209回用蘊蓄
蘊蓄回です。
<209本文1>
「そんな昔のこと覚えとらんわい」
「矛盾しておられますわ。ずっと先のことも計画して頂きませんと」
<本文ここまで>
Yvonne: Where were you last night?
Rick: That's so long ago, I don't remember.
Yvonne: Will I see you tonight?
Rick: I never make plans that far ahead.
"Casablanca"(1942)
Humphrey Bogart as Rick Blaine
Madeleine Lebeau as Yvonne
<209本文2>
「お嬢ちゃんは伯爵家の正統な血筋なんだ。実の父親が誰だって母親の固有財産は相続できる。おまけに、既う当代伯爵が認知してるんだから、父親が逝っちゃえば女伯爵確定さ。傍系の親類が騒ぐ余地無し」
<本文ここまで>
先代伯爵の死去で、伯爵家固有の世襲領は直系卑属であるBeatrix(Mathildeの母)が相続した。伯爵の位は入婿のSwenfried(Swanfriedではない)がJure uxoris(妻の権利)において相続した。
つまり彼は伯爵として授封された領地を領主として、妻の領地を後見人(夫)として支配している。
Beatrixの死去により世襲領は直系卑属であるMathildeが相続した。Swenfriedは彼女の領地を後見人(父)として支配している。
従って彼女を実子と認めないと不利益が大きい。むろん認めないことの正当性を立証することも難しい。
Mathildeが死亡すると、現在のところSwenfriedが第一位の相続権者である。
Mathildeが結婚すると、法定後見人は彼女の夫に交代する。
Swenfriedの爵位については、彼が死亡もしくはその他の理由で権利喪失した場合に相続権者間の合意に基づいて後継者候補が選ばれるが、更新を認める/認めないの判断は伯爵を封建した上級主君のSoult侯爵の意思である。
その問題で紛糾すれば、さらにその上級主君であるAgrippa大司教が影響力を行使することになろう。
本編は夕刻にUPします。




