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29、私の知らない所でフラグを立てるのは許しませんわよ




 く、苦しい……!



 お腹の奥が燃えるように熱くて、鳩尾の辺りを握り潰すように締め付ける。



 こ……、これは……!?



 まるでお腹の中に何かが蠢いているような、酷く不快なものがこみ上げてくる。



 そ、そうか、これが……。


 祥子ちゃんが寝込むほどの体質というやつか……。



 うう…、熱い、熱い、熱い……。


 苦しい、苦しい、苦しい、苦しい……。



 な、何で、こんな事に……?


 食べ過ぎるとこうなるって、知ってはいたけど……。



 …………。



 いや、朝からけっこう食べてたかもしれない……。



 お菓子も結構食べてたし…。


 紅茶も結構飲んでたし……。一緒にケーキも食べちゃったし……。



 極め付きがさっきのバーベキューだ。



 普段の食事だったら、うちの料理人たちがしっかりと私が食べる分量を計算してくれている。だから、食べ過ぎるという事はまず有り得ない。


 これが当初の予定通りのカレーだったなら、一皿分の量しか食べないから大丈夫だっただろう。



 だけど、バーベキューは違う。


 どれだけ食べたか覚えておかないと、自分食べた量がよく分からなくなる。


 それに、汐莉さんがどんどん焼いていくから、釣られていつもよりも食べてしまった……のかもしれない。



 い、いや、別に汐莉さんのせいでは無いんだけど、汐莉さんがもっと食べろって勧めてきたんだよね……、汐莉さんのせいじゃないけど……。



 ぬうぅぅ、どんどん苦しさが増していく……。



 汐莉さんのせいじゃないけど……!




「みんなキャンプファイヤーの周りに集まってるよ。祥子さんも行かない?」



 私の苦しみに気付いていない汐莉さんが、呑気に皆の下へと誘ってくる。



「い、いえ、私はここで……」


「え~、行こうよぉ。何でも、この合宿所のキャンプファイヤーの前で一緒に踊った男女は必ず結ばれるっていう――」



 え、何それ? 聞いた事無いんだけど!


 そんなんあるんだったら、無理してでも千聖君と……。



「――そんな伝説は無いんだけど、きっと楽しいよ」



 無いんかい!!


 紛らわしい言い方しないでよねっ!



 あう……、さらに苦しくなってきた……。



「祥子ちゃん、顔色が悪いけどどうかしたの?」



 私の異変に最初に気が付いたのは怜史君だった。



「いえ、……大丈夫ですわ」


「えっ、祥子さんどこか具合悪いの!?」



 まずい、あまり大袈裟にされても困るんだけど……。



「大丈夫ですから、気にしないでください……」



 はぁはぁ、声を出すのが辛くなってきた……。



「ご、ごめんなさい、私気が付かなくてっ」



 どうしよう…。


 上手く収めたいけど、今は頭が回らない……。



「祥子ちゃん、大丈夫なのかい? 無理はしちゃだめだよ」


「祥子さん、私お薬貰ってこようか?」


「いえ……、あの……」



 この学園の内部生徒たちに対する気の使いようは異常だ。


 特に如月家や橘家に対しては腫物に触れるような扱いなのだ。それを考えると、合宿中に私に何かあったりしたら絶対大変な騒ぎになる……。



 下手したら合宿中止なんて事も…。



「祥子、お前ひょっとして……」



 うう、千聖君に気付かれたかも……。



「祥子ちゃん、辛いようようだったら僕が医務室に運んであげようか?」



 まずい……、これ以上ここにいると大事になりそうだ。



「い、いえ、結構…です。少し休んでいれば大丈夫ですから。それでは、私は先に部屋に戻っていますね…」



 なるべく重症に見せないように、なんとか声を振り絞る。



 そして、ゆっくりとベンチから立ち上がると…。


 う、やばい、眩暈が酷い……。


 お腹もだいぶ痛くなってきたし……。


 早く……、早く部屋に戻らないと……。



「しょ、祥子ちゃん、足がふらついてるよっ。大丈夫なのかい!?」


「祥子、俺が部屋まで連れていって――」


「待って、二人とも! 祥子さんは私が部屋まで連れていくから!」



 汐莉さんが語気を強めて二人を制止した。



 汐莉さんがあんなに強く言うのは珍しいな。


 どうしたんだろう……?


