僕・理麻「え・・・おねがいって・・・これ?」
世間はいま、ゴールデンウィーク真っ只中です。で、そのゴールデンウィークを使って、歓迎会のご褒美をもらう人が多いみたいで、僕もその一人なんだけど・・・。
ぱっちん
ぱっちん
ぱっちん
ぱっちん
ぱっちん
さて、何の音だかわかる?
答えはホチキスで書類を留めてる音でしたぁ。
そしてここは生徒会室なんだよ。僕初めて入った。結構広くて、一番奥の窓側の席があの金髪の椎堂会長さんの席で、その前に向かい合わせで二つの机があって、その右側が副会長さんの席。僕が今座ってるのは会計兼書記の人の席らしいけど、今は出掛けてるんだって。
「理麻ちゃんせっかくの休みなのにごめんよ-。隼斗がうるさっくってさあ・・・。」
「い・・・いえ・・・。こんなことなら・・・ぼくにもできる・・・んで・・・。」
「その箱に入ってる書類が最後だから、もちっとがんばろっか。」
「(こくこく)」
副会長さんのお願いは、たまってしまった生徒会の仕事を手伝ってほしいってことだったんだ。まぁ、それなら体力使わないし、僕もぜんぜんできるからよかった。
理麻は書類を留める作業、そして歩は今回の歓迎会の企画報告書類作成をするためにノートパソコンに向かっている。よって室内は恐ろしいほど静まり返っていて、ぱっちんという音か、かたかたかたかたという音しか聞こえない。そして黙々と作業は進み、三時間後に全てが終わったのだ。
「いやぁー理麻ちゃんが手伝ってくれて助かったよぉ-!一人じゃ今日中に終わったかどうか分かんないもんね-。」
「なら・・・よかったです・・・。」
そう言われて、理麻も自然と表情が和らいで無意識にはにかむ。それを見て理麻に向かいあって座っていた歩が身を乗り出しかけたとき、生徒会室のドアが開いた。
「その様子だと終わったようだな。」
「うっ・・・・(タイミング悪―)。隼斗-!もっちろん!理麻ちゃんのおかげだよ-!」
「なら篠宮を生徒会副会長にするか?あ?」
「隼斗、目がマジなんだけど-。」
「ご苦労だったな篠宮。これは俺からだ。」
そういって椎堂は理麻の前にプラスチックの容器に入った黄色いものを置く。それは二層になっていて下は黄色そしてわずかな上の段に茶色い層がある。そしてちょこんと乗っかった白いクリーム。それはこの学園の寮の食堂に併設されたカフェの限定プリンだった。
「これ・・・って・・・。」
「休み返上で、この馬鹿がためた仕事をやらせた礼だ。全く、本来ならもっと違う内容の願いでもいいだろうに・・・・。」
「だってじゃなきゃ終わんないもん-!」
「威張るな!!だからこれはそれの給与。歩、茶煎れろ。」
「人使いあらいよ-!てか、僕の分はないのかな-?」
「あるわけがない。あ、コーヒーブラックな?」
「えぇー・・・しかもお茶じゃないし・・・。もう・・・理麻ちゃんはコーヒー?紅茶?緑茶?ウーロン茶?」
「こ・・・紅茶・・・・ください・・・。」
「あいよー。砂糖はなんこー?」
「み・・・三つです・・・・。」
「多!?」
「甘いの食うのに、さらに甘いの飲むのか・・・。」
理麻はおそろしいほど甘党ちゃんなのだ。ケーキとジュースは一緒に食べるのが普通だと思っている。
「理麻ちゃんやっぱ可愛い-。」
「かわ・・・い・・・?」
「さっさと入れやがれ馬鹿が!!」
「ごふぅ!!?」
「(びくびく)」
歩の後頭部にそこら辺にあった少々厚い本がさく裂した。頭をさすりながら片手で器用にお盆を持って戻ってきた歩。隼斗の前にコーヒー。理麻の前に甘甘の紅茶。そして自分の前に普通のストレートティーを置いた。理麻はその間にプリンの封を開けて付属のプラスチック製のスプーンでそれを掬った。そしてぱっくんと口に運ぶ。
お・・・おいしぃ・・・・・。うわぁ・・・やっぱりおいしいんだぁ・・・。なかなか食べれないんだよね・・・これすぐ売れちゃうし・・・限定10個だし・・・食べれるなんて幸せだよぉ・・・。会長さん・・・ほんとにありがとう~・・・。
「あっはは、理麻ちゃんすっごく美味しそーに食べてるー。ね、おいし?おいし?」
「はい・・・・。あの・・・会長さん・・・ありがと・・・ございます・・・。」
「残すなよ?」
残すなんて・・・残せる自信ないですよぉ!!
「理麻ちゃん、一口ちょーだい!」
「え・・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・・はい・・・・。」
ん-・・・独り占めしたかったけど・・・副会長さんに言われたら仕方ないよね。
一掬いしたプリンを向かいに座っている歩に差し出した。あーん、とそれにかぶりつこうとした歩だったが、そのスプーンは横から伸びてきた手によりさらわれ、プリンはスプーンの上から消え去った。
「え・・・・・。」
「あぁー!!!!隼斗が取ったぁ―――――――!!!」
「俺が買ってきた奴だぞ?俺が食う事に何の文句がある?だいたい、お前になんか食わせるために買って来てないんだよ馬鹿。」
ぺろりと意地悪げになにも乗ってないスプーンを舌でなめながら、プリンを奪った隼斗は歩を見てそういっていた。
う・・・うわぁ・・・・。なんだろ・・・かっこいい人って何やってもかっこいいのかなぁ・・・・。今の・・・様になってたよ・・・。女の子とかいたら今頃、キャ――――って言ってるよね・・・。それくらいすごかった・・・・。
そう思いながら、騒ぎ出した歩とそれをクールに受け流す隼斗を横目に、理麻はプリンを食べ進めたのでした。
えぇ~なお願いでしたね。すみません。デートでもさせるかと思いましたがこのほうが歩らしいかと。で、結局会長もいるっていうw
まだ書記兼会計が出てこない!?いつ出てくるんですか!!←
で?最後は会長が得した?
あれって間接キスに入るよね?
ひそかに理麻に惚れてる二人。そして理麻は気づいてないっていうw
会長は最強なのですね。