シレットVS《強欲》ズグールチェニエ
アルデが産まれる数十年前のエストのクルクイの奥地の森にて。
クルクイの奥地の森に一軒の小屋があり、そこに眩しいうねる光線が何十本放たれた。
「アパラレっっ!!」
雷の眩しい光線は小屋に当たることなく、防御の魔法陣に阻まれた。
「死んでませんよね。全く衰えてませんね、これは……現在の名前はなんと言いましたか?」
「何しに来た、《強欲》の魔女?また小癪な悪戯を企みに来たか、フン!!」
しゃがれた声が怒りを露わにして、地面に杖を突く。
雷で先制攻撃をしたズグールチェニエが、小屋の前で杖で身体のバランスを保つシレットに歩み寄る。
「イマはシレットと名乗っておるわ、ワカゾウ。そんなつまらんことを訊きに来ただけではなかろう!」
「シレット……ふざけた名前だ、また。シレットと呼んでおきましょう、今は。それはそうと……シレット様こそ、またふざけた事をなさるのでありませんか?」
「ふざけた事とはなんだい、ワカゾウ?哀れな一族のガキを育てようとするのは、ふざけた事にあたるか?ズグールチェニエよ」
「今のところはどうかはわかりません、フフッ。それにしても……アナタ様はいつ死ぬのですか?」
「そんなのは妾が知りたいわ!そんな戯れ事ばかり抜かしておらず本題を言え、ズグールチェニエ!!」
シレットはしゃがれた声を震わせ、叫ぶ。
ズグールチェニエはローブのフードを深く被ったまま平然と佇む。
「本題なんかありませんよ、シレット様。どのような老け顔で隠居なさっているのか見に来ただけ。もっと老けて衰えてれば良かったのですが……」
「フン……《強欲》の魔女は何代継げばマトモな性格の奴が生まれるんだか。ワカゾウ、お主は何代目じゃ?」
「33代目ですよ、私は……シレット様に仕える者は今どちらに?」
「33代か。リリアックはお主の膨大な魔法を感知して戻ってくるじゃろうな」
一匹の蝙蝠がシレットのそばに飛んできて、止まった。
シレットのそばに飛んできて止まった蝙蝠は、燕尾服を着た人間に変わる。
「ヴラジトアレ様、いえシレット様先程の膨大な魔——」
「《強欲》の魔女様でしたか。慌てて戻ってきましたがご無事でなによりです、シレット様」
蝙蝠だった燕尾服を着た人間がズグールチェニエに身体ごと向いて、頭を下げる。
「遅いわ、リリアック。使い魔が使いもんにならんとは全く……」
「リリアックにも逢えたしもう帰るわ、シレット様。余計な真似はよしてね、ヴラジトアレ様じゃあまたね!!」
ズグールチェニエが箒を顕現させ、箒に跨がり、吹雪の中空を飛んでいく。
ズグールチェニエの姿を見送り、リリアックと小屋に入るヴラジトアレだった。




