214回用画像
《214回本文》
「でも、上の娘が嫁に出るとすると、次の伯爵はあの『銀髪ぱっつん』の婿か? 嫌だなあ」
そのあだ名、一般的らしい。
「それ、反対運動しようぜ。やっぱり本家の血筋でないとサマんならん」
《本文ここまで》
授封更新volgeを拒絶する上級主君
Sachsenspiegel-Heidelberg版装飾写本より
Ssp-5v-4
Lnr. 22 §3 Satz 1: Ablehnung des Gefolgschaftsangebots durch den Lehensherrn.
跪いて両手を差し出し、授封更新を求める相続人。
上級主君は、相続人の両手を掌で挟んで授封更新を認める。
上図は拒絶のポーズ。
封建制の君臣関係は、主君と家臣という一対一の契約関係であり、いずれか一方が死亡すれば、その都度に契約の更新が行われる。主君は妄りに更新を拒むことは出来ないが、裏を返すと、正当な理由があれば上図のように拒絶する。
相続人の犯罪歴、上級主君に対する逆心、相続の非正当性などは、拒絶の正当な理由となろう。
被相続人の殺害は相続権者の排除理由になる。
相続に対する異議申立訴訟の存在は、複雑な影響を及ぼすだろう。
むろん力づくで封臣を排除した例も、それが元で他の封臣らの反発を喰らい国が乱れた例も、探せば幾らでも有るが。
妻が親から相続した固有財産については夫には相続権が無いが、妻の後見人としてその用役権を得る。
これに対し、爵位は『妻の権利』jure uxorisを使って継承することが出来る。
継承した爵位は、妻の死後に娶った後室の息も相続可能である。
これが養女の配偶者となると、他の血縁者の反発が予想に難くない。更新拒絶の正当な理由となるか否かは疑問だが、さらに財政状態が劣悪であると拒絶されるかも知れない。




