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55、林の中の声(後編)




「ご自分たちがいかに恥ずかしい事をしているかも分からないなんて。まったくどういう育ちをしていのやら」



「大きなお世話です!」



 さらに興奮して言い争う桜井さんと天童さん。


 そしてその二人の言い争いを不安げに見つめる雨宮さんと、天童さんに同調する名前の知らない女子生徒二人。



 そんな彼女たちが集うその場所に、私はそっと近寄った。




「皆さん、どうかされたのですか?」



 私の声を聞いた彼女たちが一斉にこちらに振り向いた。



「「如月さん!?」」


「「「祥子様!?」」」



 さっきまで争っていた彼女たちも、私の登場に吃驚して一様に声を上げた。



 そりゃそうだろうね、さっきまで私が話に出てたもんね。


 ご本人さん登場くらい驚くでしょ。


 い、いや、今そんな事言ってる場合じゃないね…。



「お二人の随分と大きな声があちらまで聞こえてきましてね。何かあったのかと思いまして」



 突然私が現れたことで目を白黒させていた彼女たちだったけど、すぐに反応を示したのは桜井さんだった。



「き、如月さん、違うんです! 私たちがここに居たら天童さん達が言い掛かりを――」


「まあ! 言い掛かりとは失礼な! ご自分のしている事は棚に上げるのですか!?」


「それは天童さんに言われる事ではありません!」



 うわっ…、一瞬止まったと思ったのにまたやり始めたっ。


 ど、ど、どうしたら…。


 どうしたら良いのこれ……。



「お、お二人とも、一度落ち着いてください。一体何があったのですか?」


「祥子様聞いてください! この人達が――」


「如月さん違うんです聞いてください!!」



 ダメだ…、口を挟む暇もない。


 ど、どうしよう…?


 えーと…。えーと…。


 そうだ、こういう時はあれよ、あれをするのよ。


 いや、あれって何よ!?


 ああダメだ! 全然頭が回らない!



