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低地州東マルク貴族名鑑

個人名プラエノメンは一般に上の者が下の者を呼ぶ時に使うので、高位貴族の実名は作中には登場しない事が多い。


スールト侯爵

 アグリッパ大司教の封臣:封建序列3

 東マルクのマルキオ。往年の名将。

 一人息子の戦死が衝撃で少々呆けるが、(極度に)若い後妻を貰って復活する。


ヘスラー伯爵

 スールト侯爵の封臣:封建序列4

 アグリッパ近郊の強力な封建領主。

 侯麾下の将で戦友。男系の絶えたスールト分家に婿入りし、嫡出男子二名あり。

 兄貴分である侯の悪影響で、息子より年下の若妻と再婚する。


先代ツァーデク伯爵グスタヴォ(故人)

 スールト侯爵の封臣:封建序列4

 侯麾下の将で従兄にして戦友。分家当主であった。


ベアトリーチェ(故人、享年十九歳)

 略称:ビーチェ

 グスタヴォの一人娘。絶世の美女と言われた。

 スールト侯子の婚約者であったが、侯子の早逝により婚姻不成立。

 傷心癒えぬうち某怪人の子を宿したため、グスタヴォ慌てて婿を探す。


ツァーデク伯爵スヴェンフリート(当代)

 略称:スヴェン

 ツァーデク分家筋のコレーナ男爵。婿に入って伯爵を襲位。

 コレーナ男爵家は先代の不行跡により絶家。

 スヴェンは一代のみ男爵を名乗れるが領地は失っている。

 欠地男爵と貶され、伯爵襲位後は棚牡丹たなぼた伯と呼ばれた。


マティルダ

 略称:ティリ

 ベアトリーチェの娘。ありし日の母親に生き写し。

 スヴェンフリートの長女(公称)。

 スールト侯爵(母親の元婚約者の父)に嫁す。


伯爵長男(故人)

 ベアトリーチェの次子。

 命名前に夭折。母子ともに逝く。


ギゼラ(故人)

 騎士りったキルーク卿エーデルベルタスの娘。

 コレーナ男爵スヴェンフリートの婚約者。

 よんどころ無い事情で婚約破棄される。

 年下の先妻ベアトリーチェの死後、ツァーデク伯爵夫人に返り咲く。


キルーク卿エーデルベルタス

 コレーナ男爵家の忠臣:封建序列5

 御家の為、娘との婚約破棄を主君に進言する。

 コレーナ男爵家絶家のため、ツァーデク伯スヴェンフリートに仕える。

 同じ事だが。


スヴェンヒルダ

 略称:ヒルダ

 ギゼラの娘。

 スヴェンフリートの養女(公称)、実際は実子。


代官シュルツ騎士りったオスカー・ド・ブールデル

 スヴェンフリートの右腕:封建序列5

 ヒルダからは『オスカーおぢさま』と慕われる。


参審人シェッペン騎士りったザンドブルグ

 代官シュルツオスカーの親友:封建序列5

 主君と友のため東奔西走する。


先代パシュコー男爵(故人)

 スールト侯爵の封臣:封建序列4

 無敵の騎兵隊長と賛えられた往年の勇者。


先代パシュコー男爵夫人ガルフレダ(故人)

 男爵が晩年になって迎えた後妻。

 豪勇の騎士ゴドウィンソン卿の遺児。

 パトリスの要求により、子孫が爵位継承権を放棄することを条件に婚姻。

 これがパシュコー男爵家廃絶の主因となった。


パシュコー男爵パトリス(故人)

 通称:短足パトリス

 不肖の息子。馬に乗れなかった。

 夫人の入る修道院に莫大な寄進を命ずる判決を受けて、経済的に窮する。


元パシュコー男爵夫人

 夫有責で離縁、修道院に入る(公称)。実は教会の保護下にて市中に隠棲。


パトリス長子ガニミド(故人)

 女性に興味がない。

パトリス次子ガメル(故人)

 同上。散財し債鬼に追われる。


騎士りったド・ラメノ

騎士りったゼッツ・ツァドニ

 パシュコー男爵の騎士:封建序列5

 先代の信奉者で、当代パトリスを見限っている。


ガリーナ・ゴドウィンソン

 ガルフレダの娘。

 父親(男爵)の死後出生し、パトリスにより農民の娘として偽装される。

 身分確認訴訟に勝利し、参審自由人(騎士階級りったばる)の出生身分が確定する。



  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


封建序列(盾序列へえるしると)1:国王

      封 主

       ↓

      封 臣

封建序列2:精神的ガイストリヒ諸侯:大司教、司教

       ↓

封建序列3:世俗的ウェルトリヒ諸侯:公爵ヘルツォク侯爵マルキオ辺境伯マルクグラフ、一部の伯爵グラフなど

       ↓

封建序列4:自由領主フライヘル:大多数の伯爵グラフ子爵ヴィスコンテ男爵バロネなど

       ↓

封建序列5:参審自由人(騎士階級りったばる

       ↓

       :

  序列は7で終わり。


※ 封建序列は土地所有を媒介とした制度なので、土地を所有しない無産自由人ラントザッセ隷属民アンフライエは制度の外部である。したがって序列6と7は課税対象地主プフレクハフテ以上である。

 だが、参審自由人以上の人命金マンゲルド18プフントに対し課税対象地主と無産自由人は10プフントと倍近い落差があり、ヒアタスが余りに大きい。

 つまり、人命金ベースで見ると騎士以上と地主以下の間の溝が深く、土地所有者という観点では地主以上と無産自由人の溝が深い。


 或いは、騎士同士の争訟による決闘で敗北するなどの、種々の要因で騎士が他の騎士に臣従(即ち零落)する事態や、課税対象地主から更に浮上析出した富裕層の誕生など、中間層の発生を想定すべきかと思う。







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