 そんなに私のお世話がしたいの? 気持ちは嬉しいんだけど、私は一人で構わないよ……?



 いや、そんな事より今は早く部屋に行って、いつも常備しているお薬を飲まないと。



「さあ、行きましょうか、祥子さん」


「……すみません、汐莉さん」



 側に駆け寄ってきた汐莉さんは私の身体を支えるように腕を回してくる。



 そして汐莉さんは、千聖君と怜史君に「ちょっと行ってくる」と言い残し、私と共にこの広場を後にするのだった。




 汐莉さんに支えられながらゆっくり歩いていると、キャンプファイヤーに集まる喧噪が、段々と遠くなっていく。




 その遠ざかる喧噪を聞きながら、私は視線を横に向ける。




 そこにいるのは、私を支える汐莉さん。




 その汐莉さんを見て私はこう思った。

 




 千聖君の方が良かったな……。








   ☆







「鞄の中にお薬がありますので……」


「はーい、すぐに用意するから、祥子さんは横になっててね」



 部屋に到着した私は、ふらふらとベッドの上に倒れこんだ。



 ここに移動してくる間にも私の容態は増々悪くなり、もう立っていられなくなっていたのだ。


 ベッドまで何とか辿り着いて、汐莉さんに私の鞄の中の薬を取ってほしいとお願いした。 



「タイミングが悪いというか、旅行中に急に始まっちゃうことってあるよね」



 ……ん?



 ……何が?



 私の鞄の中の薬を探しながら、汐莉さんが何やら不明瞭な事を話し始めた。



「私もあるよ、たまにそういう事。困るんだよねぇ…」

 


 ちょっと、この子は何の話をして……?



「それにしても、祥子さんはけっこう重い方なんだね」


「違いますっ!」



 さっきから何を言ってるんだろうと思ったら、そういう事か。


 ああ、それでさっき、千聖君たちを強く止めてたのね……。



 別にいいんだけど…、ぬぅ、千聖君に誤解されたかもじゃん!



「あれっ、違ったの!?」


「ち、違いますよ……。私は体質的にあまり食事を多く摂れないのですよ……。今日は少し食べ過ぎたようで……」


「そうだったの!? ごめんなさいっ、気が付かなかった」


「いえ、別に良いんですよ…。あまり、人には言ってなかった事ですから……」


「ああ、そういえば祥子さん、お昼ご飯あまり食べないもんね。そういう事だったのかぁ」



 納得する汐莉さんを尻目に、私の体の具合はどんどん酷くなっていく。



 うう、苦しい……。


 喋るのも辛くなってきた……。



「あ、お薬って、これでいいのかな?」



 汐莉さんが鞄の中から取り出して私に見せてきたのは、私用のお薬の入ったピルケースだ。



「は、はい、そうです……」


「じゃあ、お水入れてくるから、ちょっと待っててね」



 そう言って、汐莉さんはにこりと笑顔を見せた。



 汐莉さんはずっと明るい口調を崩さない。


 きっと私が滅入ってしまうのを防ごうとしているんだろう。


 優しくて、しっかりしていて、こういう時の手際も良い。



 さすがヒロインだ……。



 私だったらあんな風に出来るだろうか……。






 汐莉さんが用意してくれたお水とお薬を飲んだ私は、あとは安静にと布団の中に潜って横になった。



 枕を抱えてうずくまると、その枕がお腹に当たっている事で少し楽になる。


 疼くように熱いものが込み上げてくるけど、こうして目を閉じて枕を強く抱きしめていると幾らかはましになるのだ。



 それにしても、こんなに苦しいものだとは思わなかった……。


 祥子ちゃんの中に記憶としてはあっても、実体験というのはまた別物だった。


 気を付けてはいたけど、やっぱりどこか甘く見ていた所があったのだ。


 バーガーショップに行くと言ったときに千聖君が心配してくれた理由が、今ようやく分かったよ……。



 ううっ、あんまりこの事ばっかり考えてると苦しさが増すような気がするな……。



 く、苦しい……。



 うう、苦しいよぉ……、千聖くん……。



 助けてぇ……、千聖く~ん……。



 辛いんだよぉ……。



 声聞かせてよぉ~……。



 手ぇ握っててよぉ……。



 千聖くん……。



 ……。



 お願いよぉ……。



 ち、ち、ちち、ちゅうを……!



