法人税は企業が海外に逃げる? 消費税は雇用に優しい? 税の大嘘とその根本
法人税を上げると海外に逃げるだの、消費税は雇用に優しい的な主張は、実際のデーターなど全く見ない人間が雰囲気とフィーリングで語っているだけで、ほんの一部の要素に過ぎない事を全ての様に言っているだけである。
まず、法人税を上げると企業が海外に逃げる~から考えていこう。
そもそも、来るだの逃げるだのと言っているが、どんな状態を指してそうであると述べているのだろうか? タックスヘイブンに行けば、登記上の企業は数千数万なんてのは普通にある。アメリカのデラウェア州ウィルミントン、この人口約7万人の都市にある、とある薄茶色でブックオフやユニクロほどの大きさの2階建ての建物は約31万5千社の企業の登記上の住所になっている。勿論、この建物での営業実態など存在せず、登記と銀行口座があるのみである。ペーパーカンパニーと聞くと皆が想像する、事務所に机と電話があるだけなんて光景すら存在しない、マジで紙面上にのみ存在する会社、ガチのペーパーカンパニーだ。この建物はそういうペーパーカンパニーの登記事務や管理をする会社なのだ。(因みに、合法)ここを本店としている国際企業も多い。こういうのを指して、企業が居るとか言うのだろうか?
当たり前だが、企業が商売をするしないに税金のみで考える事は無いし、租税対策だけ考えるなら書類上の企業が有れば良いだけである。砂漠のど真ん中で「ここで商売すると税金は0円ですよ~」と言えば、スターバックスとかがサバクツノトカゲ相手にコーヒーを売り出すのだろうか? バカげた話だ。経済産業省の「海外事業活動基本調査」を見ると、なんで海外に企業が逃げたのか理由が書かれている。そこにある最大の理由は、今買ってくれる相手がいるが67.5%である。要するに、ビジネスが上手くいきそうだから来る、駄目そうなら去る、ただそれだけの話で、くだらない緊縮健全財政主義が幅を利かせているから企業が去っただけの話である。
法人税を上げると企業が海外に逃げるなどという珍説には一言で済む。
企業はとっくの昔に様々な法人税対策を行っている。何故していないと思えるのか? そんなもんより、デフレと不景気を何とかせい!
次に、消費税は人件費は非課税だから雇用に優しいとかいう説があるが、実態は全くの逆だ。成程、従業員の給料には消費税は掛からない。しかし、派遣社員の要請には税金が掛かる。となると、普通の人の感覚では「税金が掛からないなら、派遣でなく従業員を雇うのでは?」と思うモノだ。だが現実は完全に逆である。税金が掛かるからこそ、企業は熱心に派遣を利用するようになるのだ。
なぜそうなるか? 売り上げが一定以下の場合、”課税仕入れ”をした分に関して控除を受ける事ができる『仕入税額控除』という制度がある。つまり労働力を課税仕入れして売り上げを削減すると、企業にとって利益になるわけだ。損をすることで利益が生まれる。こういう複雑な税制を利用して、グローバル企業だのなんだのは、合法的に脱税⋯⋯もとい、節税を行う事ができる。ちなみに法人税にも、雇用や昇給で得られる控除制度があるが、市場選択の流れを見るに、売り上げ全体を抑制する方向の方が利益を出せるという状態のようだ。税という制度は『税理士』という職が成立し、税理士の腕に良い悪いという区分が成立するほど複雑怪奇だという事である。
だいたい、消費税の増加に伴い減少している税金がある。それは法人税だ。つまり、あるところからは取らず、単に取れるところから取っているだけという訳である。根本的な税収悪化の原因は不景気で、その原因はデフレだと分かり切っているのに、くだらない小手先ばかりを行う。根本的な対策はデフレ脱却のために何をするか? だ。
ま、そういうと円の信認だの国の借金が~とか言う訳だ。結局のところ、またしてもPB黒字化路線というくだらない代物が出てくる。財務省や竹中平蔵という構造改革論者を名乗るレントシーカーどもは、本当に対立煽りの天才である。中世に生まれれば、さぞ魔女狩りで私腹を肥やす異端審問官になった事だろう。いや前世か?
この税金の話も、根本的には彼らの行った行為による歪みだ。消費税か法人税かの前に、PBを廃止するべきなのは自明なのである。こんなもんは、浸水している船で「重いお前は降りろ」だの「俺の方がチケットに金を払った」だのと客同士で醜い争いをしているに過ぎない。くだらないじゃれ合いをする前に穴を塞げよと思うのは普通ではないか?
話の論点はたったひとつだ。PB黒字化は必要か? それが必要だと思うのは何によってか?