 ――と、その時。



 乾いた破裂音のようなものが、その林に木霊した。



 耳に刺さるような音。


 その音が桜井さんと天童さんの言葉をピタリと止めた。



 それは、薫子さんが自分の手を打った音だった。



「いい加減にしてください、一人ずつ話さないと分からないでしょう」



 そう言いながら二人の前に歩を進める薫子さん。



「あ、浅野さん私は――」


「あなたは少し黙っていてください」



 桜井さんが喋り出そうとした所、薫子さんは手を翳してそれを制止すると天童さんへと向き直る。



「天童さん、あなたがあんなに大声を張り上げるとは珍しいですね。何があったのですか?」


「あ、浅野さん…。これは私とした事が、大変お見苦しい所をお見せしてしまいましたわ」



 薫子さんに声を掛けられた事で、天童さんの声にようやく落ち着きが戻ってきた。



「いいのです。それだけの事情がおありだったのでしょう。それで、どうされたのです?」


「ええ、実はそこの外部の方が……」



 天童さんはそう言って桜井さんに視線を送る。



「わ、私は――」


「続きを」



 薫子さんはさっきと同じ様に手を翳して桜井さんの言葉を止め、話の先を促した。



「最近どうも祥子様のことを嗅ぎまわっているみたいでしたので、注意して差し上げていたところですの」



 嗅ぎまわっている。


 その言葉を聞いて私たちは一斉に桜井さんに注目した。



「桜井さん、どういう事ですか?」


「いや…、か、嗅ぎまわってるわけじゃないです! 私はただ如月さんと親しくなりたかっただけで……」


「それがどうして嗅ぎまわっているという話になるのですか?」


「それは……」



 桜井さんは、薫子さんの追究に言葉を詰まらせる。



「はっきりと仰いなさい。あなたは何故こんな所にいらしたのかしら?」



 そこに天童さんが強い口調で桜井さんに畳みかけてきた。



「だから、それは偶々で……」


「ここは人の寄り付かない所と聞いていますが。こんな所に偶然居合わせたという事ですか?」


「う……」



 薫子さんの指摘はまたも桜井さんの言葉を詰まらせる。



「この方、今日のお昼休みに祥子様や橘様のお話を盗み聞きしていたのですわ。ここに居たのは祥子様の先回りをしようとしていたのでしょう? 正直に仰いなさい」



 盗み聞き……。


 なるほど、それでこんな所にいたわけか。



「だ、だから、偶々だって言ってるでしょ! 別に先回りなんてしてません!」


「あなた昼食の時に祥子様たちの隣のテーブルを陣取ってらっしゃたじゃありませんか。それでここにいれば盗み聞きして先回りしたと受け取られても仕方ないのではなくて?」



 く、詳しいね、天童さん……。


 それ、あなたも盗み聞きしてない?



 ま、まあ、私たちもさっき盗み聞きしてたから偉そうな事は言えないんだけどね……。



「天童さんだって――」


「なるほど話はだいたい分かりました。桜井さん、盗み聞きとは褒められた事ではありませんね?」


「う、それは…」



 薫子さん、あなたもさっき一緒に盗み聞きしてたじゃない?


 忘れたの? 数分前の事をもう忘れたの? あなたノリノリで盗み聞きしてたよ?



「――祥子様、この件どうされますか?」



 ここで薫子さんが急に私の方に振ってきた。



「へっ!? そ、そうですわね……」



 ちょ、ちょっと、いきなり私に丸投げしないでよ!


 どうするって言われても…、どうしたらいいのよこれ……?



「如月さん、私たちはただ如月さんと親しくなりたくて…」


「桜井さん、だからといって盗み聞きをして良いとはなりません。話をずらさないでください」


「っ……」



 薫子さん、自分もさっき盗み聞きしてたのに……。


 その肝の太さは何処から来るんだ…?



 うーん、盗み聞きかぁ……。


 どうなんだろ、それ? そんなに悪い事なのか?


 んー、よく分かんなくなってきた…。 



 いやまあ、桜井さん達の気持ちも分からなくはないんだよね…。


 この学園では彼女たち外部生徒の境遇は良いものとは言えない。


 内部の人達からしたら自分達の縄張りを荒らされてる気分になるんだろう。だから外部生徒に対する当りも強くなる。



 そんな環境にいる桜井さんが今の状況から抜け出す方法が私だっていう事だよね。



 よくある話だ。


 カースト上位に取り入って自分の地位を手っ取り早く上げる。


 確かにそれで桜井さんに対する嫌がらせは無くなるかもしれない。


 私もクラスが仲良くなるなら利用されてもいいと思う。



 でも、そのやり方だと…。


 快く思わない人を増やしてしまうかもしれないし、さらに溝が深くなってしまう。



 いつかその溝が取り返しのつかない事になってしまうような…。



 そんな気がするんだよね……。



 だからといって、私に良い案があるわけでは無いんだけど……。


 

「桜井さん…。そう言って頂けるのは有難い事ですわ。ですが――」


「本当ですか如月さん!」



 桜井さんは私の言葉で一気に顔に喜色を浮かばせた。



「え、あ、いえ。ですから――」


「やっぱり如月さんは私たちの味方ですよね!」



 み、味方って…。


 なんでそんな対立を煽るような事を言うの!?



 どうしよう、これは不味い。


 これじゃ天童さんも黙ってられなくなる……。



「あなたは何を仰っているの!? 何を勘違いなさっているのか知りませんが、祥子様はお優しい方ですから貴女のような者にも情けをかけているだけです。そんな事もお分かりにならないなんて、おめでたい方ですわ」


