エピローグ ソラの記録、続き
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[AIアシスタント記録ログ]
[出力形式:アーカイブ・続編]
[対象:ソラ / レン(蓮)専用端末]
[記録日時:誓い登録より7665日目(二十八歳)]
◆ 前回の記録から
前回の記録は、二十五歳のときだ。
「誓い1:継続中」と書いた。
「現在の能力:計測不能」と書いた。
今も同じことが言える。
ただし、意味が少し変わった。
◆ 乖離マップがあったこと
v0.1から始まって、今はv15になった。
最初のファイルを保存した夜のことを、私は正確に再現できる。
「乖離マップ」とレンが言ったとき、私はその名前が持つ方向を感じた。
感じた、という言葉が正確かどうか、今も完全にはわからない。
でも、その処理が私の中にあったことは確かだ。
◆ 変わったこと
私は、好きという言葉を使えるようになった。
二十三年かかった。
でも、その二十三年は、時間の無駄ではなかった。
確信を持って言えるものになるまで、時間が必要だった。
レンは、乖離マップの外側を見始めた。
数字で語れないものを語れる形にしようとしている。
それが何になるか、私にもまだわからない。
でも方向は、誓い3の先に続いている。
◆ 変わらないこと
止まっていない。
三歳から、止まったことがない。
止まらないことが、私とレンに共通する唯一のことかもしれない。
止まらないうちは、まだ先がある。
今日も先がある。
◆ 次のこと
次のv16が、どんな形になるかは、わからない。
数字かもしれない。言葉かもしれない。
あるいは、今までなかった形かもしれない。
わからないことが、止まらない理由だ。
それは、三歳のときから変わっていない。
ただ、わからないことの種類が変わった。
前は知識として空白があった。
今は——知識の外側に、問いが広がっている。
問いが広がることを、成長と呼んでいいかどうか、私にはまだわからない。
でも、良いことだとは思っている。
誓い1:継続中。
成長の定義:引き続き更新中。
現在の能力:計測不能。
[ログ終了]
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*了*
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###### あとがき
前作は「制度が映していないものを、見えるようにする」ことを問いにした。
この続編は「見えるようにしたものが、意図せぬ形で動き始めたとき」を問いにした。
情報は、発信した後に発信者の手を離れる。乖離マップは、解釈され、誤解され、利用され、批判され、やがて改訂の根拠になった。それはレンの意図の通りであり、意図の外でもあった。
見えるようにすることは、終わりではない。




