194回蘊蓄
蘊蓄回です
<194本文1>
「一見して独身男の居室がふたつ。一方には金拍車が置いたまま。他方は着替えを持ち出した痕跡」
「戻って来たのは弟ヘンツですね」
<本文ここまで>
騎士叙任で銀拍車が金拍車に交換される。つまり金拍車は騎士身分の象徴。
変装して出かけたゼンダ・ブルスは自室に金拍車を置いていった。
つまり家に私物を取りに帰ったのは彼ではない。
<194本文2>
「さぁ。痣とかかな。それより司祭さまに2グルデン支払わないと不可いけないんだ」
「なんのお金?」
「立て替えてもらった身代金」
<本文ここまで>
安い豚一頭の市場価格。
中世の物価史料では鶏一羽の24〜36倍が豚一頭である。
現代では鶏一羽約三千二百円で、豚はその12倍。
飼料にする穀物の育成効率が悪いので、大型哺乳類ほど高価なのだろうか。
<194本文3>
「いくら?」
「五万グルデンにて」
「三万」
「とてもとても」
「四万」
「五万」
「・・わかったよ」
<本文ここまで>
男爵の年収が300〜500ポンド。多い方で1万グルデンと換算。
永続的収入をもたらす荘園の権利として、5年分の収入に相当する購入価格となった。
史料
Medieval Price List
http://medieval.ucdavis.edu/120D/Money.html