「天童さんこそ如月さんの事が分かってないんじゃないですか? 如月さんにはもっと高尚な志があるんです、勝手なこと言わないでください!」



 ま、また始まった…。


 しかもまた私の事で争うようになってる。



 う…、の、喉が…。


 何とかしないとと思うのに、二人の言い争う声が息苦しいくらいに私の喉を貼りつかせる。



「お、お二人とも。少し落ち着いて…」



 心臓が早鐘を打って…、苦しい…。


 それを押し込めて何とか絞り出した声は、二人の声にすぐにかき消されてしまった。



「何を分かったような事を仰っているのかしら!? あなたのような方に祥子様のお考えが分かるわけありませんわ!」


「分かってないのはどっちですか!? 如月さんはそんな了見の狭い人じゃないんです!」



 二人の興奮はエスカレートし、さらに大きく声を張り上げる。



 小心者の私は昔からこの言い争う声というのが苦手だった。



 生の感情を乗せた声というのはまるで鋭利な刃物みたいで、私の胸を突き刺し抉ってくる。


 抉られた胸は息が出来なくなるくらい苦しくなって声を出すのも辛くなるのだ。



 前世の私だったらこんな事に首を突っ込んだりは絶対しない。


 なるべくこういう場面は避けて、隅っこで小さくなって、小動物のようにぷるぷる震えてやり過ごす。



 だけど…。


 如月祥子はそういう訳にはいかない。



 原作だと女帝のように君臨していた祥子ちゃんは、好き放題やっているように描かれる事もあった。


 思い通りにならない事は無いお嬢様として。



 でも、実際はそうでは無い。



 祥子ちゃんには祥子ちゃんの重荷のようなものがあるのだと、こういう場面になるとよく分かる。




「――まあ! 何ですのその言い様は!!」



 ここで、とうとう天童さんの我慢の限界がきてしまった。



 顔を紅潮させ、さらに大きく声を張り上げる天童さん。


 桜井さんの外部生徒らしからぬ態度が、天童さんのプライドを甚く傷つけてしまったようだった。


 そして――



「きゃっ!!」



 天童さんから突き出された手が、桜井さんの肩の辺りを強打する。



 天童さん自身は、それほど強く突いたつもりは無かったのかもしれない。


 だけどその強打に押された桜井さんはバランスを崩し、その場に尻餅をついてしまったのだった。



 急に起こったあまりの事に、驚いて言葉を失う私たち。


 その場に倒れた桜井さんですら何が起こったか分からずに目を丸くしていた。



 静まり返る私たち。



 何とも言えない空気がその場を支配し、誰も言葉を発せずにいた。



 そんな状況に当の天童さんも最初は動揺を見せていたのだけど――



「ふ、ふんっ! そうしている方がお似合いですわ!」



 ――すぐに我を取り戻して鼻息を荒くし、そう云い放ったのだった。



 え、ど、どうしよう…。


 ついに手が出ちゃったよ……。


 こ、こういう時は…、どうしたらいいの? 


 やっぱり小動物になるべき?


 い、いや、小動物になってる場合じゃない。


 これ以上エスカレートしないように何とかしないと…いけない…よね?


 私が……。



「て、天童さん、少し落ち着いてください。それはやり過ぎでは――」


「も、申し訳ございません祥子様。私としたことが祥子様の前ではしたない所をお見せしてしまいましたわ」


「いえ、それよりも桜井さんと仲直りを――」


「そ、そういば、わたくし用事があるのをすっかり忘れていましたわ。こうしている場合ではありませんでした。祥子様、私これで失礼いたします。御機嫌よう。さ、皆さん参りますよ」


「え、あ、ちょっ……」



 逃げた!



 流石にばつが悪いと感じたのか、天童さんは一緒にいた二人と逃げるようにしてこの場から去っていった。


 この冷たく張り詰めた空気を残して……。



 ええ…、全部丸投げにして帰っちゃったよ……。


 いやまあ、ケンカが終わったのは良かったけど。


 この空気は一体どうしたらいいんだい、天童さん?




