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 大介には信じがたい話だった。 

 しかし、彼には、心当たりがあった。 

 通学のために乗る電車。

 その車内の誰も座っていない、空いているのに誰も座ろうとしない席。

 そこに、時には人のような姿が、ある時は、見たこともない生き物が座っている光景を、見たことがある。

 誰も気づいていないし、気付こうともしない。

 彼も気づかないフリをしていた。

 あれが、妖怪だったら。

 「その折、1990年代前半からイリジネアでタブー視されてきた方法で生存を図ろうという声が出てきた。

  それが、妖同士の異種間配合“クロストレイト”」

 「なぜ、それが、タブーなんです」

 「2つの異なった妖が配合されれば、どちらかが滅んでしまう危険性があったからなんだ。

  極端な話、Aという妖怪50体と、Bという妖怪50体が異種配合をした場合、AまたはBすべてが絶滅してしまう恐れがあるってことさ。

  でも、現実は、エリスの様に、互いが激しい自己主張をするケースがほとんどだった。

  これに関して、各方面で様々な意見が起こり、賛成派と反対派の対立が起き、段々とエスカレートしていった。

  そして、1998年秋。最悪の事態が起きてしまった」

 「何が―――――――」

 「“98年の大虐殺キリングフィールド

  私たちは、そう呼んでる」

 白いワンピース姿のエリスが、バスルームから現れ、そう発した。

 「反対派の妖怪や魔術師が過激な行動を取り、クロストレイトによって生まれた子供と、その親が、世界中で次々と殺された。

  一部の子供は、人間たちの組織にかくまわれたりした。宗教や行政機関にね。

  人間社会にも危害を与えるほど、その攻撃は激しかったってことよ。

  最終的に、私を含めて4人の少女が生き残った。

  私たちは、人間と同じ容姿をしていても人間では非ず、妖の血が流れていても、妖とは認められない。そんな存在。

  そんな私たちは、両者から、こう呼ばれているの。

  混沌の乙姫おとめ―――“カオス・プリンセス”とね」

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