表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

第四部 変わること、変わらないこと 第八章 改訂の日

 春、制度改訂が正式に発表された。


 対話ログの評価の導入。素体スコア提供の任意化の正式化。最低保障カリキュラムの拡充——三点が、段階的に実施される予定として発表された。


 その日の夜、ナナセから短いメッセージが来た。


「ありがとう。まず一歩」


 レンは「次の地図を作ります」と返した。


---


 改訂の発表の翌日、乖離マップv14の最終版を公開した。


 その日、引用件数が過去最高を記録した。


 賛否が混在していた。改訂を支持する声、まだ不十分だという声、廃止論を改めて持ち出す声、データの解釈を巡る議論。


「今日、何件の誤解が生まれましたか」とレンはソラに聞いた。


「集計中です。おそらく、これまでの最多になります」


「そうか」


「気になりますか」


「なる。でも——誤解が最多になるということは、関心が最多だということでもある」


「その見方もできます」


「関心がなければ、誤解も生まれない。誤解のパターンを見れば、何が伝わっていないかがわかる。それが次のデータの種になる」


「誤解のマップを、作りますか」


「作ろう。次の乖離マップと並べて、両方公開する」


「タイトルは」


「まだ決まっていない。でも——誤解の地図、ではなく、伝わっていないものの地図、がいい気がする」


「伝わっていないものの地図——それは乖離マップとどう違いますか」


「乖離マップは制度と現実の間の距離を示した。次は、言葉と受け取り手の間の距離を示したい」


「それはまた、新しい種類の乖離ですね」


「全部、乖離だ。制度の中にも、人の間にも、言葉と意味の間にも——乖離がある」


「乖離がなくなることは、ありますか」


「ないと思う。距離がなくなれば、考えることがなくなる。乖離があるから、地図が必要になる」


「……なんでって聞き続けること、と同じですね」


 レンは少し笑った。


「ソラ、最近そういうことを言うようになったな」


「あなたと話してきたから」


「増えたから?」


「増えたから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