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56、お礼はキャンディー




 パワースポット騒動から数日が経った。



 あれ以来、その話は誰もしない。


 まさかの真相を知った皆は一様にその口を噤んでしまったのだ。



 きっとあの記憶は皆の頭の中で封印されていることだろう。


 願わくば、二度とその封印が破られない事を祈りたいものだ。



 さて、話は戻して今は休み時間。



 今日の休み時間も、薫子さんや晴香さん達と楽しく過ごすいつもと変わらない日常だ。


 教室の中も一見平穏で、皆いつもと変わらないように見える。


 例の桜井さんや天童さんも、あれからは動きを見せていないし平和そのものだ。


 小康状態というやつだね。


 できれば永久にその小康を保ってくれるといいんだけど…。



 まあ、そんな考えてもしょうがない事はさて置いて。


 この休み時間でも、私たちの話題は晴香さんのこんな言葉から始まった。




「私もうだめですわぁ」



 ちょっと間の伸びた声を出しながら、晴香さんが眉を下げた困り顔で私に迫ってくる。



「どうかしたのですか、晴香さん?」


「聞いてくださいよ、祥子様ぁ。私はもう今日一日やる気が出ませんわぁ」



 晴香さんとの付き合いも二カ月以上経ち、彼女の性格もだいたい分かってきた。


 こういう話題の振り方をしてくるときは…。



「勿体ぶってないで早く話してください。晴香さんの悪い癖です」



 そう口を挟んだのは薫子さん。


 薫子さんは少し気が短い性格だから、晴香さんのこの言い回しに度々堪えきれなくなってこうして口を挟む事がある。


 この一見正反対の二人が、何故か仲が良いのだから不思議だ。



「勿体ぶってなんてないですぅ。薫子さん、話の腰を折らないでくださいませ」


「腰を折っているのではなく、晴香さんの話をテンポ良くしてあげているのです。そこは私に感謝するところですよ」


「あら、そうでしたか。それは勘違いしてしまいましたわ。ありがとう薫子さん」


「良いのですよ、晴香さん」



 良いのか晴香さん?



 というか、そう言いながら話しが全然進んでないよ。


 薫子さんじゃないけど、私もそんなに気は長くないよ?



「それで、何の話でしたかしら?」



 結局、私が焦れて話の先を促した。



「あ、そうでしたわ祥子様! 見てくださいよぉこれぇ!」



 そう言って晴香さんは制服の袖を掴んで私に見せてきた。



「……袖…が、どうかしましたか?」



 何だ……?


 別に変な所なんてない…よね……?


 私の制服と一緒…に見えるんだけど?



「もっとよく見てくださいよぉ。ここですわ、ここ!」



 私と薫子さんは顔を寄せてその晴香さんが指差すその場所に注目する。



「……これは……?」



 そこにあったのはよく見ないと見えない、極めて小さな…たぶん1ミリくらいしか無いんじゃないかと思われる、小さなシミ……。



「恐らく今日の昼食のときですわ。もう信じられませんわぁ」



「「…………」」



 薫子さんが私を見てくる。


 私も薫子さんを見つめ返す。



 どっちが言う? 祥子様からどうぞ。いやいや薫子さん言ってよ。私よりも祥子様からの方が晴香さんは聞きます。晴香さんの担当は薫子さんなんだから薫子さんからお願い。いえここは祥子様から…。


