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111話 代表戦⑩

「勝ったの…!?」


「負けたの…!?」


突然の決着にネリーと副隊長は驚くばかり。そんな中、エルフの女王は笑顔で拍手をした。


「うむうむ、双方見事見事。学園の代表達、しかもリュウザキやジョージの弟子らをあと一歩のところまで追いつめたというだけで素晴らしき戦果よ。よく鍛錬が積まれた弓術と竜使役術だの。対して学園側も良い策だ。竜に気づかせずに矢に精霊を忍ばせるとは、しっかりと精霊に指示が送れている証。見応えのある戦いだった」


彼女にはしっかりと見えていたらしく、称賛を送る。そして副隊長に声をかけた。


「ほれ、妹のところへ行ってやれ。心配なのだろう?」


「え、よ、良いのですか?」


「存分に褒めてやるがよい。私が認めるほどの腕だったとな」


「ありがとうございます!」


敬礼をし、副隊長は治療室に駆けていった。


「しかし、やるおるの。我らの代表が負けたのは悔しいものだが、ここからも面白く見ていられそうだ」


ネリーを横に侍らしながら、実に楽しそうなエルフの女王であった。





職員に担架で運ばれていくエルフの代表達と、それについていく竜達をさくらは見送っていた。


「大丈夫かな…やり過ぎちゃったかも…」


「ゼッケンには安全のために防御魔術もかけてある。すぐに目を覚ますよ」


そうメストが宥めてくれる。


「そういえば怪我はもう大丈夫なんですか?」


「うん、血は止まったよ。とはいえまだ痛みはあるけど、まあ大丈夫さ」


「クラウスくんは?」


「もうあまり大技は撃てないな…」


気づけばかなりの他代表達を倒し、こちらもそこそこに削られてきた。だが、周りには依然闘う面々。決着、つまり最後の一組が決まるまではもう少しありそうだ。強敵だったエルフ達を倒し、気が抜けかけた自分の頬をパチンと叩いて気合を入れ直すさくらだった。



「ん?あれって?」


視線の先にいたのはゴスタリア代表。1人やられたのか、2人になっている。彼らが相手取っていたのは開幕直前に言い争っていたどこかの国の代表達。そして、更に―。


「獣人の人達!」


先程乱入してきた鳥人と獣人の二人組がいた。彼らはほうほうのていで逃げ出した後、新しい協力者を見つけたらしい。



「どうする?」


「どうするって…」


クラウスに話を振られ、さくらは考え込む。正直、気持ちはある程度固まっていた。だが、少し不安なことがあり、口ごもってしまう。


1つは乱入をゴスタリアの面々は喜ぶか、ということである。先程、自分達が横入りされた時は迷惑だったのだ。いくら彼らが不利であるとはいえ、もし同じような気持ちなら邪魔をすべきではない。そんな気持ちがさくらの足を止めていた。


もう1つある。自分の気持ちだけで疲労が溜まっているはずのメストとクラウスを巻き込んでいいのか。ルール上、単独行動は可能。ならば自分だけで…


苦悩しているさくらの肩に、メストはそっと手を置いた。


「さくらさん、大丈夫だよ。思ったことを口にしてみて。さっきも意見が一致したし、今回も多分同じ考えだよ」


確かに獣人達の共闘要請を断る時、2人は直ぐに同調してくれた。なら、思い切って―!


「ゴスタリアの皆を助けに行きたいです!」


彼女のその言葉を聞いて、メストとクラウスは声を合わせる。


「「そうこなくっちゃ!」」





「くっ…!卑怯だぞ手を組むなんて!」


「なんとでもいえ!勝てればいいのさ!」


剣戟を重ねながら逃げるゴスタリア代表、それをまるで狩りをするように追いかける相手チーム。


「うっ…さっきまで接戦だったのに、獣人達が向こうについてからあっという間に1人やられちゃった…こんなの勝てないよ…」


2対5のこの状況、自分達が負けるのは時間の問題である。


「なんでこんな連中に負けなきゃならないんだ…!」


「はっ!やっぱりゴスタリアはひ弱だな。弱っちい王様の前で無様に散りな!」


自分らは他チームと協力していることを棚に上げ、煽る相手。だが言い返す余裕もない。


「畜生…!」


ここまでの数的不利はどうにもならない。ゴスタリア代表は悔しさから唇に血がにじむほど食いしばる。


「終わりだ!」


負けを覚悟し、目を瞑る。そんな時だった。


ギィン!


武器が交錯する音が響いた。


「…? あれ…?」


ゼッケンは外れていない。それどころか、相手の攻撃は割って入った子に―。試合開幕前に諍いを仲裁してくれたポニテの女の子によって止められていた。



「なっ!お前はさっきの!」

相手方も驚き、動きを止める。


そんな中、獣人達はさくらを仕留めようと動くがー。


ガァン!

キィン!


「俺たちを!」

「忘れてもらっちゃ困るよ!」


クラウスとメストによって阻まれた。



「学園代表…どうして?」


「見過ごせなくて…。あ、今更なんだけど加勢していい?」


ブンブンと首を縦に振るゴスタリア代表2人を見て、さくらは安堵の息を漏らす。よかった、迷惑はかかってないらしい。ならば、スッキリとした気分で戦える。


これで5対5。2チームvs2チームの変則試合。双方武器を構え、臨戦態勢となった。

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