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異世界の三つ編みはほどけない  作者: カイ
第一章 ヒカリと『闇』
9/56

暗闇の洞窟3

400PV突破しました(*´꒳`*)

読んでくれてありがとうございます!

「ミ、ナ、ゴロ⋯⋯シ⋯⋯」


 フロアのど真ん中に倒れているゴーレムが再び動き出す。その物量に反する様に、静かに立ち上がりゆっくりとカイト達が入った扉の方へと動き出す。


 先程までは地面を揺らしながら一歩一歩近づいていたのが、今では宙に浮いてスーッと動く。まるで別の物体である。


 カイト達はそんなことも知らずに金の宝箱に興味を惹かれていた。

 

「何が入っているのかなぁ? ワクワク!!」


 シェイナは目をキラキラさせながら宝箱に手をかける。流石に重いので三人が手をかけて一気に開ける。


「じゃあせーので開けるよ! せーーのっ!」



――――ズドォォン――――


 その瞬間にカイトの目の前を赤い閃光が駆け抜ける!


「――!? なんだ!?」


 三人が一斉に入り口の方に目を向ける。すると先程の雰囲気とは違うゴーレムがそこにいた。


「さっき倒したはずなのに⋯⋯」


「ヤバイ! 左右どっちかに避けて!」


 ゴーレムの緋色の目が光り先程の閃光がカイト達を襲った。三人とも苦しそうな表情を浮かべる⋯⋯。


「攻撃の種類が全然違う! しかも何で強くなってるの!? もうMPも空っぽだよ」


 シェイナは先程までの元気が失われていた。長時間の戦闘、そして倒したと思った安堵、アイテムもここまで来たことと先の戦闘で殆ど使ってしまっていて疲労はピークに達していた。


「とにかくこの部屋にいたら狙い撃ち状態だ! 一回この部屋から出よう! 僕が囮りになる」


「分かった! 向こうの入り口まで逃げよう」


 カイトは自分が囮りになるべく正面から突撃した。ゴーレムの緋色の目がすかさず光りカイトへと狙いを定める。

 ここでカイトは一か八かの賭けに出る。初期から持っていたスキル「気配を消す」という、なんとも地味なスキルを発動した。

 




――――ピッ―ドコォォォン――――


 


 間一髪カイトの横をかすめながら閃光が放たれ豪華な内装の壁を破壊していく。

 気配を消すスキルのおかげでゴーレムの狙いが外れ、なんとか避けることができた。


「ふぅ、危なかった⋯⋯けど⋯⋯」


 宝部屋からの脱出に成功し、カイトが囮りになっている間他の二人も無事に宝部屋から抜け出せたようだ。

 しかし、全員MPはほぼ底を尽きていてスキルも使えるものが限られている。



――――シュウゥゥゥ――――


 

 ゴーレムの腕から煙が噴き出すとともに腕がゴーレムの胴体から離れていく。

 何か嫌な予感が⋯⋯



――――ゴォォォオ――――



 巨大なゴーレムの腕がカイト目掛けていきなり飛んできた。カイトは急な攻撃を避けきれず短剣を横に構え、咄嗟に防御するがその狭い面積ではとても受けきれずダメージを受ける。


「ぐはっ⋯⋯い、一応ガードしたのに凄い攻撃力⋯⋯」


 カイトは膝をつき、短剣を地面に突き刺して辛うじて身体が倒れないよう支えている。

 しかし、ゴーレムは待ってはくれない。すかさず緋色の目にエネルギーが溜まっていくのが分かる。流石にあれ程の威力を連発させるのは厳しいのか、先程より閃光が放たれる時間が遅い気がする。