 ちゅ、ちゅうしてくれたら治るぅ~!



 にゅ~~~!!




 …………。



 うう…、私はこんな時まで……。



 ………。



 ………………。




 千聖くん……、お見舞いとか、来ないよね……?



 いや、今来られても何も出来ないんだけど……。


 苦しんでる顔もちょっとお見せ出来ないし……。


 ちょっと汗ばんじゃってるし……。



 お見舞いに来られても困るんだけど……。



 困るんだけど……。



 これが少女漫画みたいな物語だったら、ヒーローはヒロインのピンチに絶対に駆けつけてくる。


 必ず姿を現して、ヒロインを救ってくれるのだ。


 私が回復するまでずっと側にいてくれるのだ。


 そして目を覚ました私が、ベッドの脇で眠りに落ちた千聖くんを発見するのだ。



 都合の良い話だというのは分かる、実際にはそんな事はないっていう事も分かる……。



 でも……。



 心のどこかで期待している自分がいる。


 こういう時に登場して、優しい声でも掛けてもらえたなら、ヒロインではない私にも希望があるのだと。



 ヒロインではない私が、この物語のヒロインになれるんじゃないかと……。



 でも……。



 現実はそんなに都合良くはいかないのだ……。






 それから、誰かがこの部屋を訪れる事も無く小一時間が過ぎた。



 静まり返った室内には、布団にくるまる私がたった一人でいるだけ。


 外の音はまるで聞こえてこないせいで、まったくの無音状態。


 さすが青華院学園の施設だ、防音がしっかり利いている。



 でも、あまり音が無いというのも、気分が滅入ってくるよね……。



 体調の方はというと、お薬が効いてきたのか症状がかなり緩和されてきた。


 あの、鳩尾を鎖で縛られたような苦しみも、今はだいぶ良くなってきている。


 まだ完全とはいかないけども、さっきと比べたら雲泥の差だ。



 お薬を持ってきておいて良かった、あんなのがずっと続いたら合宿どころじゃないもんね。


 いやぁ、良かった良かった……。



 それは良いんだけど、やっぱり来ない、よね……。


 べ、別に良いんだけどっ。来られても困るしね! 脂汗いっぱい掻いちゃって、まだお風呂入ってないしね!



 はぁ……。



 来ないのかぁ……。



 来ないよねぇ……。



 来ないんだろうなぁ……。



 はぁ……。




 来ないと言えば、汐莉さんが一向に帰ってこないのよね……。


 だいぶ前に「ちょっと売店で何か無いか見てくる」と言って部屋を出ていったんだけど。


 一体、何をしているんだろう……?


 何も無かったから、そのままキャンプファイヤーの方に戻ったのかな?


 いや、それなら一言くらい言いにくるか…。



 むぅ、気になるなぁ。



 ひょっとして、何かあったとかかな……?


 何かのトラブルに巻き込まれて帰ってこれない……とか。



 …あ、あり得る。



 何故なら、彼女はヒロインだから。


 ヒロインと言えば、昔からトラブルに巻き込まれるのを得意技としている生き物だ。


 一歩外に出るだけでトラブルが雨のように降ってきて、その全てが恋愛フラグに変換されるという特殊チート持ち。


 それがヒロインというものなのだ。



 やっぱり、これは何かあったね。段々と確信に変わってきたよ。


 原作でも色々とトラブルに巻き込まれてたし……、いや、その殆どが祥子ちゃん絡みだったけど……。


 とにかく、汐莉さんが今フラグを立てようとしているという事は間違いない! ……気がする。



 そ、そうと分かれば、こんな所で寝てる場合じゃない……。


 至急に奴のフラグを折りに行かないとっ!



