表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
野菜オタクの苺ちゃんは手に負えない~お好きなお野菜はなんですか?~  作者: 山吹祥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/36

第17話 私は初物トウモロコシが食べたい(8)

「大粒で~、柔らかいっ!!」

「「おー!」」


 私には、剥かずとも判る。


「甘くて~、ジューシーっ!!」

「「おーおー!!」」


 この皮の下には間違いなく。


「ふっくら丸い~、高品質!!」

「「おー、おおーー!!」」


 黄金の実がぎっしり詰まっている。


「これが! 今さっき届いたばかりの九州長崎産トウモロコシ――だよっ!!!!」

「「おおおぉぉーーっっ!!!!」」


 菜花ちゃんと蜀黍こがねちゃんを連れ帰宅すると、私宛の荷物が二つ届いた。

 一つは笑住えすむからで、もう一つは美木さんからの荷物だ。

 私は逸る気持ちを抑え、二人をダイニングキッチンへご案内。

 そして笑住と美木さんへお礼のメッセージを送る。

 それから、美木さんから届いた荷物の開封の儀を経て、飛んだ。

 ふっくら美味しそうな13本のトウモロコシを見て飛んだ。

 筋肉痛? 治った!!

 尽きかけの体力? 全快!!

 だって!! ものすごく幸せな気分になったから!!!!


「あーちゃん、すっごく幸せそうだね~」

「だって蜀黍ちゃん!! こんなに最高のゴールドラッシュが届いたんだよ!!?」

「んえっ? ゴールド、なに? 必殺技?」

「ふふふ、蜀黍ちゃんは面白いなぁ。このトウモロコシの品種、それがゴールドラッシュだよ! つまりトウモロコシニウムだよっ!!」

「そ、そうなんだー? でも、トウモロコシにスリスリされると、なんか……うぅ! って感じになっちゃうから止めてもらえたら嬉しい」


「分かる、わかるよ、夏玉さん。私もね、菜の花じゃなくて私を見てって気持ち、凄く分かるよ!!」

「? それはちょっとよく分かんない」

「……夏玉さんと争わずに済みそうで私は嬉しいよ」

「? やっぱりよく分かんないや。はーちゃん、ちなみにコレっていつまで続くの?」

「私はいっちゃんについては誰よりも詳しいって自負してるけど、いつまで続くのかは、その時々で変わってくるから私にも判らない……」

「そっかー、ま? あーちゃんも可愛いし? あたしも運動部だからさ、こういうノリも苦手じゃないからいいんだけど……叔母さんに怒られないかな?」


 ま~ず~は~茹でるでしょう? 芯ごと入れて炊くトウモロコシご飯でしょう? たくさん汗を掻いたから冷製ポタージュなんかもいいよね?

 むふ、むふふふ~~それでも使い切れないよ~~まいったな~~。


「あ、ほら! お髭だってふさふさのふっさふさだよ! この髭の本数だけ中には実が詰まっているんだよ!? フォッフォッ――て具合にお髭遊びもできちゃうくらいだよ!? お髭をさっと洗えば揚げておやつにだって作れるよ!!」

「はいはい。でも、采萌ともえ叔母さんに怒られるから、そろそろ静まろうね? いっちゃん」

「いや、はーちゃん。バッチリ写真撮ってたら説得も何もないって」

「? お髭いっちゃんとか貴重なシーンを写真に残さないなんて勿体ないでしょ?」


 うんうん、勿体ないよね。野菜は鮮度が命。収穫してからどんどん味が落ちていく。トウモロコシは中でも顕著に表れる。

 意外と知られていないけど、収穫直後は生でも食べられる。

 それなら――やっぱり早く食べないと勿体ないよね。


「うん! だからラスト一回だけ歌ったらお昼にしよ…………っかなー、なんて?」


 元気よく振り返った真後ろには、采萌さんが仁王立ちしていた。


「……もしかして、うるさくてクレームとかきちゃった?」


 窓開けていたからなぁ、うっかり。


「クレーム、とはちょっと違うな。皆さん、微笑ましいと笑ってくれたから」

「あ、それならよかった」


 いつも気怠げな采萌さんがニコリと笑ったことで、私はお母さんがくれた『采萌が笑ったら反論したらダメよ』のアドバイスを思い出す。


(めっちゃ怖いっ!!)


「けどなー? トウモロコシは売ってないのか。食べたい、食べさせろとお客様たちがご所望だ」

「や……やるなー、私! 意図せず宣伝しちゃったのかー……はははー、はは?」

「店にない商品を宣伝したんだ。理解るな?」


 采萌さんは、とある場所へ視線をロックオンさせる。

 何が言いたいのか、何を要求しているのか、お客様を鎮めるために何が必要なのか、それを理解した私は心でシクシクと泣きながら返事する。


「試食宣伝用に、は……半分! 半分の7本お裾分けするよ!!」


 反論しなかったおかげで、采萌さんは普段の表情に戻してくれた。

 戻してくれたけど!

 采萌さんが去った後に覗いた箱の中には、たった3本しか残されていなかった。


 う、ううう……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