赤坂自民亭だの空白の66時間だとかいうデマについての考察
テレビを点けると色々な番組が溢れている。昨今多いのは、世情を面白おかしく書き立てたバラエティ番組だ。最近あの手の番組を見て「自分は正しい情報に触れている」と勘違いする人間が増えているらしい。あれらは娯楽番組だ。ゲルマニウムだの水素水だのといったニセ科学報道を信じ込むのとたいして変わらない。
それにしても報道の仕方も秀逸だ。番組として誤った情報は出来るだけ報道せずに、コメンテーターと称する人間を呼んできて「勘違い」をさせるような言動をさせるわけである。嘘なんて使わなくても、誤った情報を流布して見当違いの認識を植え付ける方法なんて幾らでもあるという事だ。あたかもテレビショッピングが「○○のおかげで良くなりました」と流しているようである。まぁもっとも肝心のニュース報道すらど素人以下の誤りに満ちていて、緊縮脳の悪影響は此処まで至っているのだなぁと悲しくなってくるが。
さて災害被害に当たって「空白の66時間」だか60時間なるデマが流布されている。その起点となる7月5日の2時ごろの気象庁による記者会見であるが『西日本と東日本における8日頃にかけての大雨について』で当時の報道発表を検証できる。そこには「記録的な大雨となる”おそれ”があります。」と注意喚起レベルの言葉があるのみである。勿論、この時点で土砂崩れなど存在せず犠牲者もいない。岡山に至っては大雨警報すら存在しない。
同じ日の夜に、安倍首相ら自民党議員が『議員宿舎』において以前より予定されていた『懇親会』を開いた。これがいわゆる「赤坂自民亭での酒宴」デマである。朝日新聞の総理動静によると『8時28分、東京・赤坂の衆院議員宿舎。自民党の国会議員らと懇談。上川陽子法相、同党の竹下亘総務会長、岸田文雄政調会長ら同席。』とあり次に『9時19分、報道各社のインタビュー』とある。わずか50分の懇談であり報道各社のインタビューに答えており「ヘベレケ」という状態ではないし、時事通信社の報道を見ると「懇談はどうであったか」といった質問しか乗せられていない。返答も「和気あいあいとしてよかった」とある。
至極当たり前である。
この時点でそんな予測は存在せず、犠牲者など存在してなかったのだから。
首相は未来予知が出来なかった事を責められているのだろうか?
だいたい、同じ頃に憲政記念館で野党がパーティをしていた事をどう認識しているのだろうか?
毎度お馴染みのダブルスタンダードである。これでは一方的な感情論に過ぎない。
7月6日の19:40に、気象庁より特別大雨警報が広島・岡山・鳥取に発令される訳であるが、官邸は7月6日の13:58に官邸連絡室を設置し『菅官房長官』から「官邸連絡室を中心に関係省庁が連携して情報収集に努め、先手先手で対策を講じること」と指示が発せられ、30分後には「関係省庁災害対策会議」が開かれている。 そして特別警報前に各地方自治体は対策本部を設立している。
さて、根本的な事を言ってしまおう。初動を行うのは官邸ではない。各地方自治体である。
避難の呼びかけなど、災害発生の恐れに対処するのは『都道府県・市町村の災害対策本部』なのだ。
そもそも、災害発生前に総理が『非常災害対策本部』を設置することは違法である。
災害対策基本法、第24条には『非常災害が発生した場合において、”当該災害の規模その他の状況により”当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法第四十条第二項の規定にかかわらず、臨時に内閣府に非常災害対策本部を設置することができる』とある。
言うまでもないことだが、災害が起きる前に災害の規模を認識することなどできない。
未来予知などできないのだ。そして、自衛隊は知事の要請によって出動できるのだ。
災害発生前に自衛隊を出動させるとか完全に論外である。
そもそも国家のトップが陣頭指揮をとってどうのいうのは、いつの時代を想定しているのだろうか? 上の人間が現場にしゃしゃり出てくることは、現場の混乱を招くだけであり、逆に対応が遅れたり誤った判断がなされてしまう事を、民主党政権での原発対応で学ばなかったのだろうか?
