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忘却の彼方への旅  作者: JunJohnjean
第5章 ベーダ星
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不条理の世界 ー タッジの苦悩




 先のグループ長は新たな職務を遂行するために配置換えとなり、彼の代わりにシュッヘがグループ長に任命される。彼は足繁く宮殿に通い会議終了後、久しく臣下の側近と談笑するのを栄誉とし彼らに時間を惜しまない。側近の一人がシュッヘを賛嘆して言う。


「かなり教育の成果が上がっているようですな。この間もエルク星からメッセージがあって、既に第三次移民団を組織しているそうな。」

「有難うございます。これも教師らのお陰なんですが、特にタッジというものが近頃、私に意見することが多くなりました。」とシュッヘが応える。

「どういうことですか。」

「前も、私に上層部のみに目を見やって現場の仕事にあまり興味がないと言うのです。私は逐一、先のグループ長に報告しているのですが、、、」

「それはタッジ君とやらに一理あるかも知れないが、君は多忙の身だ。教師という職務は免除されている。君の立体浮遊映像は何も教育現場だけではなく、この宮殿でも大いに役立っている。タッジ君があなたの努力を認めないのは、どうも合点が行かないね。」

「そうなんですが、私も彼の授業を参観したりと一応、努力を惜しまないのです。」

「それだけやってくれているなら、後は上層部に報告のみが大事ですな。」

「そう思うのですが、まだ私の努力が至らないのでしょうね。」


 シュッヘは腰が低く、万事考慮した上でこういった話を側近にするので、いつの間にか、タッジは上役の言うことに盾を突くやっかいな教育者という烙印を押されるようになる。


 ベーダ星の慣行では、部下は位階制により上役に逆らってはならないのである。とにかく宮殿でこのような私的会話があるとはタッジは夢にも思ってみないことである。しかし、この側近とシュッヘの立ち話を通りがかりに偶然聞いたのが、彼が初めて宮殿に上がった時、一瞬の間、目に止まった先の天女なのである。



7(1)


 シュッヘの行動は益々、エスカレートして行く。


 彼は上層部の人たちと頻繁に会ってそれを足がかりに結局、先のグループ長を飛び越え教育界の重鎮に至る。その上、彼を世話してくれた人が邪魔になれば、失脚させるのにあらゆる手段を講じる。つまり、彼の野心を阻むものはすべて、障害物なのだ。支配欲が彼の心を蝕み始める。こういった心は本人は意識しないまでも、歯止めがかからなくなるものだ。


 当然、先のグループ長を悪し様に言うし、タッジへの陰口も憚らない。それも巧妙な手口だから自分は悪者には見られない。又、彼自身の自慢話は極力避けて、いたらなさを嘆く。彼を哀れに思ってくれと言わんばかりである。先のグループ長もタッジも彼の被害者なのに、まるでシュッヘ自身が被害者のように振舞う。被害者が加害者になり、加害者が被害者にという構図なのだ。


 最近、教授の集まりということで代表者会議が初めて開かれたが、タッジは古参であるにもかかわらず、除外された。彼の後に教師になった人らが彼を通り越して選出されるのである。これほどの意地悪があろうか。


 こうして、タッジはシュッヘの言うことを聞かない偏屈な男だという理由で上層部は彼を隅に追いやる。結局、彼は異端者扱いされ、村八分同然に遇される。当然、彼自身、罪悪感に苛まれる。これら讒言、誹謗、中傷による迫害に彼は耐え得るであろうか。

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