 そう奮起した私は勢いよく布団から出た。



 その瞬間、「うっ」と呻き声が漏れる。


 さっきよりは良くはなったけど、やっぱりまだお腹に不快感が残っている。


 正直言ってまだ辛さはある……。



 そ、それでも我慢できない程じゃない。



 そんな事よりも、こうしてる間にもフラグはバンバン立っちゃってる。


 初対面からマジのケンカをしちゃうくらいのフラグが!


 真冬の恋くらい絶好調なフラグが!



 こ、こうしちゃいられないよっ!



 髪がぼさぼさになってたのでブラシで軽く整え、鏡の中に映る祥子ちゃんの姿の前で気合いを入れた私は。




「如月祥子、参りますわよ!」




 誰に言うでもない言葉を口にし、その部屋を後にした。 



  





   ☆








 私たちの部屋を出たあと、汐莉さんは売店に向かった。


 汐莉さんがいるとしたらその辺りか、そこに行くまでの道だと思う。


 という事で、私はとりあえずこの施設の売店に向かう事にした。



 他の生徒たちはまだキャンプファイヤーに興じているのか、施設内には怖いくらいに人の気配は無い。


 静まり返った施設の廊下には私の足音だけが響いて、少しだけ緊張感が高まってくる。



 音が無いって、ほんと不気味よね……。


 せめてBGMでも流してくれたらちょっとは気が紛れるのに。


 まあ、ホテルじゃないからそんなサービスは無いだろうけど…。



 それにしても…。



 部屋を出る時は、あんなに勇ましかったのに。


 どうしよう、若干びびってきちゃったよ。


 よくよく考えてみたら、どんな事が起きてるか分からないんだよね……。


 

 ひょっとしたら、凄い怖い人に絡まれてるかも…。



 いやいや、そうそうそんな事は起こらないか。


 せいぜい何か無くして探してるとか、その程度のもんよ。



 その程度の…もんよ……ね?



 や、やばい、私、いま自分でフラグ立てちゃった?



 ど、どど、どうしよう、本当に怖い人に絡まれてたらっ。


 いや、あの汐莉さんだったらあり得るよ!



 きっと今頃、メスゴリラみたいなのに襲われて頭を齧られてるとか、そういう事態になってるんだよ。


 無理だ…、いくら悪役令嬢でもメスゴリラには絶対勝てないっ。



 どうしよう……。



 い、いや待って、汐莉さんはどこか発想の斜め上をいってる所がある。


 何もそんな狂暴な生き物に絡まれてるとは限らないよね。


 もっと、違った角度の何かよ…きっと……。



 生き物ですらないとか……。



 例えば、……。



 霊的なものとか……。



 いやいや、まさかね。原作でそんなオカルトの話なんて一切出てこなかったじゃない。この世界に霊なんて存在しないのよ。非科学的よ、非科学的!



 いや、でも…。


 すでに原作と違ってきているような気がするしなぁ……。


 この世界はあの話とは違う世界なのかも……。




 ――そんな事を考えていた時である。 



「あ、あ、あの、しょ、祥子さま…」



 私の側で消え入りそうな声が聞こえてきたのだ。



「きゃあぁぁぁ!!!」

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!!!」



 で、で、で、出た、出た、出たーー!!


 や、やめて、私は美味しくないから、やめてぇ!!



 仰け反りながら恐怖する私。


 周囲には誰もいない。



 何これ何これ何これ!? 怖い怖い怖い怖い怖い!!!



 ほんと、そういうの止めてっ!


 私ダメだからっ! そういうのダメだからっ!! 絶対ダメだからっ!!!



 ――さらに。



「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」


「――っ!!」



 震えるような声が足下の方から聞こえてくる。



 ぜぜぜ絶対聞こえたっ! 今、絶対に聞こえたよ!!


 何か謝ってたっ!!


 ごめんなさいごめんなさいって!



