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異世界の三つ編みはほどけない  作者: カイ
第二章 武闘会
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暗闇の決着

お久しぶりの更新です!応援してくれると嬉しいです!!

「さて、どっちから相手するっすか? こんな薄暗いところにいつもいると身体も鈍っちゃうすよ」


 重そうな甲冑をしたまま腕を回し、金属音の擦れる音が辺りに響く。


「悪いけど、少しでも早く姉ちゃん達に会いたいから僕が相手させてもらうよ。これ以上足止めされるとイライラしちゃうからさぁ」


「ちょ、ちょっと待ってよ! ここは二人で戦うべきだよ。いくらネクロが強くてもさっきの動きは只者じゃないって」


 先程不意打ちを放った際に、あの見るからに重そうな甲冑を装備しているにもかかわらず忽然と姿を消した。

 それは暗にジェイルの強さを表しているといっても過言ではない。


「じゃあ決まりっすね。まとめて二人とも相手するっす! とっとと侵入者を倒すのが門番の役目でもあるっすからね」


 ジェイルが拳を突き出し、構えると同時に静かに砂埃が舞う。明らかに先ほどの手合わせとは違うオーラを感じる。


「がはっ!!」


 ネクロの詰まった声にシェイナは意識のまま振り向いた。

 気づくと構えの姿勢のまま、拳がネクロの胸に突き刺さっている。


「あの一瞬で!? 早すぎて見えない!」


「ロードマスターを舐めてもらっちゃ困るっすよ。ましてやこの薄暗い空間に目が慣れていないんじゃないっすかね」


 ネクロが蹲り呼吸を整えている間に、飄々と話している。


「こ……の……! 調子に乗るなぁ」


 ネクロの左腕を黒いオーラが渦巻き、徐々に漆黒へと染まっていく。

 ジェイルは異様な気を察知して、ネクロから距離を取る。


「なるほどっすね。罪人たる理由があるってことっすか。流石にヤバそうっす」


「私だっているんだよっ!!」


 ジェイルの隙をついて鋭い蹴りを放ち、甲冑ごと吹っ飛ばした。


「中々に重い蹴りっすね。もう武道家は卒業なんじゃないっすか? この甲冑は物理攻撃をほとんど吸収するはずなんすけどね」


「当たり前だよ! グランドマスターから教えてもらったんだ! 防具だけで吸収できるはずもないよ」


 シェイナは以前エリーナに言われた弱点とやらを気にしていた。気功波の類は得意であったが接近戦には弱いという武道家としては致命的な弱点があった。

 

 それからシェイナは接近戦の時や、通常攻撃の時にも拳や脚にオーラを纏う訓練をした。

 その成果もあってか、接近戦での殴り合いは格段もレベルが上がっていた。


「よそ見している暇なんかあるのかい?」


「ぐっ⋯⋯ うおぉぉおおおお!!」


 すかさずネクロは『闇』の力で膨張した左腕を振り下ろす。

 たまらずジェイルはガードするが、両手をクロスし防ぐのが精一杯である。


「姉ちゃん! 思いっきり打ち込んで!!」


「言われなくてもっ! はあぁぁぁ!!」


 シェイナは練りに練った気をジェイルの鳩尾に目掛けて打ち込んだ。

 小さな掌から放たれた蒼い気は甲冑をも貫き、背後の壁にまで衝撃が伝わった。


 同時にネクロの黒い衝撃に耐えきれず、激しい爆音と共に地面に叩きつけられた。


 激しい砂埃とは裏腹に煩いくらいの沈黙が辺りを包んだ。

 しばらくするとそこにあったはずの甲冑は跡形もなく消えていた。


「ふぅ⋯⋯ 危なかったぁ」


 胸を撫で下ろしたシェイナは、その場で座り込んだ。


「ロードマスター⋯⋯ か」


 ネクロを包んでいた漆黒のオーラは消えていた。いくらグランドマスターのエリーナを見ているとはいえ、仮にもロードマスターと呼ばれる手練がこれほどの攻撃でやられるはずはないと思っていた。


 更にあれほど頑丈な重甲冑が跡形もなく消えるのも不自然である。

 

(あの甲冑を消し去るのならば、この牢獄ごと潰す勢いでないと、、)


「ん? どうしたの?」


「う、ううん! なんでもない。それよりも早く先に進まなきゃね。あと牢獄の門番を倒しちゃうなんていよいよ大罪人になっちゃった」


「もうそんなの関係ないさ。さっきの武闘会でこの国が、、いや世界が異常だよ」


「きっとそこまで『闇』の力に侵食されているんだよね。カイトは大丈夫かなぁ」


 不安そうな声でシェイナは俯き、貫かれた胸の辺りがじくじくと嫌な感じに痛む。

 カイトは仮面の男に連れ去られ、仲間はバラバラになり無事かどうかもわからない。


「にいちゃんならきっと大丈夫だよ。とにかく三つ編みのねーちゃん達と合流しなきゃね」


「う、うん。でもこっちでいいのかな? 嫌なオーラを感じるよ⋯⋯」


 牢獄の薄暗い内部と、洞窟のような独特な肌寒さがより不気味さを演出していた。

 

「大丈夫さ! それに地下には貴重な武器やアイテムとか眠ってると相場は決まってるよ」


「た、確かに!! さぁボケっとしてないでとっとと行くぞー」


「さ、さすがお姉ちゃん。お宝には目がないんだね、、」


 呆れた声がかすかに響くなか、二人は階段を

降りさらに深層へと足を進めた。

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