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早朝の魔女

作者: GONJI

それはある日の早朝のことです

いつものように朝4時過ぎに起床した私はルーチンとなってる三宝荒神さんと仏壇の水替えやお茶の用意をして、むっくり起きてきた犬にもご飯をあげました

そして、自分自身の朝食も食べました


まったく何の変哲もない日でした


犬も私も食後なので少し休憩して・・・ここでソファーにごろんと寝転ぶのですが、足の間に犬もやってきて同じようにごろんとしていました


5時45分・・・定時だ!

犬に「散歩行くかい?」と声掛けをしたら、足の間から起き上がってしっぽをふりふりしながら、私の顔に向かってきました


よしよし!


私は自分の部屋に戻って、犬の散歩用の服に着替えて・・・なんせ蚊に噛まれるのが嫌なので上下とも長袖、長ズボンです

それで、戻ってきたら、その服装を見た犬は散歩に行くのに確信を持ったようで、私の足から上半身に飛びついてきました

もちろんしっぽのふりふりは全開です


抱きかかえて一階へ降りて、玄関でリードをつけていざ出発!


9月も半ばになると朝晩はやっと過ごしやすくなってきた大阪です

この日も、爽やかな風が吹いていて、気持ちがいい!

犬に、気持ちがいいなぁ!と言ったらこっちをちらっと見てくれました


家を出て、一本表通りの道を挟んで向い側は小学校なのです

いつものように表通りへ出て左に曲がりました

犬も機嫌よく歩いています


50メートルほど行ったら、今度は左にある大きめの分譲マンションにそってまた左に曲がります

マンションの玄関前を通り、その隣の小さめの賃貸ワンルームマンションの前も通り、さらにその隣の2階建て貸長屋にそって左に曲がります


この先もずっと角ごとに左に曲がるのです

要するに散歩コースは反時計回りに進むのです


さて、ここからは数百メートル真っすぐで、昔からの村の中を進んで行きます

道幅も4メートルもなく両側は地の人の家が並んでいます


真ん中ぐらいまで来た時に・・・

あれ?・・・


何やら見慣れない、黒いシャツに黒いパンツという黒づくめで、長い髪を後ろで一つに束ねた女性らしき人がゆっくりと歩いているのが見えました


誰や?・・・初めて見る人やなぁ・・・


こんな早朝に何をしている・・・


それよりも・・・確実にこの女性よりも私の歩く速度の方が速い・・・横への逃げ道もない・・・これは間違いなく追いつくぞ・・・こんなご時世で残念なことに最近は女性を狙った事件も多いしなぁ・・・いややなぁ後ろから近づいたら不審者と思われないやろうか?


そんな想いが脳内を駆け回っていたのです

そうしながらもどんどん近づいていく・・・

彼女は道の左端を歩いているので、せめて右端を歩こう・・・でも道幅は4メートルもないけどね・・・


ついに追いつこうとしたとき・・・

何やら、この女性はスマホを前に掲げて、ブツブツと呪文のようなものを囁いているではありませんか・・・何なんだ?・・・


ついに追いついた!


「おはようございます!」と彼女は笑顔でこちらを向いた

私も笑顔で「おはようございます!」と言って事無きを得ましたが

どうやら動画撮影していたようです

村の中の風景を撮影してはったんやねぇ・・・


この日はこれで終わり!


ところが話は続きます


翌日、今度は朝6時半頃に散歩に出たのです

すると・・・散歩コースの違う場所で、今度は正面からこの彼女が動画撮影しているのと出逢ったのです

お互い笑顔で「おはようございます!」と言いましたが・・・


しかし・・・昨日とは時間が大分違う時に散歩に出たのにまた出逢うか?

何故、その時間に私が犬の散歩をしているのが解ったのだ?


ひょっとして、黒づくめの服の彼女の正体は早朝の魔女か?


なんてね・・・


それ以降は出逢っていませんが・・・


多分出逢った時に「おはようございます!」と言った時のシーンは後の編集でカットされているやろうね

勝手に私を出演させられへんしね


さて、あの魔女は今度は何処を歩いているのだろう・・・


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