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ぼやきと戯れ言

キーワード「溺愛」の凋落っぷりが酷い

作者: 黒森 冬炎

末尾に、附録として最古のキーワード「溺愛」作品データを追加掲載しました

2022/11/16 データ転記ミスを修正

データ取得は2022/11/15 夜です

11/16朝取得の本年分データを調べたところ、総数のみだと増えていることが判明しました。くわしくは末尾の追記。


恋愛ジャンルの物語には、溺愛とかツンデレとかヤンデレとかいろんなサブカテゴリーがありますよね。筆者が小説家になろうにユーザー登録した頃は、溺愛タグの小説を読んでみると、主に物理的密着型のヒーローが多かったように思います。


念のため書いておきますと、恋愛ものには独特の用語がございまして。いつの頃からか、主人公のお相手となる男性のことを、ヒーローと呼びならわしているのでございます。最近はまた変わってきたかもしれませんが。



さて、溺愛という用語ですが、どうも筆者が思っていた基準は少し間違っているみたいなのです。そこで、読もうの検索機能で確認してみました。結果として、現在のなろう恋愛ジャンルでは、数年前の溺愛タグとは「溺愛」とされる内容がかなり違うことが分かりました。



筆者がなろうに登録した2020年の前後に、溺愛タグ作品で多かったのは、ヒーローがヒロインに異常とも言えるスキンシップを取っているものでした。この頃、恋愛に限らず全般的にハイテンションギャグが流行っておりましたからね。異常接触型溺愛ヒーロー、人気でしたよ。


膝乗せ、あーん、ベタベタ、何かというと髪の毛キス、抱きついて離れない、時に主人公はヒーローをくっつけたまま引きずって歩く。ストーキング行為、極端な嫉妬。ものすごく高価な贈り物。等が典型的な溺愛ヒーローたちの行動でした。



それが、いつしかハイテンションは気持ち悪いと言われ、それに伴って異常接触型のヒーローも無理な方へと追いやられ。


本日の検索結果によりますと、2022年11月にキーワード「溺愛」で初回掲載された小説のうち、10000pt以上獲得している作品は、全ジャンル検索で7作品。恋愛のみでも7作品、今のところ11月の新作で10000pt以上獲得した「溺愛」作品は、全て異世界恋愛でした。そのうち初期型「溺愛」作品は僅か1作品だけ。書き手には不人気みたいですね。


この7作品の内訳はどうなっているのでしょうか。


家族愛や、悪役への態度を指して「溺愛」と表現する作品が半分程度。メインカップルについてではあるが異常接触ではないもの、しかも普通の恋愛感情を、「溺愛」としているらしきものが半数。



今回抽出されたものは長編が多かったので、じっくり読むかどうか迷いました。検証するためなら、そもそも11月新規投稿分だけでは不十分です。ざっくりわかればいいので、題名、あらすじ、部分読みでぼんやりと判断致しました。


なお、10000ptを指標としたのは、キーワードが妥当だと読者が感じた、と見ていい境目は4桁かな、と思ったから。溺愛を読みたかったのにタグ違いだ、と思えば評価は厳しくなるでしょうからね。読者から溺愛と認められる基準として、参考になりそうなのです。



ただ、タグを見ない読者は多いようです。Twitterなどでも、10年前には大量のハッシュタグをつけてましたが、現在それは嫌がられますからね。タグ文化は下火かもしれません。


なろう投稿作品の場合には、つなげるとひとつの文章になるタイプのタグや、大量タグ型が未だにあります。一方で、キーワードが極端に少ないか全くない作品も、ランキング上位で見かけます。


そして今回は抽出範囲を限定しませんでした。キーワード欄だけではなくて、題名やあらすじも含めての検索です。それでも今月初回投稿された作品のうち、キーワード「溺愛」で累計10000pt以上のものは、7作品だけです。



本稿で注目したのは、家族や敵ではなく、メインカップルの溺愛とされる行動や感情です。


と、申しますのも、筆者が「ほのぼの」タグやそれすらつけずに投稿した作品について、「溺愛」と評価してくださる方々がいらして、驚いたのです。

筆者にとっては、極めて日常的な恋愛感情や恋人同士のやりとりだったんですが。これは私の感覚がずれているのか?


