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108話 代表戦⑦

「すごい…!メスト先輩に一矢報いた!」


ネリーは観客席から身を乗り出しかける。それほどまでに驚いたのだ。


「『曲の矢』の習得は相当の修練が必要。其方の妹、良き戦士だな」


「はっ!ありがとうございます!」


自慢の妹を女王に褒められ、副隊長は自分のことのように喜んだ。



「でも、折角決戦だったのに邪魔が入っちゃいましたね」


ネリーのそんな残念そうな一言を女王は笑い飛ばす。


「なに、我らエルフは元々狩猟民族。魔獣に囲まれることも想定しておかねばなるまい。丁度いい相手よ」





「まさか乱入してくるなんて…!」


クラウスを助けてもらいほっとしていたさくらだったが、獣人2人は迷わずこちらに仕掛けてきた。かと思えばエルフの方にもしっかりと攻撃している。もうなにがなんだかわからない。内心混乱していた。


遅れて参戦してきたクラウスも(助けられたことが少し悔しいのか、渋い表情で)剣を振るう。ただし、鳥人の子にはあまり攻撃を仕掛ける素振りはなかった。一応恩義を感じているらしい。


ただわかるのは、間違いなく彼らは敵であるということ。精霊達を召喚し、正面のエルフ達以外も警戒するしかない。


エルフ、学園、獣人の三つ巴。戦いは苛烈さを増し始めた。



「たっくよー。確かに俺もドワーフには苦戦させられたけど、助けることはないだろ。あいつ変なとこで律儀なんだよな」


鳥人の子と同じチームの獣人は大きく溜息をつく。装備しているのはクロウ。そのせいで獣らしさに磨きがかかっている。


「いくぜ!」


ガスッ!ガキンッ!ゴッ!


「うっ…!」


型も何もない無茶苦茶な連撃。だがそれはそれで強力。さくらは防戦一方となる。


「俺達獣人は腕力や脚力、色んな機能が人より強い。だから単純な力比べじゃ勝てないぞ!」


彼のいう通り、このままでは勝ち目がない。精霊を差し向けるも…。


「無理無理!」

ダンッと地を蹴り、一瞬で距離を取られる。精霊がそれを追いかけるが、間に合わない。すんでのところで躱され、決まり手になりそうな攻撃を与えられない状況が続く。


「上手く攻撃できない…」


エルフ達を狙おうとすると獣人がこちらを狙い、獣人を狙おうとするとエルフがこちらを狙う。実に戦いにくい。


それはエルフ達の方も同じよう。獣人達はチームでこそあるが、協力というよりかは単独行動が主。その分自由に動いている。暴れまわる彼らのせいで的が定まらず、竜達も混乱してしまっている。




「怪我を治す暇が無いな…」


メストは未だ血がしたたる腕を庇いながら戦っていた。場をかき回され、治癒魔術を詠唱する暇もないのだ。


1人は怪我、もう1人は魔力不足気味と学園代表の戦力は大幅ダウン中。中々場の流れを握ることができない。



そんな時、鳥人の子がさくら達の元にすっと降りてきて耳打ちをした。


「なあ、一つ提案があるんだ。協力してエルフの連中を倒さないか?」

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