「桜井さん大丈夫?」



 私がこの空気に戸惑っていると、汐莉さんが尻餅をついて倒れた桜井さんに声を掛け歩み寄った。



「葉月さん……」



 汐莉さんは手を差し伸べて桜井さんの体を引き起こすと、ハンカチを取り出して桜井さんの汚れた手や服を拭き始めた。



「あ、自分で出来るよ」


「いいから、いいから」



 汐莉さん…。


 彼女はこういう時にすぐ行動できる。


 さすがヒロインだよ…。



 考えてみれば…。


 原作だと内部生徒から嫌がらせを受けていたのは汐莉さん一人だけだった。


 他の外部生徒たちは巻き込まれないように遠巻きに見ているという感じだったはず。


 もちろん汐莉さんに対する嫌がらせは今も続いているんだろうけど、原作のような酷いものではないと思う。



 これは…。


 少しづつだけど、原作と違ってきている。


 この世界が少し変わりつつあるという事だ。



 それは私が望んでいた事で…。



 変わるように動いてきたわけで…。



 私にとっては嬉しい事のはず……。



 だけど……。



 そのせいで別の所に諍いを生んでしまっている。



 本来汐莉さんが受けていた嫌がらせが桜井さんや他の人にまで広がってしまった。


 もちろん汐莉さん一人が嫌な目にあってる方が良いというわけではないけど、かといって他の子たちまで巻き込んでしまって良いというものでもない。



 桜井さんは勝気な子だから反発してるみたいだけど、他の子たちはそうはいかない。


 数も内部生徒の方が多いわけだから、この対立が大きくなってしまったら桜井さんも抗しきれないのでは…。



 ああ……。



 何だか私は凄く下手な事をしてしまっているのではないだろうか……。



 私の不用意な行動がまた別の誰かを巻き込むかもしれない。


 そう思うと私は目の前が暗くなるのを感じるのだった。




「はい、だいぶ綺麗になったよ」


「あ、ありがとう、葉月さん」



 汐莉さんはハンカチを使って、スカートに付いた汚れをパタパタと叩き。


 手に付いた泥は丁寧に拭い。


 桜井さんに付いた汚れをすっかり綺麗に落とし終えた。



 これには桜井さんも少し頬を染めて汐莉さんに感謝している。



 怪我の功名というのかな、こういう所で友情が芽生えるという事もあるのかもしれない。



 そう思うと悪いことばかりじゃ無いのかな……。




 …………。




 …………。




 それ、私のハンカチじゃない?




 ん…? えっ? 違う? 


 さっき洗って返すからって持ってったやつ……だよね? ん? あれ? 私の勘違い…? 似たのを持ってたとか…?



 いや、やっぱ私のハンカチじゃん!!



 んん!? え、どういう事? どういう事なのこれ!?


 何で? 何で私のハンカチ使ってるの? 


 ちょと、え…? おかしくない? おかしいよね?



 いやまあ別にいいよ? 洗って返してくれるわけだからね、別にいいんだよ。


 令嬢はそんな細かい事なんて気にしないしね。


 うん、ハンカチくらいどんどん使ってって感じよ。


 

 そうそう、ハンカチくらいね…。



 ………。



 んー。



 解せぬ!




「――如月さん」


「は、はい!?」



 ハンカチに釈然としないものを感じていると、そこに桜井が声を掛けてきた。



「私たち今日はこれで失礼します。ご迷惑をかけてごめんなさい」


「いえ、こちらこそ…。あまりお役に立てなくて申し訳ありません」


「雨宮さん、行こう」


「う、うん…」



 桜井さんは軽く会釈すると雨宮さんと共にこの場を後にした。



 気が付けば辺りは茜に染まる夕焼け時。

 

