転生者の少女
小さなキッチンでやかんがコトコトと鳴っている。
朽ちかけたテーブルに分厚い本が何十冊も積まれていて、資料も乱雑と載っている。
外では、小鳥が囀っている。
「あれはあれはあれは〜っと……」
資料を探し、床に散らばる紙を見つけようと這いつくばる私。
私が産まれた出身地の村は、既に滅びた。
私は17年前より昔に日本で生きていた。
日本で生きていた頃は、佐伯恋歌という名前だった。
ワイバーンの群れを一掃した報酬が残り僅かになった。
森を抜けて、街や国に行かないと生きれない。
憂鬱だ。
私が神から授かったのは、【言語理解】という能力だ。習っていない色んな国の言葉を理解出来るようになった。
【言語理解】のおかげで、極大魔法というのも使用出来る。
現在住んでいる森に移り住んで数年経ったが、誰も狂暴な魔物の討伐依頼を寄越さない。
今日はフルトゥナが姿を現してない。
いつ森を出ようか……
やかんの下のコンロの火を消し、ティーカップにやかんのお湯を注いで紅茶の茶葉を淹れる。
私はティーカップの紅茶を啜る。
木製の椅子に腰を下ろし、ティーカップの紅茶を啜り、眼前の本や資料を見つめる。
異世界に転生して、一人で閉じこもって何をしているんだ私……
思い出したくない昔の記憶が流れる。
ワイバーンや竜より恐いものはあるのか?
フルトゥナは私に優しく接してくれる。
私は彼女に気を許している。
私は常々運が悪い。
育ての親も私を育てきらず、姿を消した。
ティーカップをテーブルに置いて、ローブの袖に腕を通して、椅子から立ち上がる私。
フルトゥナを探しに行こう。
私は住んでいる小屋から出ていく。




