side?「取り戻せねーんだよ」
珍しく、今回理麻君どっちもでてきません。
篠宮が去った後、隼人は何気なく生徒会室の窓に近づき、背を預けて外を見た。
「いつまで隠れてるつもりだテメェは」
「一応空気読んでたんすけど?」
生徒会室と内側からつながっている、生徒会準備室から出てきたのは、生徒会書記兼会計の悠吾だった。
「あれが、『閃夜』ね」
「お前は気付いてたんだろ?」
「あ、ばれてたんすか?あの海のときにあったのが初めてだったんっすけどね。すぐに、ああ俺らとおんなじ匂いがするなって思ったんすけど……まっさかあの『閃夜』だとは思わなかったっすよ。つか、会長は今知ったんですか?」
「あんまり『閃夜』とは面識ねーからな。もっぱら『閃夜』はあいつとだし。俺は『皐月』が相手だったしな」
「って、なんでさっきチャンスだったのに殴るなりけるなりしなかったんすか?」
「……」
「ずっと探してたんすよね?俺にも情報を負わせて、仙道にリーダーの座を譲ってまで会長は……」
「戸惑ってんですよね?あまりにも似すぎてるから」
がらっと、生徒会室のドアが開き、入ってきたのは彰だった。
「仙道……」
「あいつ、確かにそっくりですね。沙那に」
「……」
「沙那って誰っすか?」
「お前は知らなくていーんだよ。仙道、おまえ、あいつが『閃夜』だって知ってたな?」
「まぁ、同室ですしね」
「なぜ俺にすぐ伝えにこねーんだ?俺があいつのこと探してると知らないわけではないだろ?」
「あなたがリーダーなら、一応報告義務があったんでしょうが。そうじゃない今、そんなこといちいちつたえるわけないでしょう?見つけたら報告してくれとは言われてない」
「お前……」
「それに、あの出来事は紗奈にも責任があるんじゃないんですか?あれじゃあ、俺だってわかんなかったですしね」
「それでも俺は……あいつだけは許せない。『閃夜』さえいなけりゃあいつは今頃……」
隼人の顔が次第に歪んでいく。こぶしを固く握りしめ、力強く歯をかみしめる。あの時の出来事はいまだに彼の中にひどい罪悪感と後悔と憎しみを抱かせていた。
「あなたはどうしたいんですか?『閃夜』を葬りたいのか……それとも……」
「そんなん俺の勝手だ。お前は口出しすんじゃねーよ」
そう言って、隼人は生徒会室から出て行った。
「そういえば、俺会長がなんであんなに『閃夜』を探してるかしらねー……」
「しらねーほうがいい……」
「はぁ?」
複雑だろう……恨みの対象と、最愛の人の面影がある人間が同一人物なのは……
久々に書くとそのキャラの口調とかよくわかんなくなります。
特に悠吾。もうわけわからない。