表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
372/383

279回用蘊蓄

蘊蓄回です。


《279回本文 1》

まだ正式に授封更新が済んでいないので、男爵領内の騎士は誰も未だツァーデク伯に忠誠宣誓していない。

《本文ここまで》


 封建制には7階層がある。

封建序列(盾序列へえるしると)1:国王

封建序列2:精神的ガイストリヒ諸侯:大司教、司教

封建序列3:世俗的ウェルトリヒ諸侯:公爵ヘルツォク侯爵マルキオ辺境伯マルクグラフ、一部の伯爵グラフなど

封建序列4:自由領主フライヘル:大多数の伯爵グラフ子爵ヴィスコンテ男爵バロネなど

封建序列5:参審自由人しぇっぺんばるふらいえん騎士階級りったばる

6と7には名称が無い。

 騎士は領地を与えて臣従させた世襲の『家臣』と『陪臣』を持てるが、それ以外は金銭で雇った者や無償で働く隷属者であるということ。


 また『ばる』という語尾はburdigと同じで、ナチュラルボーン(生まれながらの)やウーマンボーン(女から生まれた(者))と同じ。騎士階級りったばるは騎士に就職できた/出来ない;を問わず『騎士の家に生まれた』『騎士になれる家系の者』を意味する。

 

 封建関係は

      封 主

       ↓(領地れへんを与えて臣従させる)

      封 臣

 むろん臣従とは軍事力提供契約であって、滅私奉公などしない。裏を返せば、滅私奉公は封建的でない。


 国王から最大七階層、土地の又貸し的なチェーンが封建制である。

 序列3:世俗的ウェルトリヒ諸侯は、序列1:国王からの封建;と序列2:精神的ガイストリヒ諸侯からの封建があるが、序列3以下は中とび無く3→4→5→6→7と続く。つまり同じ序列4である『伯爵』と『男爵』は封建的主従になる事はなく、上下関係は『宗家に従う分家一族』とか『軍事行動中での指揮命令系統』とかである。

 また、国王からの又貸し的チェーンと別系統で、個人的(もしくは世襲的)な私有地あいげんを与えられて臣従している者もある。

 例えば、男爵が離反して侯爵との君臣関係が解消されると、侯爵から封与された封地れへんを領有する権利も無くなるので、その土地から又貸し的チェーンで封建された騎士たちも封地れへんを領有する権利を失なう。しかし私有地あいげんを封与されている騎士は権利を失わない。


 この封主→封臣の封建関係は、いずれか一方が代替わりすると、一年と一日以内に『授封更新』を行わねば、正式な君臣関係が維持できない。


授封更新におけるコメンダシオンの儀式

挿絵(By みてみん)



《279回本文 2》

「いや、わたくしたちは caeligenus ではないが caelibatus ですから、何のことを仰っているやら皆目・・」

《本文ここまで》

  caeligenus :天国の生まれ

  caelibatus :(戒律で求められる)独身、禁欲。つまりchastity童貞


《279回本文 3》

少なくとも代官シュルツの裁判所げりひては関与しない。なぜって、自由民を裁く法廷だから。

《本文ここまで》

 法も正義も権利も同じ言葉 "Recht" だが、法が保護するのは自由人ふらいえんである。

 だがなぜか動物を裁く裁判がある。



《279回本文 4》

しかし、自分の所有する不自由民に対して暴力的な主人は、高価な着物を粗略ぞんざいに扱って平気で汚す人と同じくらい存在する。貴重な財産である馬を、癇癪ひとつで乗り潰す者も居る。

《本文ここまで》


 教会が『同じ神を信じる者を奴隷として使役する』ことを禁じたが、異教徒を奴隷にすることも、神を信じる自国民を異国に売り飛ばすことも平然と行われていた。

 教会すら、先天的奴隷人たる異民族を認めていた。

 奴隷の価格は70〜140Dukat(Gênes 14/15eme-siecle)

 かなり高価である。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