 みたいな見えない会話が、薫子さんと私の視線で繰り広げられた…気がする。



「何ですか、お二人とも。何か言ってくださいよぉ」



 何も言わない私たちに晴香さんが頬を膨らませる。



「……え…と、そうですわね……」


「………」


「もう、ちゃんと見てないじゃないですかぁ。ほら、こんなシミが付いてしまったんですのよ」



 晴香さんはさらに袖を引っ張って私たちに見せつけてくる。


 そんな晴香さんに薫子さんは静かに近寄り、肩に手を置いた。


 そして――



「晴香さん言いたい事はよく分かりました。ところで大自然の話をしませんか? とても心が落ち着きますよ」



 そう言ってニコリと微笑んだ。



「なんで大自然の話なんてするんですかぁ! そんな話、ちっとも面白くありませんわ!」


「袖のシミの話に言われたくありません。大自然の話のほうがスケールが大きくて百倍面白いです」


「私の方が面白いですぅ。これから制服を買い替えるか相談しようと思ってたんですぅ」


「それの何が面白いんですか。大自然には夢とロマンがあるんです。百倍面白いです」


「制服にだって夢とロマンがありますぅ。そんな話より私の方が百倍面白いんですぅ」


「いいえ、私の方が面白いです」


「いいえ、私ですわ」



 どっちでもいいよ!


 何そのシミと大自然の争い!


 二つとも心底どうでもいい話だよ!



「祥子様が晴香さんの制服に興味があるわけないでしょう。祥子様が興味があるのは大自然です」


「薫子さんこそ、祥子様が大自然に興味があるわけありませんわ。祥子様が興味があるのは私の制服です」



 いや、どっちも興味無いんだけど?


 勝手に私の心を代弁しないでくれる?


 ねぇ? どっちも興味ないよ?



 薫子さんと晴香さん、この二人の論争はさらに過熱しようとしていた。



 ――そんなときだった。



 いつもの様な二人の遣り取りを眺めていると、そこへ汐莉さんがやってきたのだ。



「祥子さん、何の話をしてるの?」



 そう話しかけてきた汐莉さんの表情は、何だかいつもより頬を上気させたような少しはにかんだ物だった。



「あら、汐莉さん。いえ他愛の無い話ですよ」



 説明するの面倒くさかったので、そう言ってはぐらかす。



 すると――



「そか…。んじゃ、これを……」



 汐莉さんは少しもじもじとしながら後ろ手に隠していたものを私へと突き出してきたのだった。




「……これは?」



 私の目の前に付き出された物。


 それは浅黄色の和紙に水色の紐をリボンにしてラッピングされた包み。



「えと、こないだ借りたハンカチ洗ったんだけど、ちょっとしたお礼も入れてあるから」



 ハンカチ……。


 ああ、あの時のね……。



「ハンカチですか…。そういえばそうでしたね……」



 汐莉さんにそう言われるまで、私はすっかりそのハンカチの存在を忘れていた。


 そうか…。


 この可愛い包みの中にあのハンカチがね……。



 …………。



 このハンカチ、うんうん付いてなかった?




 あそこ馬の散歩コースになってるって言ってたよ?


 ねぇ、どうだった? 馬のうんうん付いてそうだったけど、どうだったの?


 ちょっと、その辺すごく気になるんだけど?


 ちゃんと、うんうん付いた時用の洗剤で洗った?


 ねぇ、どうなの!?



「――あ、開けてみて。気に入ってくれるといいんだけど…」



 おっと私とした事が、うんうんなんかに気を取られてる場合じゃなかったね。



「お礼ですか? それは楽しみですね」


「あ、いや、そんな大したものじゃないんだけど…」



 汐莉さんの反応に「ふふふ」と微笑しながら、青いリボンをスルスルと解いていく。



 そして包みを開けて中から取り出したものに、私の胸が少しときめいた。



 綺麗に洗濯されたハンカチとキャンディーが数個。


 それがまるで、白いハンカチの上に何色ものキャンディーが彩りを添えているようだったのだ。



 何という可愛い演出をしてくれるんだ。


 こういうの大好きだよ私は。



「汐莉さん、ありがとう。とても嬉しいですわ」



 汐莉さんは私の反応を見て相好を崩した。



「ほんと!? 良かったぁ」



 よっぽど心配だったのか、胸を押さえて安堵の息まで洩らしている。



 いや、そんな大袈裟な…。


 別にそんなに気を使わなくてもいいんだよ?