筆者としても、従来型のなろう溺愛表現は異常だと感じます。批判が高まっていた時期の「溺愛」ヒーローの行動は行き過ぎでした。公衆の面前での破廉恥行為や、絶え間ない監視行為など、現代日本の感覚では犯罪者としか思えない行動をとっていました。ギャグなら面白いんですけども。



そんなわけで、現在、読者や作者の皆さんが「溺愛」と感じるのはどんな作品なのか気になっていたのです。上記のような条件で検索した作品を軽く覗いてみたところ、なんと、メインカップルの行動について、ですらないものが半数。時代は変わりました。


溺愛とは、別の言葉で言うと「猫っ可愛がり」であり、本来は、適切な愛情表現や健全な関係とは言えない関係性のことを言いますよね。


それを考えると、従来型の異常接触のほうが溺愛タグにはふさわしいかのようにも思えてきます。いま人気ないですけどね。かつての勢いが嘘のようです。


累計20万pt以上の「溺愛」作品は本日12作品ありました。その殆どが従来型で、初回掲載が数年前の作品です。5万pt以上で166作品、1万pt以上が1,048作品。斜め読みすらすぐには終わりません。かつては、こんなに投稿され評価されていたのですね。驚きです。


余談ですが、現在累計20万pt以上の作品は、全ジャンルですと190ありました。「溺愛」だけで約6%です。ポイントは近年の作品のほうが多く獲得しておりますので、実は全期間を通じて本当に人気だったのかどうかは不明です。



しかし時代はリアリティ重視。筆者がせいぜい「ほのぼの」だと思っていた関係性ですら、「溺愛」と感じる方が多いらしい。


いやむしろ、普通でリアリティのある、信頼高めな夫婦や恋人の様子を描いたつもりなんですけどもねぇ。今回かるく調べた結果、筆者のまわり、現代基準では溺愛だらけだという、知らなくてもいい情報を得ることができたので、概ね満足です。


寝たら忘れる程度にどうでもいいことって、大切ですよね!



附録: 小説家になろうに於けるキーワード「溺愛」


1○取得可能な最古の作品数

2004/4/1-12/31は総数279、溺愛は0


2○キーワード溺愛の出現

2006/1/1-12/31は総数3,895、溺愛3

3作品ともにノンジャンルで全て現代日本舞台のラブコメ

確認できた各作品の溺愛要素は以下のとおり


●初回掲載2006/8/25 、人物紹介のみエタ

溺れるモノは愛にもスガル

作者:蜜屋

連載中(全1部分)

322文字

あらすじによれば、

> 彼女に寄る害虫は抹殺

初期型溺愛が予想されます


●初回掲載2006/9/28、連載エタ

水蜜桃の在処。

作者:林野雛子

連載中(全8部分)

13,672文字

全部を読みました

純文学風情痴小説でした。互いに溺れる男女。


●初回掲載2006/10/22、連載エタ

★青春ゲーム★

作者:水姫

連載中(全64部分)

108,663文字

第6話まで読みました

あらすじによれば、

> ヒロイン溺愛美少女

第3話

①主人公の親友の態度をヒーローが「熱愛」と発言

②親友の台詞

>「ストーカーじゃない!親衛隊よ!!」

③ヒーロー、ヒロインの手を引っ張って走る

> っていうか、手ー!!手、手、手ー!!

>何普通に握っちゃてるのォォォォォ!?



3○初回掲載2020/1/1-12/31に於けるキーワード「溺愛」

総数99,616

溺愛1,323

内訳=ジャンル別作品数

恋愛、異世界992

恋愛、現実121

恋愛以外210

1万pt以上186


★転記ミス修正に伴いせっかくなので最新版追加

4○データ取得2022/11/16 朝

2022/1/1-11/15は総数89,219、溺愛2,104

1万pt以上が

異世界257現実1恋愛以外15


1年間で見るとキーワードとしては増えてますね

今月、何があったのでしょう。

もう少し調べてみたくなりました。


異世界恋愛ジャンルは数が多いのでランダムに5作品のみ流し読み。印象としては従来型でも2020年初回掲載のものよりヒーローの行動が激しくありません。定番だった膝のせバックハグ髪キス餌付け軟禁の同時技ヒーローが0人でした。

意味が激変したと言うことでしょうか。


ジャンルはほぼ異世界恋愛のみ生き残っていて、恋愛以外だとハイファンはハーレムタグと併用で5作品ありました。それ以外の溺愛は家族や敵対カップルに関する要素でした。ジャンルによって「溺愛」の内容はかなり違うようです。




何種類かの視点でデータを集め出してしまいました。いろいろエスカレートして来たので掲載はここまでとします。調べ魔なので自重。世間はそこまで知りたくは無いのである。後日、なろう「溺愛」考古学を短編または連載で展開するかもしれませんが。


お読みくださりありがとうございます

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― 新着の感想 ―
何が言いたいのかわからん。 凋落としているのだから、「溺愛」作品の数が減ったと言いたいのか? それとも「溺愛」はこんなんじゃない!と言いたいのか? 頭にも締めにも結論がなく、とっ散らかっている。 論文…
[一言] 言葉の定義がかわったんだろうなあ 昔ながらのボーイ・ミーツ・ガールものでも恋愛に振り切れてる作品なら溺愛と定義する方たちがいるのでしょうねえ。多分それはいわゆるZ世代と呼ばれる方々だと推定…
[一言] 溺愛の概念崩れる……。 なんか流行や読者の志向や好まれる傾向って、割と早いペースで変わっていくんですね。 貴重な情報をありがとうございました。
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