233回用蘊蓄
本編続きは今夜UPします。
蘊蓄回です。
《233回本文 1》
「侯爵夫妻の希望は一日も早い御継嗣の誕生です。祝別下さる大司教さまの日程をホラティウス司祭さまが、最速で押さえて下さる手筈なので、あらばち一発轟沈を狙って行きたいと思います」
「サムエル・フッド卿の故事でございますね」
《本文ここまで》
『あらばち割る』は若干品下った江戸時代的言い回し。
一発轟沈と続けたので更にデンマーク沖海戦のHMS Hoodで受けた。
ただしフッドの爆沈は一発でなくビスマルクの第五斉射である。
《232回本文 2》
「善哉《中略》。各所にて各員一層奮励努力せよ」
「侯国の興廃が懸かってるもんね」
《本文ここまで》
海軍ネタ、東郷へと続く。
《232回本文 3》
「その日、伯爵家の乙女が夫のベッドに入り侯爵家の女が出て来ます。いつの日か死が二人をわかつ時、残るのが伯爵家の女でなく侯爵の母でありますように、我が部隊は具体的に奮励しちゃいますよ」
「唯々(あいあい)さ」
《本文ここまで》
"Das wip is ouch des mannes genosinne, swen si in sin bette trit, noch des mannes tode is si ledig von des mannes rechte. "
"Die Frau ist ebenso Standesgenossin ihres Mannes, sobald sie in sein Bett tritt; nach dem Tod ihres Mannes ist sie von des Mannes Recht frei. "
(Sachsenspiegel Kapitel XLV.)
「妻はまた、彼女が彼のベッドに足を踏み入れるとすぐに彼女の夫の同等身分です。夫の死後には、彼女は夫の権利から解放(=生得身分に回復)されました」
メフィストのセレナード
"Als Mädchen ein,
Als Mädchen nicht zurücke."
「少女として入り
少女としては戻らない」
鴎外訳
「門を入る時ゃ娘で這入る。
娘では出て来ないぞえ。」




