並行しているんだから、同年代であかりん以上に頑張っている人なんて居ないだろうと思えてくる程尊敬してしまう。



「あかりん凄い!」

「でしょ?まぁ本当に少しだけなんだけどね、この作品わたし昔から大好きなんだ。だから、映画化の話を聞いた時は居ても立っても居られなくてね。やれる限り頑張った結果、何とか脇役だけど配役をゲット出来たってわけ」


 そう嬉しそうに語るあかりん。

 芸能界の事情なんて全く知らないが、それでもそれは並大抵の事ではないことぐらい分かる。

 だからこそ、自分の目的のため行動してちゃんと結果を残しているあかりんの事が誇らしいというか、素直に凄いなと思えた。

 それは、もしかしたらエンジェルガールズのリーダーという肩書あっての結果なのかもしれない。

 それでも、そのエンジェルガールズを国民的アイドルの地位まで引っ張ってきたのはあかりん自身に他ならないわけで、そう思うとやっぱり全てがあかりんの努力と実力の上に成り立っている事なのだ。


 だからこそ、そんなあかりんと今こうして一緒にいる状況はやっぱり凄い事だよなと改めて思えた。

 そして、こんな全国上映されている映画に出演している有名人と、これからその出演している映画を一緒に観ようとしているのだから何だか笑えてくる。



「それじゃ、さっさとチケット買っちゃいましょう!ここはわたしの奢りでいいよ」


 そう言って、俺達に止める隙を与えずチケット販売機へと向かったあかりん。

 だからここは、お言葉に甘えて素直にゴチになる事にした。

 ふと周りを見渡すと、他にもその映画目当てで映画館へやって来ている人も少なくなかった。

 そんな光景を見ていると、まさか誰もその映画の出演者がこんな地方の映画館に居るなんて思わないだろうなと思うとやっぱり笑えてくる。

 それはしーちゃんも同じようで「なんか変なの」と言ってクスクスと笑っているのであった。



「さ、飲み物買ったら行きましょう!」


 戻ってきたあかりんは、そう言って俺達に一枚ずつチケットを配ってくれた。

 その様子はやっぱり上機嫌で、これから自分の出演した映画を観れる事を本当に楽しみにしていることが伝わってくるのであった。




 ◇



「いやー、我ながら面白かった!」

「そうだね」


 満足そうなあかりんと、それに頷くしーちゃん。

 映画を観終わった俺達は、同じショッピングモールにあるカフェで休憩する事にした。


 映画の内容は一言、最高だった。

 アクションは派手で迫力があったし、漫画の実写化には抵抗のある人も少なくないが配役がイメージにピッタリでほとんど違和感なく観れたのも良かった。


 あかりんの出番は確かに少しだけだったのだが、それでも現役トップアイドルの登場は特別感もあり印象強くて、出てきた瞬間その美しさに目を奪われてしまったのはきっと俺だけじゃないだろう。


 それにしても、俺達にだけ聞こえる声で役のセリフを同時進行でお道化て言ってきたのには、全然笑うようなシーンじゃないのに笑いを堪えるのに必死だった。

 照れ隠しなのかもしれないが、一般人には絶対真似の出来ないスケールの笑いの取り方でヤバかった。



 そんなこんなで、時計を見ると17時を少し回ったところだった。

 映画の感想を交えつつ他愛の無い話を楽しんだ俺達は、そろそろ良い時間だししーちゃんの家へと戻る事にした。


 ショッピングモールを出ると、あかりんは地方の街並みが珍しいのか辺りをキョロキョロとしながら楽しそうに歩いていた。

 きっと普段から忙しくしているからこそ、こうして週末に一日ゆっくり過ごす時間なんて本当に久々なのだろう。

 そう思うと、やっぱりそんなあかりんには今日一日沢山楽しんで貰いたいなと思えてくる。

 俺に何が出来るのかとかよく分からないけれど、もし何かしてあげられる事があれば何でもしてあげたいな。


 そんな事を考えながら歩いていると、あかりんは急にピタッと足を止めた。

 一体何事かと思えば、あかりんはとあるお店の店先を興味深そうに眺めていた。



「ねぇ、あそこ入ってみてもいい?」

「え、あそこ行くの?」

「うん、こういうお店一回入ってみたかったんだよね!いいでしょ?」


 そう言ってあかりんは、そのままそのお店へと入って行ってしまう。

 そんなあかりんに少し戸惑ったものの、入ってしまったものは仕方ないと俺達もあとに続いてそのお店の中へと入った。



 ちなみに、このお店へ入るのは俺は二度目となる。

 そしてしーちゃんも初めてではない。


 何故ならここは、以前しーちゃんにサイン付きTシャツを貰ったあのアイドルグッズ専門店なのであった。



あかりんが楽しそうで何より。

本人にしか出来ないおふざけは、特別ですね。


次回、まさかのあのアイドルグッズ店へ。

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― 新着の感想 ―
[一言] おやおや。 しーちゃんたちは、少し気まずいのかな?
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