 だが、カイトは思ったよりダメージが深く立ち上がるのがやっとだった。


「カイト!!」


 ヒカリが叫び心配そうな顔でカイトを見ている。とても今のヒカリの距離からでは回復魔法も届かず、カイトに向かって走り出そうとした。


「来ちゃだめだ! ヒカリはシェイナとここから逃げるんだ」


「そんなの無理に決まってるじゃない! 今回復するから」


 ヒカリはそれでもカイトを見捨てて置いていける訳もなく、ゴーレムがエネルギーを充填している間にカイトの元へ走った。

 次第に緋色の目のエネルギーが大きくなっていく。


「くそっ⋯⋯どうすれば⋯⋯」


――シュゥゥウ――ドンッ――



 閃光の事ばかり気にしていたカイトは、まさか充填中にもう片方の腕を飛ばしてくるとは予測できず、完全に反応が遅れる。


「カイト――!」


 ヒカリが叫ぶ。カイトの命を潰すべく放たれた腕の速度はとてもじゃないが、今のヒカリの距離からでは間に合わない。

 もうダメとゴーレムの腕が当たる直前にヒカリは目を逸らした。爆音と共に激しい砂煙が舞う。


 ヒカリは不安な表情で恐る恐る爆音の方向へと顔を上げる⋯⋯が、そこにカイトの姿はなかった。


「良かった! 間に合った」


 先程いた場所から僅かに離れたところにシェイナがカイトを抱えていた。いつもなら女の子に助けて貰って恥ずかしいと思うところが、間一髪の命を救ってくれたシェイナに感謝であった。


「あ、ありがとう⋯⋯」


「安心はできないよ! まだ敵さんは一発デカイの残してるからね。これ使って」


 シェイナは腰に下げていた道具袋から高級薬草をカイトに手渡した。切り札として残しておいたものらしい。

 

「僕は大丈夫だから⋯⋯ヒカリを連れて逃げて⋯⋯」


「馬鹿言わないでよ! 今そんなカッコつけてる場合じゃないでしょ! その薬草を飲んだらヒカリは私が連れてくから」


 シェイナは呆れた顔でカイトを見る。そもそもカイトには動ける力がない。カイトは半ば無理矢理渡された薬草を口にする。


 すると体力が回復し、先程までのダメージは殆ど回復した。今ならゴーレムの攻撃を翻弄して二人を逃すことができる。ヒカリはきっと脱出せずに一緒に戦うと言い出すと思ったのでシェイナに抱えてでも連れ出すようにお願いした。


 シェイナはすかさず走り出しヒカリの方へと向かった。カイトは安心しつつも額から垂れる汗を拭った。

 今のゴーレムに一人では攻撃が通らない。避けることに専念しなければいけない。一撃でも攻撃を受けたら戦闘不能。


 だがゴーレムは先程の攻撃で二本の腕を失っている。鉱石でできた腕は鏡面のようにキレイでカイトの不安な顔を映しだしている。

 

「何て顔をしているんだ⋯⋯二人を助けなきゃ!」


 


――――キィィィィイイン――――


 


 甲高い音と共にエネルギーが収束していく。そしてその音が鳴り止んだ瞬間カイトに向けてその全てが放たれた。しかし早すぎて見えない閃光もターゲットが自分と分かっていれば回避は可能。

 カイトは左に避け攻撃を交わす。そしてヒカリ達が向かう出口とゴーレムを挟むような形にして気づかせないようにと考えた。


 一方シェイナは⋯⋯


「だから危ないって! カイトには薬草を渡したからきっと上手くやってくれるさ」


「カイトを置いていけるわけないじゃない! 私はすぐにでも戻るから」


 シェイナがどれだけ言ってもヒカリは動じない。でもここで戻れば全滅は必須。シェイナはヒカリを無理矢理抱えて入り口へと走った。


「ちょっ、ちょっと離してよ! カイトー!!」


 ヒカリがカイトを呼ぶ声は同時にゴーレムが閃光を放った音にかき消された。

 大きな三つ編みが揺られながら入り口へと担がれている。

 

 カイトは二人の姿を見て安心した。作戦としてはエネルギーを貯めている間にゴーレムを中心として徐々に時計周りに動き、最後は入り口に飛び込めばいい。

 



――――キィィィィイイン――――




「え⋯⋯?」



 エネルギーの収束が先程より早く二発目の閃光を既に放とうとしていた。



「まさか⋯⋯連発するためにさっき充填時間が長かったのか!」


 そして音が鳴りやみその閃光がカイトに直撃





 ⋯⋯せずにゴーレムの腕目掛けて攻撃を放った。助かったと思いつつ、カイトがその意味を知った時には全てが遅かった。

 閃光はゴーレムの腕に当たり、何やら金属が擦れ合う様な音をたて方向を変えた。さらにもう一本の腕を経由してヒカリ達に狙いを変え、もう少しで入り口というところだった二人に襲い掛かる。


 「ヒカリー! シェイナーー!」


 閃光が二人に直撃し壁に叩きつけられ、フロア全体が閃光の余波で衝撃に包まれた。周りの装飾は破壊され至るところに飛散していた⋯⋯。


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