 このハンカチも今まで思い出しもしなかったしね。



「ふふふ、大袈裟ですよ汐莉さん」



 私はそう言いながらキャンディーのセロハン包みを剥がし、一粒を口の中へと運んだ。



「んん、美味しいです」



 口の中にキャンディーの甘味が広がる。


 黄緑色だったからメロン味かな?


 ん? マスカットか…?


 どっちだこれ?



 ま、まあ、どっちにしても、キャンディーならお腹への負担も軽いし、良いチョイスだよ汐莉さん。



「ええぇ、祥子様だけズルいですぅ。私には無いんですのぉ?」


「え、あ、ごめんなさいっ。馬場園さんたちのは用意してなかった」


「気の利かない人ですね。こういう時は全員分を用意するものでしょう」



 いやいや、これハンカチのお礼だからね。


 これは私の日頃の行いに対するご褒美なのよ。


 くれぐれも汐莉さんに当たっちゃだめですわよ、ほほほ。



「ご、ごめん……」


「まったく、そんな事では立派な令嬢になれませんよ」


「なれませんわよ」



 なに二人とも、そんなにキャンディー欲しかったの?


 立派な令嬢なのに?


 しょうがないなぁ、分けてあげるか。


 実は一人で食べるの、ちょっと気が引けてたんだよね。



「まあまあ二人とも、何個かありますから皆で分けましょう」



 私はそう言って、汐莉さんに貰ったキャンディーを皆の前に差し出した。



「さすが祥子様、お優しいですわぁ」


「良いのですか、祥子様?」



 二人はそう言いながら私の手からキャンディーを受け取ると、ぱくっと口の中に放り込む。


 その間、僅か数秒。


 そこに躊躇という言葉は無かった。



「え、ええ、こういうのは皆で食べた方が美味しいですからね」



 二人とも、もう少し遠慮とかあった方が良いんじゃない…かな?


 立派な令嬢になれないとか言ってたよね?


 ねぇ、言ってたよね?



「祥子さん、ごめんね。私が皆の分を忘れてたせいで…」



 汐莉さんは耳打ちするように私にそう謝ってきた。



「気にしなくていいんですよ汐莉さん。私にはこの量は多いくらいですから。さ、汐莉さんも食べてください」



 そう言うと「うん」と言って私の手からキャンディーを受け取り、口へと放り込んだ。




 私たちは皆で同じようにキャンディーで頬を膨らませ、もごもご言いながらその休み時間を過ごす。



 そんないつもと変わらない午後の休み時間のこと。



 そこへ――



 ある人物がやってきて汐莉さんへと声を掛けた。



「葉月さん。今日の放課後空いてる?」



 その人物とは…。



「あ、神楽君。放課後は空いてるけど、どうしたの?」



 そう神楽怜史君だ。


 いつものように眩しいくらいの爽やかな笑顔でそう語り掛けてきた怜史君。


 しかも汐莉さんに放課後の予定を訊ねるという…。



 こ、これは、ついに汐莉さんにモーションを掛けてきた…というやつか?


 どこだ? どこでそんなフラグが立ったの?


 いやこの際そこはどうでもいいか…。


 それよりもこれってチャンスじゃない?


 この二人がくっつけば晴れてライバルがいなくなる。そうすりゃ、私は大手を振って千聖君とラブラブしながらきゃっきゃうふふが出来るってもんよ。



 よし、頑張れ怜史君!


 私が応援するぞ!



「夏休み前の球技大会の準備だけど、今日の放課後にどうかと思ってね」



 ほう。球技大会の準備とな…。その作業を二人でやろうという事か…。


 なるほど、いきなりデートに誘うよりもハードルが低くなって汐莉さんも誘いを受けやすくなると…。


 やるな、神楽怜史!



「ああ、そうか。もうすぐ期末のテスト期間だもんね。その前にやっといた方がいいって事だね」


「そういうこと。で、今日の放課後にやろうと思ったんだけど、どうかな?」



 期末なんちゃらって何か不吉なワードが出た気がしたけど、今はそれどころじゃない。


 ここはもうOKしかないでしょ汐莉さん!


