1.森を出て冒険者ギルドに登録する。
連載は初めてなので実質初投稿です。
色々至らぬところがあるので読みにくいと思いますが、ご容赦ください。
今日から新しい人生が始まる。そう思うと高揚する気持ちを抑えることはできなかった。
俺は今まで森の中でクソ親父と暮らしてきた。幼いころに村八分にあい、森で暮らさざるを得なくなった。クソ親父は血はつながってないらしいがお節介で面倒を見てくれた。だがありがたいとはあまり思わない。自分のいうことを聞かないとすぐ暴れるような男だ。近寄りたくもなかった。森での身の振り方を覚えるひと月だけで十分だった。あとはひたすら苦行だった。逃げ出そうとしてもすぐ見つかってしまう。おかげで森で隠れるのは上手くなったが、とにかく感謝はしてない。途中から逃げるより無視したほうが楽と気づいてから無視するようになった。そして背丈が熊より1まわり小さいぐらいになったころ、何の気まぐれかクソ親父に森を出ることを許された。たまに面白そうな話は聞いてやってたのが効いたのだろうか。それとも足し引き算を覚えたのがよかったのか。とにかく都合がよいので森を出ることにした。
クソ親父から簡単な町での暮らし方を教えてもらった。まず町の門にいる人にカネ(模様が描いてる鉄みたいな板)を渡す。そして冒険者ギルドに入って仕事するとカネがもらえる。カネはたくさんためるとかっこいいものやうまい飯とか色んなものと交換できるらしい。他にもカネは稼げるらしいがやらかしてもどうにかなりやすい職業らしい。森で怪我したことない俺がそんなやらかすと思えないからとんだお節介だ。が、まあ楽なのはいい。寝るときはそのギルドの人に場所を教えてもらい、飯も同じ。とりあえずギルドのメンバーはなにをしてもそう問題ないがギルドの人は絶対ダメなんだと。ギルドの人はちょっと上等できれいな服を着ている人らしい。基本的に便利なギルドの人だが、ただある意味冷たいところがあるのでたまにどうしようもなく面倒な仕事や罠を振ってくるらしい。で何かどうしようもなく面倒になったら森の中に逃げ込めばいいらしい。森の中では追ってこれないし何してもどうにかなるから、と。クソ親父も多分このパターンだな、そうに決まっている。まあ俺はクソではないからそうはならんだろ。親父の説明はそんな感じだった。あと困ったことは昼にギルドの人に聞けばたいてい教えてくれるらしい。しぶったらカネを渡せば教えてくれるそう。多少の面倒事もカネを渡せばどうにかしてくれるらしい。
そんなこんなで町についた。町は石の壁に包まれていて金属で体を覆った(あとで知ったが鎧というらしい)人が門番だった。来る途中でたくさんの人同士で殺し合いをしていたがそいつらと同じ格好だった。クソ親父に言われた通り門を少しかがんで入り門番に町に入れてもらう。
「この街にきた目的を答えろ、あと持っているものを出せ」
と門番がいったので
「冒険者ギルドに入るため」
と答えカネを渡し、持ってきた袋の中のナイフ、ロープ、器、でかい布、残りのカネを見せると何故か少し警戒するような目で
「冒険者ギルドは正面を道なりに行き、右手の派手な色の建物だ。くれぐれも町の人間に迷惑をかけるなよ」
と言ってきた。なんのことだかわからないが元から問題を起こす気はない。
冒険者ギルドに入ると奥のほうに確かに俺やクソ親父の服より立派な感じで、あとすらっとした人がいた。多分彼らがギルドの人だろうと思いギルドに入りたいというとすぐに対応してくれた。スムーズに手続きをしてもらい冒険者の仲間入りをした。仕事は隣国との戦争(町に入る前に見た殺し合いのことらしい)の手伝いか指定されたモンスターを殺してきて、解体して素材を持ってくることがメインらしい。あとギルドの依頼をこなすのもあるらしいが冒険ランクが低いうちは関係ないらしい。ちなみに今の俺は最低のEランクで最高は特Aランクらしい。あと町の人とはもめごとを起こしてはならないしなりそうなら相談してくれ、とかただ冒険者同士なら自分でどうにかしろ、そういうもめごとは何があっても誰も守ってくれないから無茶するな、とか色々話された。そんなこんなで説明を聞きついでに飯屋と宿を教えてもらい出ようとしたときだった。柄の悪い男に絡まれた。
「おい、あんた、新入りか?」
「そうだ」
「なら金を払え、そうしないと痛い目みるぞ」
俺より頭2つぐらい小さい男はそう言ってきた。確かに男は町の他の人より大きくその腕っぷしでやりたい放題やってきたのだろう。そういうのは多いとクソ親父も言っていた。関係ない話だが森の外に出ると人の小ささに驚く。俺の腹ぐらいの背丈の人がほとんどだった。おかげでかがまないと話が聞きにくいのが少し面倒だった。
「いやだね。あんまりカネがないんだ。ギルドの人によるとあと1週間町で暮らすのにやっとらしいんだ。それに得しないしあんたみたいのに俺のものを渡すのもまっぴらだ」
「てめえ、なめてんのか!つべこべ言わずにだすものだせ!」
面倒だ、冒険者同士だしべつにいいか。
そう思った俺は男に一歩近づき、脳天に一撃叩き込む。手のひらの付け根を上から叩き込んだ。熊には少しよろめくぐらいだったが盗賊は皆これで死んだ。ただクソ親父はマジ切れして殴り合いになったくらいだったから冒険者に効くか試してみたかった。いつかやろうと思ってたがこんなはやくチャンスが来るとは。
めき、っと音をたて頭蓋がへこむ感触がする。俺は少し拍子抜けてしまった。こんなに弱いのにからんできたのか。残念に思いながらその場を後にした。腹がすいたから飯屋に行きたかった。先ほどの男のことはもう忘れていた。町の飯はパンというのが出てくるらしい。草と肉ぐらいしか食べた記憶がないから少し楽しみだ。
次の日、冒険者ギルドで仕事を貰うとき少し怒られた。今回は男の財布から取ったが次殺したら死体の処理料を払えとかなんとか。二週間分ぐらいの飯と宿代だったので次は森まで運んでやろうと思った。