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異世界の三つ編みはほどけない  作者: カイ
第一章 ヒカリと『闇』
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暗闇の洞窟2

300pvありがとうございます(*´꒳`*)

皆さんに読んでいだけるのが嬉しくて頑張って書いてます!

「まさかの援軍!? なんてドラマチック! ってうわぁ!!」


 先程までとは違い巨大なフロアに十メートルは超えるであろうゴーレム。頑丈な鉱石で作られているようで、人の言葉が分かるような雰囲気ではなく、こちらに気づいた女の子に容赦なく拳を振り下ろした。


 ズドォォン


 地面を叩きつける音が凄まじく、巨大な暴力による粉塵が辺りを包む。が、しかし拳の下にはただ無雑作に破壊された石畳しかなかった。


「まったく。動きはトロいんだけどタフなんだよなぁ」


「えっ? いつの間に!!」


 つい先程までゴーレムと向き合ってた女の子は粉塵に紛れたのか、カイト達の背後にいた。


「いやぁ、かれこれ一時間近く戦ってたんだけど中々倒れなくて困ってたとこなんだよ!きっとこのフロアのボスだね」


 顔立ちの整ったオレンジ色のショートヘアーの女の子。背はそこまで高くはないがそして武器は持たず両腕には見るからに強そうなガントレットが装着されていた。


「カイト! 私たちも戦いましょう! 三人ならきっと倒せるわ」


「う、うん! えっと⋯⋯君の名前は?」


「私はシェイナ! とりあえず詳しい事情はまた後で! いくらウスノロでもさすがに気付いたみたい」


 ゴーレムは辺りを見回し、入り口にいるカイトを見つけると感情の失われた青色の目が明らかにターゲットを絞っている。

 如何にも重そうな足取りで巨体をこちらに向け歩いてくる。一歩近づくたびに地震が起きたかなような振動だ。


「じゃあ行くよ!」


 シェイナはひゅっと風切り音をさせた後姿を消し、ゴーレムの方へと向かう。


「疾い⋯⋯よし! じゃあ僕達も行こう」


 カイトは腰の短剣を抜きいざ、戦闘開始!




「鈍臭さでは僕と同じくらいかい? いい仲間になれるかな」


 ゴーレムがこちらへと近づいてくる。正直あの拳で潰されたら今のカイトでは一発KOだ。

 カイトしか見えてないゴーレム。あと数歩で届く所を先に背後へと回り込んだシェイナが頭上へと高く飛び上がり


「鷹爪翻子脚!」


 生身の身体で受けたら原型を留めないであろう鋭い蹴りが炸裂した。

 ゴーレムの硬い胴体が少し抉れたが、バランスを崩すことすらなくまた歩き出す。シェイナは蹴りの反動で身軽に宙返りして着地


「今までは温存してたけど、援軍来たからバンバンスキル撃っちゃうよー!」


「掌底波!!」


 シェイナが力を溜めた掌から周りの空気を切り裂き、ゴーレムの頭部目掛けて衝撃波を放つ。 あまりの衝撃にゴーレムは衝撃を喰らった方向へと顔を向ける。


「今だ! 掌底連撃破」


 先程の衝撃波を連打する。連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打――――

 ゴーレムの顔面目掛けて幾度もなく繰り出される衝撃波。凄まじい攻撃にさすがのゴーレムもダメージを受ける。


「カイト! 私達も援護しましょう! フェムト!!」


 そう唱えるとカイトが薄い光に包まれた。力が少し漲ってくる。


「ありがとう! なんか今ならゴーレムを仕留められそうな気がする!」


「スナイプダガー!」


 ゴーレムの胸部に向けてカイトのスナイプダガーが炸裂する。基本この技は急所を見つけ、一撃で仕留めるのだがエリアボスであろう巨大な敵ともなると一撃で倒すのは不可能であった。


