237回用蘊蓄
本編続きは夕方にUPします。
蘊蓄回です。
《237回本文 1》
世間で親族の介入しない『恋人』婚は決して珍しくない。一般に、子供が妾腹と中傷されるリスクは、それほど痛くないからである。
《本文ここまで》
語弊を恐れずに単純化して言うと;
家同士が同意した婚姻Muntehe:婚姻する女性を後見する権利が妻の家族側から夫側へと移転する。
婚姻により妻は夫と同じ身分となり、子は父親の身分を継承する。
本人同士のみ合意した婚姻Friedelehe:教会の祝福や家族双方の同意を伴わない自由な男女同士の婚姻。
生まれた子供は自由人だが非嫡出とされる。家との和解によりMunt婚に復帰可能。
夫のみ、複数の女性と同時にFriedel婚関係を結ぶことが出来る。
妾制度Konkubinat :教会は禁止しているが法的には有効な非婚姻関係。
性的犯罪に走る男性の数を減らす効果があると信じられていたらしい。
多くの地位ある男性がメイドや隷属民女性を相手にして好き勝手に関係を持ち、生まれた子供は相続権を持たなかったが、彼は女性の身分を解放することも子供に自由や財産を与えることも自己裁量のうちで自由に出来た。
《237回本文 2》
「ああ。見てると、こっちが黒い汗流して死んじまいそうなのが居るな」
「その表現、わかりにくいです。一発で伝わりません」
《本文ここまで》
『ヴェニスで死ね』という話。Luchino Viscontiによる映画化も名作として知られる。
主人公の大作曲家(原作では文豪)Gustav von Aschenbach(演: Dirk Bogarde)がヴェニスで美少年に恋し、遠くから見るだけのまま海岸のベンチで死ぬ。
髪を染め頬紅をさし『いつでも新しい恋を始められますよ』的な無理目のお洒落をしたが、病に倒れる最後の時に髪染めが汗で流れて『黒い汗流して死んじま』うシーンはViscontiの演出。
BGMマーラー5番も美しいが、初めて美少年に恋するシーンのメリーウイドゥ・ワルツも素晴らしい。