財務省は、税金を取って社会保障に使うと人々の消費意欲が上がる~と吹聴している。しかし実際には、社会保障などに使うことなくPBに全て突っ込まれている。税金取って捨てると、人々の消費意欲は上がるというわけだ。PB黒字化路線を支持するというのは、こんな馬鹿げた事を信じているというに等しい。
彼ら異端審問官どもの戦略は常に一貫している。あたかも自分たちが、中立の味方のフリをして、対立煽りを行う事で自分たちへの利益誘導を行いやすくする事だ。PB黒字化路線やパソナなどへの利益誘導など問題だらけだが、問題にならないのはくだらない対立争いに夢中で浮き彫りにならないからだ。こういう味方のフリをした敵を『フレネミー』という。なろう小説で謀略を書く時は参考にするべきだろう。
一度そういう意識を持って財務省や構造改革論者の言動を見直して見てはどうだろうか? 彼らはいつもコレに類似の事を言ってないだろうか? やれ郵政はどうの、やれ土建屋はどうの、やれ正社員はどうの、最後には彼らは日本人は既得権益などと言う出すのも時間の問題だろう。いや、もうすでにほとんど同義の事を口にしているか。
彼らが次にほざいている事は、診療方針削減で国民負担を抑えよ~だそうだ。
財務省としては国民たちを楽にしたげたいんだけどォ~医師会とかが反発するのォ~という事だ。
ま、コレに並行して、医者は稼ぎ過ぎだ~とかいうゴミ記事が出てくることだろう。コレが秀逸なのだ。人間だれしも、自分は意地汚い醜い存在だと思いたくないものである。しかし、ちょっとそういう行為をしてもいい理由を与えられると、人間ってやつは迷いも無くそれを行う。貧しければなおさらだ。デフレが道徳的だとかのたまう連中が未だに一定数いて心底ウンザリさせられが、彼らが目と耳を塞いで生きているのでなければ、彼らの心根がどういうモノか簡単に言える。
漫画村などを利用して、なんにも思わない人間だ。
そういう人間が、自分の汚さを認めたくない場合、大抵こう言うものだろう?
「紙とインクの原価はウマウマなのに、漫画本がこれだけするのはおかしい~」
そういう人間が、インクのシミを漫画本を見るほどしみじみ見る事などあり得ないが。
救いがたい事に、こういう事言う人間ってのはまだマシですらある。本気で、そういう行為が、賢い行為で、自分はやりくり上手なのだと臆面も無く主張する連中すらいる。コーヒー一杯で12時間ぐらい喫茶店に入り浸って冷房費を節約しよ~とかマジで言うどころか出版する餓鬼道の住人もいる。
医者は医者になるために、医学部で6年、研修2年と入試を考慮しなくても、最低でも8年もの弛まぬ努力をして医師免許を手にするのだ。そこから医者としてやっていくにも勉強、努力の連続である。資金的にも時間的にも労力的にも、莫大な投資だ。それだってミスがあれば医療訴訟、下手すれば人生台無しだ。医療というのは、そうして提供されるサービスなのである。そういうモノに対して「無料でいいじゃん!」と臆面も無くぬかすのがデフレの生み出した心根だ。実に道徳的で素晴らしい事だな。
PB黒字化というのは、そういうモノしか生み出さない事業であり、事実としてアメリカも中国も日本より遥かに高スペースで債務残高を増やしているが、彼ら健全論者が口にするような事は起きていない。彼らが頼みとするEU、あそこで何が起きていると思ってるやら? 完全に失敗国家に足を突っ込んでいる。先進国で橋がいきなり崩落するとかあり得るか? 緊縮バカが張り切って周囲の人間を地獄への道ずれにしているという現象が日本特有でないという事に救いを感じるべきなのか絶望を感じるべきなのか?
だいたい、財務省はホームページで、日本が財政危機に陥った場合に国債はどうなりますか、という問いに①財政危機に陥り、②国が信認を失えば、③金利の大幅な上昇に伴い国債価額が下落する。その結果ホニャラララする~と答えている。そうならないように、PB黒字化をしないとダメなんだ~という訳だ。
んが、財務省は手前のホームページで、財政破綻しませんと答えている。ちゃぶ台返しってレベルではない。①②③まとめて全滅だ。コレについて、国会答弁で問われても絶対に答えずにはぐらかすばかりだ。ハイパーインフレになる可能性がゼロとは言えないから~みたいな愚にもつかない事を毎度毎度口から垂れ流している。
健全財政主義の成功は、これが道徳的に善であると勘違いさせたことにあるのだろう。ヴィーガンだのアニマルライツだの、百害あって一利ない過激なだけな連中に共通する事柄だ。そういうのに限って、頭のおかしい大学教授がやたらとエールを送るところも全く一緒だ。