例えば、消防庁は7月2日の16:41時点で全都道府県、指定都市に対し「平成30年台風第7号警戒情報」を 発出している。翌日7月3日の11時30分には、応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置している。各役所は大雨や台風の時に規定のタイムラインがあり、それに従い行動しているのだ。
首相の役割とは、災害が起きる前に対応できる官僚機構と法律を制定する事である。災害が起きてから、陣頭指揮をしてどうのなどと言うのはパフォーマンスに過ぎない。泥棒を見つけてから縄を用意するような愚行だ。
日本国は法律・条例と官僚の規則で運営されているのだ。おまけに時間の流れも無視している。以上の事により、これらは時系列と法体系を無視した難癖に過ぎない。だいたい、批判の手法が「初動が遅れた『かもしれない』」だの「もっと救えた『かもしれない』」なんておセンチな主張に意味があるのか?
反省においても5W1Hは重要である。それが無い反省()はもっとガンバレバ~とかいう中身ゼロのネガティブを植え込むだけの儀式に過ぎない。根性論などお呼びでないのである。
批判をするなら、AによってBが出来なかった為に初動が遅れた程度の事を指摘すべきだ。「完璧でないから~」などというのは何かしらの報告書やレポートを書いたことがあるのか? と思うレベルの難癖である。
さて今回の災害に関して、誰に責任があるのか?
これは非常に難しい問題だ。野党が大嫌いな筆者としては「野党の緊縮策のせいだ」と盛大に言いたいところであるが、緊縮策は橋本政権1996年からずっと進められており、小泉政権下でも郵政民営化などの緊縮策が絶賛されたし、民主党の仕分けもウケ狙いで実施されたわけであり喝采を送っていた人たちはそこそこいた。自民に戻って、激減した治水対策費は戻されたが、はっきり言えば基準点からして緊縮されているのである。
さて今回の災害で蓮舫が「公共事業の費用を増額しようと」言っていた。コレを蓮舫に言わせる辺り野党は絶望的にセンスが無いと言わざるを得ない。それで、財源は? 補正予算が足りない~だとか口だけは達者だがその予算のどうやって捻出するつもりなのだろうか。また埋蔵金だの事業仕分けだの口にする気なのだろうか?
そして、今回の災害を絡めてIR法がどうの水道民営化かどうのという主張があるが、まったくのナンセンスである。個別の法案は並行して裁決作業を進められるに決まっているだろう。単に野党が国会採決を妨害するための理屈でしかない。
だいたい、災害対策で重要法案である『災害関連義援金に係る差し押さえ差し押さえ禁止等に関する法律案』を遮ってだらだら演説をぶって不信任案を提出しておいて言う事じゃない。いい加減に野党はくだらないパフォーマンスに終始しているせいで逆に国民の支持を失っているのだと理解すべきだ。反アベしか共通の政策を出せないなら分裂すべきだし、まともに対案をだしていればとっくに勝っているだろう。
辻元だの蓮舫だのと疑惑の総合商社のような連中を切れない。これが野党が選挙で勝てない理由の本質であり、それをしている限りいくらジミンガ~と言っても全く意味が無い。目クソ鼻クソという言葉はあっても、糞便と鼻クソじゃ比較にならん。
大雪や台風以外で気象庁が会見を開くのは異例であり、5日時点で浸水が起きており6日にかけてさらに雨がひどくなると予測されてたのだから、注意換気レベルの言葉は不足だったとの意見に対して。
そもそも、一般的な台風豪雨レベルの災害では非常災害対策本部は設置されない。非常災害対策本部が設置されるような災害とは阪神・淡路大震災クラスの災害である。さらに言えば、初動を動くのは各地方自治体と官庁の対策本部であり、内閣が設置してもパフォーマンス以上の価値を持たない。」