 しかし、さすがのゴーレムも怒涛の攻撃によって巨大な身体がグラつき更なる追い討ちをかける。


「そのまま足元を狙って! バランス崩して巨体ごと倒しちゃうよ!」


 シェイナが連撃を放ったまま叫ぶ。カイトはスナイプダガーの他にこの道中で覚えたスキルを足元目掛けて放つ


「クイックペイン!」


 短剣を活かした素早い乱撃がゴーレムの足元を目掛けて撃ち込まれる。硬いゴーレムの胴体自体は切ることが出来ないがダメージが確かな衝撃となって伝わっている。


 


――――ズドォォォォン――――



 三人の連携が上手く重なり遂にゴーレムはその巨体を倒し、その重さから激しい衝撃に地面の石畳が耐えきれず瓦礫となり凄まじい砂塵が辺りに舞う。

 ゴーレムの目から光が失われ、ピクリとも動かなくなった。


「やったね! カイト!」


「うん! シェイナのおかげでなんとか⋯⋯」


 ゴーレムの反対側にいたシェイナもヒカリとカイトに合流する。


「いやぁ助かったよ! ついつい一人でお宝目的で入ったんだけど、このデカイ扉を開けたら勝手に閉まって開かなくなるしこのデカブツも全然倒れないしさぁ」


 シェイナは飄々とした感じで話している。ショートカットの髪と相まってサバサバした性格なのが感じ取れる。


「とにかく良かったよ⋯⋯。というか女の子一人で突入は危険だよ」


「私は孤高の武闘家! というより友達がいなくていつも山籠りしてただけなんだけどね。ニャッハッハ」


「二人ともとりあえず回復しましょう!広域魔法にするわ!ヒーリング!!」


「おぉ! 傷が回復していく! ヒーラーとはまた貴重な存在だなぁ」


「え? そうなの?」


「キミはこの世界にいるのにそんな事も知らないの? ビックリだよ!」


「カイトは今記憶を無くしているのよ⋯⋯その記憶を取り戻すために色々旅をすることにしたの」


「なるほど! 記憶をなくした短剣使いに、ヒーラーのセットね! なんとまぁ珍しい! そういえば君たちの事をまだ聞いていなかったね」


「僕はカイト。先の話通り今記憶をなくしていて、自分が誰なのか、何故ここにいるのか全く分からないんだ」


「ふーん⋯⋯それは大変だ! 結構可愛い顔して苦労人なんだね!」


「そうなの! カイトは結構可愛い顔しているの」


 ヒカリが思わずそこに同調する。普通そこは苦労人の方に頷くところなんだが⋯⋯


「えっと⋯⋯まあとにかく今は記憶を取り戻すためにも強くなろうと思ってこの洞窟に来たんだ」


「なるほど! で、そちらの可愛い彼女さんは?」


「か、彼女!? そ⋯⋯そんなんじゃないですよ! 確かにカイトは可愛くてちょっと頼りなくて優しいですけど」


「はっはーん! キミも抜け目がないね!」


「ち、違うもん! 私は記憶を無くしたカイトに協力する為に一緒に旅しているだけなの!」


「まあまあ落ち着いて落ち着いて! ところでキミの名前まだ聞いてないけど?」


「あっ⋯⋯! ごめんなさい。私の名前はヒカリって言います。光属性のヒーラーです」


「カイトにヒカリね! よろしく! おかげでゴーレムも倒せたしね!この先にきっとお宝があるのよ⋯⋯ムフフ!」


 何やら悪巧みしそうな顔でシェイナはそう言うと倒れたゴーレムの奥には輝く金の扉があった。先程戦闘したときには気付かなかったが、倒した事が条件で現れたのだろうか。


 三人は今まで見た石造りの扉とは違う金の扉

の方へと向かい、その扉を開けた。

 そこには祭壇の様なものがあり、御大層に置かれた金の宝箱が置いてあった。


「うひょー! これこれ! 冒険の醍醐味だよねぇ」


「凄く強い装備でも入ってるのかな? 私もこんな立派な宝箱初めて見た」


「とにかく開けてみようか。結構な大きさだけど何が入っているんだろう」


三人は目の前の大きな金の宝箱に手をかけた。





 その時光を失ったはずの青い目が、緋色に変わっていたのを誰も気がつく事はなかった。



良かったらブックマークや評価頂けると嬉しいです(*´꒳`*)

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