 …ん? ……謝ってた?



 私は、ゆっくりと声のする方へと目を向けた。



 そこで私の視界に入ってきたのは、頭を抱えてしゃがみ込む小柄な女の子だった。


 

 な、何、この子……? 


 まったく気配がしなかったし、足音も聞こえなかったよ?


 一体いつからそこにいたの? これだけ静かな館内なら誰かが近づいてきたらすぐに分かるはずよ……?



 ま、まさか、本当に……。



「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。あ、ああ、怪しいものではないんです……」



 あ、怪しいものじゃないの……?



 い、いや、怪しい人は皆そう言うのよ!


 そんな言葉には騙され……。



 ……。



 あれ、よく見たら学園のジャージを着てるじゃない?



 な、なんだ、うちの生徒かっ!


 ちょっと、びっくりするじゃないの、もう……。



 私は動揺を抑える為に深く息を吐いた。



「え、えと、あなたは……?」



 私の声にびくっと反応したその女の子は、恐る恐るその顔を上げて私を見上げてくる。



 凄く怯えた顔をした、ショートボブの可愛らしい女の子。


 たぶん知らない子だと思うけど、なんだろう……何処かで見たような?



「あ、え、えと、私は、あの……。祥子様の隣のクラスの、……もので……」



 その女の子はゆっくりと立ち上がって、たどたどしく話し始めた。



「隣のクラスって……、妃花様の?」


「そ、そう、そうです、ごめんなさい!」



 い、いや、別に謝る事じゃないんだけど……。



「えと、妃花様のクラスメートの……」


「あ、あの、私、桜羽、桜羽白雪(さくらはしらゆき)と、申します…」



 桜羽白雪さん……。


 聞いた事の無い名前だと思うけど、それよりも何でこの子はこんなに怯えているんだろう?


 私の事は知っているみたいなんだけど……。



 これはひょっとして、祥子ちゃんを怖がってる……のかな?

 


「初めまして桜羽様、わたくしは如月祥――」


「は、はい、祥子様の事は、パ、パーティーで何度かお目に……」



 怖がらせないように笑顔で挨拶をしてみたけど、途中で遮られた…。


 最後まで聞こうよ……。あと、私の笑顔も見て……。



「あら、そうでしたか。それは失念しておりました、大変失礼を致しましたわ」


「あ、い、いえ、あの、私が一方的に見ていただけで…。その、ちゃんとお話するのはこれが初めてでして……」



 恥ずかし気で訥々と話す桜羽さんだけども、その表情に笑みが浮かんだ。



 あれ、怖がってるわけじゃないのかな?


 単に緊張してるだけ? 


 

 そうかぁ、祥子ちゃんだもんね……。


 私も前世で如月祥子に会ったら絶対に緊張しちゃうわ。


 うん、分かる分かる。



「そうですか。では、今度からお見掛けしましたら、お声がけさせてもらいますわね、桜羽様」


「は、は、はいっ! あ、いえ、私なんかに、勿体ないです……」



 満面の笑顔で緊張を和らげてあげようかと思ったけど、あまり効果は無かったみたい……。


 何でよ? 笑顔が怖いとか、そういう事なの? まったくもう……。



 ……。



 いや、こんな事してる場合じゃないのよ!


 早く汐莉さんを探しに行かないとっ。



「ごめんなさい桜羽様。私少し急ぎの用がありますので、お話は今度またゆっくりと」


「あ、いえ、あのっ! わ、私、祥子様に急ぎお知らせしたい事があって!」



 桜羽さんは、早々に切り上げようとする私を尚も呼び止めてくる。



「私に知らせたい事…?」



「祥子様のクラスの方が、あの、大変な事に……」



「え……?」




 私のクラスのって、……もしかして?








いつもお読みいただきありがとうございます(/・ω・)/


世間では収束のつかない騒ぎとなっていますね。

皆さまのご健康を心よりお祈りしております。


それではまた次回にお会いしましょう(^^)/


ブクマ、評価、等頂きましたら咽び泣くほど嬉しいです;つД`)

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