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忘却の彼方への旅  作者: JunJohnjean
第13章 帰国
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宇宙船フライングバード



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 映画の銀幕に信太は宇宙空間を航行する巨大な宇宙船「フライングバード」を間近に見る。次にマクラン星全体の映像が船内操縦室の長方形大のスクリーンに映し出され徐々に惑星は拡大映像される。その時、雲の上に人工的な機体と思える影が横切って行くのが見えた。

「雲の上に機影が見えます。」とクルーの一人が船長に言う。


 しかし、フライングバード以外に他の機体は近傍に確認されない。

「機影が見えるのに本体が見当たらないです。」

「この機影からするとマクラン星に送った我々の無人探査機だ。それに間違いない。」と船長が告げる。

「まるで幽霊船のように雲の上を漂っています。」と他のクルーが不安を抱いて早口に言う。

「今回の任務は何か嫌な予感がする。」と呟きにも似た声でクルーの一人が言う。

「言葉を慎め。」と船長。

「船長、申し訳ありません。」と二人のクルーが口を揃えて謝罪する。

「我々の任務はこの惑星にある建造物が人工のものであるかどうか確認することだ。調査を終え次第、次の任務地へと向かう。」と船長はクルー全員に伝える。


 船長を含む五人のクルーが下降艇に乗り込み、フライングバードを離れ、大気圏に突入。その後、乱気流に巻き込まれ機体と操縦室前方の風防から見える外の景色が左右に大きく揺れるので、その度に館内の観客もからだが自然と左右に揺れ動くが信太もその例外ではない。下降艇は目的地点に軟着陸した。二人のクルーが艇内に待機して三人が宇宙服を着用し船外へ。惑星面車に乗って山を迂回し、切り立った崖下近くまで走行すると徐々に岩壁に門構え風の外観が見え始める。緩やかな坂道を上り洞窟の入り口前に行き着く。この入り口は縦に長方形型で四隅がきれいに削られていることから人工的に手を加えられたことは間違いない。高さは大よそ十五メートル、幅はその半分ぐらいで奥行きの程はまだ分からない。

「惑星面車はここに残しておこう。」と船長。

「船長、ファサードに文字もなく、絵模様もありませんし、彫像も一切、見当たらないです。」とクルーの一人。

「誰が一体、何の目的で造ったのか疑問です。」ともう一人のクルー。

「なぜこのような人工物を作るに至ったのか今のところ分からないが、とにかく洞穴に入ってみるとしよう。」

「はい。」と二人のクルーが応える。

「降下艇!我々のヘッドカメラからの受信映像は良好か?」と船長は艇内のクルーに確認する。

「至って明瞭です。」


 入り口から数十メートル先のところは光もなく暗闇である。ヘルメットライトを点灯させ洞内を少し進んだところで、急に巨大な空洞が出現する。手持ちの前面照射ライトで前方を見ると壁で塞がれている。又、上方はかなりの高さがあるのか、光が届かない。

「ここで行き止まりのようだ。さほど奥行きがない洞窟だ。」と船長。

「船長、左右の壁に比べて前方の壁は驚くほど滑らかで平らですが、絵のようなものが見られます。」

「壁は赤褐色だと思いますが、その上に白と青で無数の動物のようなものが描かれています。」ともう一人のクルーが言い足す。


 確かに動物が描かれており、中には直立したものもいる。口内に牙を有し、三対六脚だ。体長は二十センチぐらい、大きいもので三十センチぐらいのもある。


 その時、壁絵の動物が少し動いたかのように見えた。最初はライトのせいであろうと思われたが、実際、左右前後に動いているようなのだ。

「もう少し、壁に近づいて調べてみよう。」と船長。

「奇妙です。これら動物は壁に閉じ込められているのか、まるで檻に入った動物のようです。」

「空間ではなくて平面に生息する動物。そんな生き物がいるのでしょうか?」とクルーの一人は言って、ライトを近づけて照らす。

「それ以上、近づくな!」と船長は制して、「クマコという生物が宇宙に存在すると聞いたことがある。真空でも生きていけると言われている。二次元の世界でも生きていけることは充分に考えられる。」

「クマコ?」

「ガツガツ虫とも言われる。ガツガツと人間の髪の毛を除いて骨や歯までも食うからだ。」

「そんな生物がこの世に存在するなんて!」


 そうこうしているうちに、この動物は壁から抜け出そうともがいているように見える。

「船長、クマコの頭が壁からはみ出して来ているように見えます。」とクルーの一人が青ざめて叫ぶ。


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