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野菜オタクの苺ちゃんは手に負えない~お好きなお野菜はなんですか?~  作者: 山吹祥


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第29話 私はイチゴが食べたい(2)

「え、すごー!?」


 驚き声を上げた蜀黍こがねちゃんは、リュックを漁る手を止めて顔をグリンと向けた。


「てか、理事長に顧問お願いするとか、あーちゃんにしかできないよね」

「ご厚意で、だと思うけどありがたいよね」


「そっか、そっか! よかったね~、あーちゃん! おめでとっ!!」


 ふにゃりと笑った蜀黍ちゃんは「飲もうと思って入れてたの忘れてた~」と、ポケットから取り出したウイダーインゼリーをちゅーと吸い始める。


 お昼休みが始まりすでに十分が経過しているから、待ち切れなかったのだろう。


「おめでとうございます。無事に顧問が見つかったようで何よりです」


 五つの机を寄せ合い、その上を拭いてくれた木之香このかちゃんが微笑み、白菜しろなちゃんが「よかったわね」と後に続いた。


「木之香ちゃんも白菜ちゃんもありがとう」


 キノコ料理の試食で作り、お弁当用に冷凍していたミニハンバーグ。

 昨日の帰りに食べてみたいと言ってくれた木之香ちゃんと白菜ちゃん、菜花ちゃん。

 それから今日のランチにお誘いした蜀黍ちゃんの人数分詰めたランチボックスを私は机の中央に置き、


「――あとは三人で野菜部が結成できるんだけど」


 と僅かな緊張を自覚しつつも意を決し、

 三人へ勧誘を試みようとするが、10秒チャージを終えた蜀黍ちゃんが私の肩をチョンチョンと突いた。


「あーちゃんさぁ、確か兼部でもいいって言ってたよね?」


「うん、週に一度の活動さえすれば兼部でも大丈夫だって」


「あたし水曜日だけしかいけないと思うけど……あーちゃんがそれでもいいって言ってくれるなら、入部してもいいかな?」


「も、もちろんっ!! 活動は水曜と木曜の二日の予定だし、蜀黍ちゃんなら大歓迎だよっっ!!」


 勢いに身を任せ、蜀黍ちゃんへ飛び付いた。


「あ、もぉ……あーちゃんは相変わらず引っ付き虫なんだから~」


「ごめんね、私ったらつい! でも嬉しくって!!」


「いっちゃん? 夏玉さんも戸惑っているし放してあげようね。それで、入部届を渡してあげようね」


 菜花ちゃんに諭された私は、そうだ!

 と思い出したかのようにカバンへ飛び付く。


「ふふ、苺さん。私にも野菜部への入部届をいただけますか?」


 さっきの蜀黍ちゃんみたいに首をグリンと回し木之香ちゃんへ向く。


「シロナにも一枚よこしなさい。苺……って、こわっ!? ホラーじゃん」


 とか言いつつ白菜ちゃんは、抱擁を歓迎するかのように両手を広げた。

 私は「嬉しい!」「ありがとう!!」と感謝を伝え、白菜ちゃんをギュッとする。


「ちがっ、シロナはただ、苺が木之香に引っ付かないようにガードしただけだから!」


「そうなの?」

「そうよ!」


 冷静に観察できていれば、白菜ちゃんが木之香ちゃんを守るように前に立っていたことに気付けたかもしれない。


「私ったら勘違いしちゃったな」

「勘違いは誰にでもあるわよね! 許してあげるから離れなさい!」


「もうちょっとだけ、ダメ?」

「ダメ! ……じゃないわ。仕方ないわね」


 白菜ちゃんは諦めたような吐息を漏らし、私をキュッと抱き締め返してくれた。


「ありがとう、白菜ちゃん」

「いいわよ、これくらい。でも、今見せた目は反則だから次からは禁止よ」


 その目って、ダメと言われて寂しいなって思った時の目かな?


「ふふ、それなら私も――えいっ」

「っ!? ちょ、木之香!??」

「苺さんと私で挟む、シロちゃんサンドの完成です!」


 ほほーう、ハクサイサンドか。

 この世にはコールスローサンドもあるし、キャベツの代わりにハクサイを使っても美味しそうだからアリよりのアリかな。


 今度試してみよう。


「そ、そんなの誰が食べるのよ!!」

「はいはーい! あたしとはーちゃんが食べるよ!」


「え、夏玉さん!? 私も!?」

「もち! あたし、お腹ペコペコだもん~。てことで、いっただっきま~~すっ!!」


 両手を広げた蜀黍ちゃんと菜花ちゃんが左右からガブッと食い付く。


「や、ちょ、あ、暑苦しい!! ……ああ、もぉ~~召し上がれーーーー!!!!」


 と。お腹いっぱいになる前に胸がいっぱいになる時間を過ごしてから、私は創部申請書を取り出し、菜花ちゃん、蜀黍ちゃん、木之香ちゃん、白菜ちゃんの順番で部員欄へクラスと名前を記入してもらう。


「みんなありがとっ! 一緒に渡した入部届は、保護者のサインを貰ったら私に渡してもらってもいい? できれば明日までに!」


「別に平気だけど随分急ぐのね? やっぱり入部止めたとか、シロナは別にそんなイジワルとか言わないわよ?」


 白菜ちゃんは厭らしい笑顔を菜花ちゃんへ向けるが、菜花ちゃんはボーっとしていて無反応だ。


「菜花ちゃん?」

「……ん? あ、私は明日の提出でも問題ないよ。明日までに提出したら部費が出るんだもんね、忘れないようにしなくっちゃ」


 ふんす、と拳を作る菜花ちゃんのおでこに私はおでこを当てる。


「い、いいいいいいっちゃんんんっ!??」


 んー……菜花ちゃんがボーっとするのは熱が出た時くらいだから、もしやと思ったけど平熱が三十七度近い私よりもヒンヤリするから熱はないかな。


「苺、あんた……春乃が沸騰しているわよ」

「ん? でも熱はないみたいだよ?」


 やれやれ、白菜ちゃんはそんな風に肩を竦めた。


「部費に関わることのようですし、私も明日忘れずにお持ちしますね」


「あたしも忘れないようにしないとなー……ねね、あっきー? あたしの腕に書いて!」


「はい、木之香。コレ使って」


 白菜ちゃんから受け取ったペンで、木之香ちゃんが腕まくりする蜀黍ちゃんの腕に『入部届』と書きこむ。


「これでバッチリ~」


 ばっちり油性ペンに見えたけど平気なのかな?


「てか、お祝いにさ? みんなでパッと打ち上げしたいね!!」


「そうそう、ぱぁーっとね……って! 始める前に終わらせてどうするのよっ!!」


 白菜ちゃんの見事なノリ突っ込みを受けた蜀黍ちゃんは「間違えちった~」と、お茶目に舌を出す。


「打ち上げはまた別の機会として――」


 私は言葉を溜め、四人へ視線を送り、ある提案をする。


「――みんなでワイワイ結成パーティをしたいんだけど、どうかな?」


「いいね! さんせ~い! でも、あたしさっきからあーちゃんのハンバーグに釘づけだから食べてもいい?」


「ふふ、お腹空いたよね。ごめんね、蜀黍ちゃん。みんなも、お昼にしよっか!」


 嬉しいことに、キノコハンバーグは好評で綺麗に完食してもらえた。


 話し合いの末、今週の日曜日に五人で餃子パーティを実施することが決まり、楽しくて楽しみの増えたランチ時間となった。



 なったけど、



 ハンバーグの感想、

 菜花ちゃんは何も言わなかったけど口に合わなかったのかな?



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