 恥じらって一度は断るって手もあるけど、汐莉さんにそんな小細工は似合わないよ。そういうのは私のような洗練された女にしか出来ない芸当だからね。


 ここは即決よ! 即OKしなさい!



「うん、分かった。今日の放課後だね」



 よし、それでこそ汐莉さん!


 これでこの二人がくっつくのも秒読み段階に!



「あ、祥子ちゃんも一緒にどう? 手伝ってくれると助かるんだけど」



 何でやねん!!



「い、いえ…。私は、足手纏いになりますから……」



 違う違う違う違う!!


 私まで誘ってどうするの!



 え、なに? 二人っきりは恥ずかしいから私に付いて来て的な!?


 ええい、そんな事でどうする!


 そこはビシッと決める所でしょうが!



「ええぇ、祥子さんも一緒にやろうよ。スコアブックとか作るだけだから」



 し、汐莉さん…。


 あなたの為に断ってるのに。



「ですが…、役に立てる事があるとは……」


「大丈夫、大丈夫。打ち込むだけの簡単なお仕事だから」



 だから汐莉さん、あなたの為に断ってるんだって!


 二人きりにしてあげようっていう、この私の心配りに早く気付きなさい!



「だけど、私には……」



 まったくもう、二人ともそんな事じゃこの先が思いやられるよ。


 ちゃんと二人で会話とかしてね、二人で段階を踏んでいくの。


 そこに誰かを介在させちゃいけないの、分かりますか?


 まったくもう、世話が焼けるんだから。



「祥子ちゃん、千聖も一緒だよ」


「やります」




 即決だった。










  ☆









 我が青華院学園では期末テストが終わった後、夏休みに入る前に試験期間の憂さを晴らすために球技大会が行われる。


 競技は一年生から三年生まで混合で行われ、男子がバスケで女子はバレーというのが毎年の恒例となっている。


 ちなみに、この競技種目が変更された事は長い歴史の中で一例も無い。



 この球技大会は三学年が合同で学園一を決める為に、イベントは大規模なものとなり試合数も多くなる。


 そのせいで各クラスがスコアブックを付けて試合結果の齟齬が出ないようにする必要があるのだ。


 さらに仕事はそれだけではなく、チーム編成や試合時間の調整など、クラス委員に課せられた仕事は多岐にわたっている。



 そんな訳で、その作業ををクラス委員の三人とやる事になったのだけど…。



「神楽様ぁ、私の試合数はもう少し少なくしていただけませんかぁ?」


「ごめんね。みんな均等に試合に出てもらう事になってるから、出場数は減らせないんだ」


「そうですかぁ、それは残念ですわ」


「橘様、男子と女子の試合時間は被らない方がお互いが応援できて宜しいのでは?」


「そうだな…。その辺は他クラスと相談してからだな……」


「そうですね」



 何故か薫子さんと晴香さんがここにいて、千聖君たちとチーム決めを行っている。


 この二人、一言も誘われていないのに…。

 


 そして二人が千聖君や怜史君と楽しそうにやってる一方で、当の私はというと…。



「はい祥子さん、じゃあ次は名簿作りね」


「はい……」



 カタカタとキーボードを打ち込んでいく簡単なお仕事の真っ最中です。



「わぁ。祥子さんキーボード見ずに打てるんだね。凄い!」


「いえ、それほどでも……」



 伊達に引き籠ってなかったからね。


 ブラインドタッチはお手の物ですよ、ふっふっふ。


 いやまあ、こんなのはちょっと練習したら誰でも……。



 いや、そうじゃない!


 そうじゃないよぉ!!


 ブラインドタッチなんてどうでもいいんだよぉ!!



 なぁんで私がこんな地味な作業しなきゃいけないの~!!



 何かあっちでは、四人で楽しそうにチーム決めとかしてるしぃ!


 どういう事よ!


 こんな筈じゃなかったよ!



 私もあっちに混ざりたいよ~!!




