231回用蘊蓄並びに画像
本編の続きは明晩UPします。
《231回本文 1》
「地雷って、なんだそりゃ」
「東方騎士団みたいなのが攻めて来たとき進撃経路に撒くやつだ」
「鴉の足のことか」
「踏んだら痛い」
《本文ここまで》
地雷は近代の兵器で、Krähenfußは西洋撒き菱である。
見た目がカラスの足に似ている。古代から存在する。
小型のものは対人戦用、大型は対騎兵用。突撃して来る騎兵を落馬させる程の効果があるという。
ここで東方修道騎士団を引け合いに出したのは、ドイツ騎士団(史実ではリヴォニア騎士団;『剣の兄弟』団)をエイゼンシュテインの映画でドイツ軍戦車隊のメタファーにしたコンテクストから、『地雷』という単語に当てたためである。
《231回本文 2》
「そこだよ! 醸造桶かぶせないと抱けないほどの醜女じゃないだろう?」
「俺は遠慮したいけどな」
《本文ここまで》
代官と伯爵
Sachsenspiegel-Heidelberg版装飾写本より
Ldr. III 80 § 1,1: 27R-1
Grundeigentum eines Abgabenpflichtigen geht bei dessen Tod an Schultheiß oder Grafen;
相続人なく死亡した者の不動産を没収するの図。
図左:シュルトハイスの方の担当する死者の頭付近に置かれているのが、ビール醸造用の桶。
死者が醸造業を兼業して貨幣収入を得ている裕福な地主層であることを示している。
この桶を頭に被せて何かしたという歴史的な記録は、特に知らない。
《231回本文 3》
「泥棒をお上に突き出すときは、そうやってぐるぐる巻きにしたら、盗品と一緒に縛るんだよ」
「ええ、宝石類なんで、持ってた袋ごと首から下げてます」
「お尻丸出しか・・だから袋で前を隠すわけね」
《本文ここまで》
伯爵と原告たち
Sachsenspiegel:Heidelberg大学所蔵版装飾写本の挿画よりトレース加工
10v-5
右より
伯爵(裁判長、裁きの剣を膝に);法廷の主催者
既婚者女性(裁判長に告発する暴行被害者)
未婚女性(裁判長に告発する暴行被害者)
窃盗犯を連行した男
連行された窃盗の現行犯(盗品を背に負う)
下
出廷した被害者(故人);遺体が生きた告発者として扱われ、遺族が代弁する
左端の窃盗犯を参照。
作中では逮捕時に全裸だったので盗品は背負うのでなく、首に掛けて前に垂らし、股間を隠したと述べている。