 私たちはその夕日を浴びる二人の後ろ姿を、暫く黙って見つめていた。



 彼女たちの残した雰囲気は、何だか声を洩らす事を躊躇わせるものがあったのだ。



 そして――



 風が葉を揺らす音、それがやたらと耳に響くような沈黙。


 そんな沈黙を最初に破ったのは晴香さんだった。



「なんだかパワースポットどころでは無くなってしまいましたわね」



 パワースポットか…。


 たった今その言葉を聞くまで完全に忘れてたよ……。



 というか…、正直な話もうあまり興味が……。



「日が暮れてきましたし、今日はもう探すのは無理そうですね」



 薫子さんはそう言うと目を細めて夕日を眺めた。



 いつも無表情な薫子さんだけど、その表情は心なしか私と同じ気持ちのような気がした。



「そうだね。じゃあ暗くなる前に今日はもうお開きにしよっか」



 と、汐莉さんがそう言ったときである。



 後方からある声がした。



 それはあまり馴染みのない男子の声。


 その声のした方に振り向いた後、私たちは唐突にパワースポットの真相を知る事になる。




「や、やあ、祥子ちゃん。こんな所で奇遇だね」



 少したどたどしく話すその声の主。



「な、鳴神様!?」



 そう、鳴神君だ。


 鳴神君なのだけど、私はその鳴神君の姿に我が目を疑った。



「ここは人が全然来ないとこだけど、何をしてるんだい?」



 そう言いながら徐々に近づいてくる鳴神くん。


 その声は少し高い位置から、私たちを見下ろすように発してくる。



 なぜそんなに高い位置からかというと――



「な、鳴神様こそ、その馬は……?」



 彼はなんと白馬に跨っていたのだ。



 嘘でしょ…!?


 白馬に乗って登場とか…、実際にやる人いるの!?


 さすがセレブの世界……。



「え、ああこれ? 僕、馬術部に入ったんだ」


「馬術部に……?」



 そう言っている間にも鳴神君の跨る白馬がどんどん近づいてくる。



 パカパカと…。



 馬が近くに……。



「これ僕の愛馬で、馬術部に入るのに家から連れてきたんだ」



 こわっ!!



 何これ凄い怖い!!



 馬って近くで見るとこんなに怖いの!?


 こんなの暴れたら人間なんて一溜まりも無いって!



「そ、そそ、そうですか…。あ、あの、あんまり近くには……」



 しかし馬は止まる気配も無く、どんどん近づいてくる。



「この辺は人気が無いから馬術部が馬の散歩に使って……ん、あれ?」



 私の上半身くらいはあろうかという馬の顔。


 それが目の前へと迫ってくる。



「お、おい、止まれ。と、止まれって! こら、止まれ!」



 ちょっ!


 制御できてないじゃない!



 その馬、乗り慣れてるんじゃなかったの!?


 危ない! 危ないって!


 早く止めてっ!!



 …………。



 ……あれ?



「あれっ!? あれぇ? ちょっ、何で? と、止まらない」



 鳴神君の乗った馬はその歩みを緩める事もなく、私たちの横を素通りしたのだった。



「お願い、止まって! 祥子ちゃん、こんなはずないんだけど。あれぇ、おかしいなぁ」



 その鳴神君の愛馬とやらは全く言う事を聞かず、そのまま歩き去っていく。



 時折、尻尾を揺らしながら。



 ぷりぷりっと落とし物を残して……。




 ええ…。



 あんた、令嬢になんて物を見せるんだ……。



 しかも放置だし。


 マナー違反でしょそれ。



 まったくもう……。




 私がそんな鳴神君に呆気に取られていると、そこに汐莉さんが声を掛けてきた。



「祥子さん。そろそろ私たちも……」



 急にインパクトの強いものを見せいで少し茫然としていたようで、私はその声でようやく我に返る事ができた。



 そして――



「そ、そうですね……」



 汐莉さんに言われて私たちも帰ろうかと踵を返したときだった。



 足に妙な感覚が走った。



 ぐにゃりという、妙に柔らかい感触の物。



 ま、まさか……。



 嫌な予感が私の脳裏を駆け巡る。



 私は恐る恐る、その足元へと視線を移し……。




 そしてその物を目にした私は……。



 目の前が真っ白になり。



 その林に木霊するほどの悲鳴を発したという。







いつもお読みいただきありがとうございます(/・ω・)/


ベタな上に令嬢らしからぬオチになってしまった事を深く反省しています('ω')

どうかこれに懲りず暖かい目で見守って頂けたらと思っているしだいです、はい(/ω・\)チラッ


では、また次回にお会いしましょう。

ブクマ、評価等、よろしくお願いいたします。

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