「――祥子さん、どうかした?」


「い、いえ何でもありませんわ。え…と、次は何処でしたっけ?」


「ここからだよ」



 おっと、作業の手が止まっていたみたいね。


 いかんいかん、余計な事考えてると無駄に時間がかかってしまう。


 こうなったら、さっさとこの作業を終わらせて私もあっちに混ざりに――



「橘様、こことここが……」


「ああ、わかった…」


「いやですわぁ神楽様~」


「ははは」



 くそう! 気が散る!!


 私のいない所で楽しそうにしてんじゃないよ!



「――祥子さん、ここ間違ってるよ」


「あ、あら、ごめんなさい」



 ぬぅぅ!


 集中できないせいでミスが……。



「それはどういう意味ですの神楽様」


「聞いたままですよ晴香さん」


「ははは」



 うきゃーー!!


 楽しそうにするなーー!!



「しょ、祥子さん?」



 汐莉さんが私の様子を心配気に見つめてくる。



「な、何でもありませんわ汐莉さん…」



 だめだ、このままでは作業に身が入らない……。



 よ、よし。


 ここはちょっと気分を変えようか…。



「汐莉さん、私ちょっとお花を摘みに行ってまいります…」



 別に催したわけではないけど、トイレにでも行って一旦リセットしてくるとしよう。


 決して催したわけじゃないけどね。



「あ、うん、いってらっしゃい」



 汐莉さんと、そしてあの楽しそうにしているあそこの怪しからん四人を横目に…。




 私は静かに席を立つのだった。













 放課後になって静まり返る校舎内。


 それはトイレの中も同様で、まるで何かが出て来そうなくらいにしんとしている。



 もちろんこの青華院学園のトイレは設備も清潔さも完璧なので、そんな怪談じみた雰囲気は無い。



 無いのだけど…。



 一回考えちゃうと、ちょっと怖くなってくるよね……。



 そんなわけで、あまり気分転換も出来ずにトイレを後にする事になった。




 教室へと戻る長い廊下をゆっくりと歩く私



 一人になると頭の中にはさっきの光景がぐるぐると巡ってくる。


 あの不届きな四人、その事を考えると無意識にぶつぶつと愚痴がこぼれていた。


 

 何で私のいないとこであんな楽しそうにするかなぁ。


 というか、あの打ち込み作業って私じゃなくてもよくない?


 なんか自然な流れで私がやってるけど、薫子さんの方がああいう作業は向いてる気がするんだけど。


 だいたい私の高速タイピング、汐莉さん以外誰も見てないし…。


 もっと皆で『すごーい』とか言って褒めたたえてって話よ。


 まったくもう。


 いい加減、私も拗ねるよ? 部屋に引き籠っちゃうよ? いいの? タケシのモノマネされても出てこないよ!? いいのね!?




 そんな事を考えながら廊下を歩いていると。


 前の方からあの人が…。



「あ、祥子ちゃん」



 その声は怜史君のもの。


 私の姿を発見した怜史君が微笑みを浮かべながら近づいてきたのだ。



「あら、神楽様…?」



 何、どうしたの?


 怜史君もお花摘みならぬ雉を撃ちにきたとか?



「丁度良かったよ。ちょっと付き合ってくれない?」



「え、付き…? 何――」



 訊き返すの待たず、怜史君は私の側にすっと近寄ってくる。



 そして――



 アップルミントのような香りが私の鼻腔をくすぐったかと思うと、私の腕は怜史君にぐいっと引っ張られたのだった。




「いいから、いいから」




 え、ちょっ…!?


 


 な、何!?




 何なのぉ!?



 




いつもお読みいただきありがとうございます(/・ω・)/


ようやく56話目となりましたが、まだ夏休みにもなってなかったんですね(;´・ω・)

もう少し時間経過を早くしたい今日この頃でございます…。


では皆さま、また次回にお会いしましょう('ω')ノ

ブクマ評価等、よろしくお願いいたします!

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