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案外、世界はバケモノ達で埋め尽くされていた  作者: 不備来
序章 ~均衡を保つ者達~
6/8

<エンティティ>名鑑 ①

 

 《オルゴイ・コルコイ》


 警戒レベル:A


 18XX年、現地諜報員(ちょうほういん)より、ゴビ砂漠周辺で体長1m程の芋虫型未確認生物の目撃情報があるとの連絡を受け取った《蘭社(あららぎしゃ)》が直ちに大規模な調査を行った結果、該当(がいとう)生物2体が捕獲され、《レッド・ワーム》と命名された。

 この生物は赤褐色(せきかっしょく)の体で致死性の毒を持つ。

 繁殖方法は未だ不明である。

 今ではこの生物は、現地では『オルゴイ・コルコイ』、英語圏(えいごけん)では『モンゴリアン・デス・ワーム』と呼ばれ、全世界で未確認生物として認識されるに至っている。



 しかし、この伝説は、当地域の監視の名目作りとカムフラージュを目的として、《蘭社》が半ば意図的に流布(るふ)した情報である。



 《オルゴイ・コルコイ》は、《レッド・ワーム》の最初の発見から数年後、《蘭社》が組織した特殊部隊と独自の地中探査技術を用いての『《レッド・ワーム》掃討作戦』の際に発見された、全長推定約5kmの芋虫である。

 外見情報は未確認だが、《レッド・ワーム》と同様の特徴を持つと推察されている。

 当初は、《レッド・ワーム》が異常な成長を遂げたものと考えられていたが、掃討(そうとう)作戦で捕獲した《レッド・ワーム》数十匹にはいずれも成長の(きざ)しが見られず、この巨大な個体がどのようにして存在するに至ったのかは不明のままである。

 《オルゴイ・コルコイ》は、ゴビ砂漠のXX地区、地下XXkmの地点において、とぐろを巻いた体勢で休眠状態にある。

 当地帯周辺には常に諜報部門員を監視のため配置している。

 対象を覚醒(かくせい)させてしまう危険性があるため、捕獲の試みはなされていない。

 発見から数百年が経つ現在まで、その脳波活動に変化は確認できず、覚醒するかどうかさえも定かでない状況を考えると、警戒レベルはBが妥当(だとう)である。

 しかし、捕獲が実質不可能な状況や、対象のあまりの巨大さから覚醒時には一刻も早い対処が必要である事を考慮し、Aと設定されている。







 《GT-ウィルス》


 警戒レベル:C


 《GT-ウィルス》は201X年に日本・関東エリアで発見、収容された。

 観察の結果、脱走事案発生等の危険性は無いと判断されたため、警戒レベルは最低に設定されている。

 感染すると脳、あるいは筋組織に直接働きかけ、身体能力を大幅に引き上げた上で周囲の人間を襲わせ始める。

 標的の優先順位、並びに人間以外の生物に対する反応は現在研究中である。

 更に、数時間が経過すると細胞を壊死(えし)させて感染者を死に至らしめる性質が確認されている。


 一般的な住宅街で男が一名、凶暴化して破壊活動を行っているという通報を聞きつけた《蘭社》戦捕部門員が駆けつけた時点で、既に当該(とうがい)地域では男による数十名の死傷者が出ていた。

 その後、細胞の壊死によって力尽きた男を《蘭社》が回収し、《GT-ウィルス》が原因と判明したのだが、アフターケアのため集められたいずれの被害者にも感染の形跡はなく、依然としてウィルスと男がどこから出現したのかは不明、感染経路も不明なままである。

 なお、警察に委託(いたく)して数週間の捜査を行ったにも関わらず、回収された感染者の男の身元は判明していない。


 感染者をコントロールして《蘭社》の軍事力とする試みはいずれも失敗している。

 これ以上の実験は未承認である。


これら未確認生物の事を《蘭社》では<エンティティ>と呼んでいます。

ここで詳細説明を行った2種以外にも、本編では幾つか<エンティティ>の名前が登場していますが、今後本編に関わってくるため今回は名鑑に載せていません。


ちなみに、大半の<エンティティ>には作者の裏設定みたいなものがあります。

名鑑には『不明』とある部分でも、作者はこう考えて作っている、とかそういう類のものです。また、その部分について《蘭社》上層部も知っている、あるいは当たりをつけている場合もあるでしょう。


読者の皆様も想像して楽しんでいただければと思うのです。

・・・思うのですが、中には頭を全くの空っぽ状態にしたまま作った<エンティティ>も存在します。

そして更に言うと、今回の《GT-ウィルス》はその最たる例です。つまり大した事を考えていません。すみません。すみません。


と、言うことで次回から第一章です。

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