171回用画像
挿画に代えて史料を紹介します。
《171回本文》
「だが身代金は払った。昔ある国の豪傑が海で難破して敵の虜囚になった時、或る大公が身代金を払って臣従させた。豪傑は彼のために戦って、隣の公爵領を奪って来た」
「こいつ、そんな役に立ちますかね」
《本文ここまで》
ハロルドとヴィレルモ
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Bayeux Tapestry
HAROLD SACRAMENTUM FECIT VVILLELMO DUCI
("Harold made an oath to Duke William")
Harold Godwinson(右の口髭の人物)は難破してPonthieu伯の捕虜になったところをNormandy公ギョーム二世(VVILLELMO DUCI)に救出されたので、聖遺物にかけて臣従を誓っている、という場面。
どれだけ史実かどうか疑問の余地があるがHarold Godwinsonはギョームのために彼の敵対者ブルターニュ公Conan二世を屈服させているので、それだけ感謝することがあったのは間違いなかろう。
しかし、この借りはもっと高くつく。
Harold Godwinsonがイングランドの玉座につくと、ギョームは誓約を盾に王位を要求する。
Harold は北から侵入するNorwayの苛烈王Harald Hardradaを戦死させ、南にとって返して上陸してきたギョームとHastingsで戦うが、強敵との二連戦は無理だった。
かくてイングランドの玉座は、フランス語を話す人々の手に渡った。
Harold Godwinsonの大きな口髭はいかにもサクソン人(北ドイツ系)らしい特徴。
顎鬚を剃り口髭を伸ばすのは、バジリクのスキタイ騎士や突厥の石像などを見ると、フン族あたりの齎した東方の風習かもしれない。




