平和な日
TRPGで使うキャラクターにまつわる物語を書きました。
関連する単語はほぼ出さないつもりなので、軽い気持ちで読んでもらえると幸いです。
プラスチックの木でできたベンチに腰をかけて、足をぶらぶらさせている。
鉄で覆われた下層都市の公園は暖かく、橙色に照らされた粗雑な映像だけが冬の夕方であることを示している。
「ステラ、ようやく遊べるぞ。さァどうする?キャッチボールとかどうかな、ホラ」
荘厳なホログラムをはためかせ、王侯貴族ふうの男が、グローブをつけた手を振りながら小走りしてくる。
「お仕事お疲れ様。パ……お父様。でもあと三十分で消灯ですよ」
そっぽを向いたまま、淡々と伝える。不服さを言葉に乗せて、男の罪悪感を抉る攻撃を行う。
「ああ……ごめんね、ステラ。寂しかったろう」
男は申し訳なさそうな表情でグローブをはずして、隣に小さくなって座る。私がすこし距離を離すと、この世の終わりみたいな表情でこっちを見ながら距離を詰めてくる。ずうずうしいやつめ。
「……五時間です。五時間待ちました」
「うん……」
「おしりがぺたんこになるかとおもいました」
「ごめん……」
私の攻撃で、父がどんどん縮んで行ってちょっと面白い。
しばらくしょんぼりしている父を眺める。
さすがに無言がつらくなってきた頃、勢いよく立ち上がり、ぶかぶかのグローブをはめ、ボールを全部の指できゅっと握りしめる。
「パパ、あと二十分しかない。やるよ!わたしが最初に投げますからね!!」
「まってパパまだグローブしてない」
「待ちません!それ!!!!」
不意打ちで勢いよく投げたボールは、指からうまく飛び立つことができず、
「ぽす」と情けない音ひとつ立てて、やわらかい地面に落ちた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。




