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「えっ?」
「君が、人間とも妖とも認められない存在なのは、さっき聞いた。
だけど、元をたどれば、君は妖怪のハーフじゃないか。
同じ妖を敵に回しかねない行為を取るのは、君の両親の復讐のためなんじゃないのかって、思ったんだ」
エリスは下を向き、戸惑った表情を見せた。
「正直に言うとね・・・」
エリスが重たく口を開いた
「根本にあるのは、ダイスケの言うとおり、復讐よ。
両親が殺される瞬間の出来事は、今でも夢の中でフラッシュバックするくらい鮮明に覚えてる。
ベッドの下に隠れていて、そいつの姿は、足しか見えてていなかったけど、その声、匂い、クセ、全て鮮明に覚えているわ。
殺したヤツを探し出し、自らの手をその血で染め上げることで、死んだ両親と子供たちの弔いとする。
これが、私の目的だった」
「だった?」
「そう、今は、もう1つの目的ができたわ。
妖怪は少しずつだけど、人間社会に溶け込み始めている。
仕事をし、遊び、家庭を持ち。
自分たちを、殺そうとし、存在を抹消した妖怪たちに許せない感情があるのは確かだけど、憎しみから、生まれるモノは何もない。
ヤンや、いろんな人たち、妖怪に関わって、改めて思い知らされたわ。
私はね、ダイスケ。自らの戦いの中から、人と妖、妖同士の新しい共存の道を見つけ出したいの。
第三者の視点だから見えるものがある。
かつての両親のように、わだかまりも、障壁もなく互いが思いやり、愛し合える何かが、まだ、互いに残ってる。そう信じてる。
例え、自らが狂戦士に成り果てたとしても、それを嘘にしたくない。
これが、私の純粋な気持ち」
「・・・」
そう語った彼女の目は、力強かった。
凛とした“未知の原石”に引き込まれそうになる。
そういう強い信念が、ここまで彼女を強く、否、美しくしたのか。
「エリス・・・その・・・」
だが。
「オニーサン。ミサンガ、1コ2ユーロ。
ミルダケ、タダ。ミルダケ、タダヨ」
片言の日本語が、2人を我に返した。




