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忘却の彼方への旅  作者: JunJohnjean
第4章 タッジとシュッヘ
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恒星ベガ ー 地球から25光年の距離



3(1)


 ベガは恒星で幾つかの惑星を従わせている。その中の一つの惑星が地球と似た環境にあるが、地表の温度は寒い時でマイナス百度近くに達する。この惑星は地球の大きさの二倍。又、地球の衛星である月は一つしかないが、ここでは、二つの衛星が惑星の周りを外と内にそれぞれ楕円形の軌道を描きながら周回している。


 この惑星の住民は移動には事欠かないし他の惑星に移住するが、常時、数千人を維持している。大半は地下に居住するが、地上にも少数の住居が散在する。地下水が豊富で地中に幾重にも河川や支流があり、幾つかの湖もある。又、火山が活発化することもあるが、マグマの色は地球と違って青である。主要なエネルギー源は水力である。海洋の占める割合は惑星の表面積のほぼ八〇パーセントであり、海底にはメタンハイドレートが豊富に存在する。しかし、採掘の必要はない。なぜなら、人口が少ない上、余分なエネルギー源を必要としないからである。又、人工衛星に巨大ソーラーパネルを建設し地上にエネルギーを送電する計画が立てられたが、マイクロ波、電磁波の人体、及び、電子機器に及ぼす影響が懸念され、保障を得るまでは延期されている。同様に原子力発電も考えられたが、人的エラーによるリスクを避けるため、これは破棄された。住民は科学の進歩は歓迎するが、不測の事態を憂慮したのである。又、彼らの科学は大量破壊兵器を作り出すレベルにあるが、火器は芸術や祭典用にのみ供され、戦闘用のは放棄されるに至った。


 特筆すべきは生命科学、遺伝子工学、バイオテクノロジーと言われるものの発達である。道徳教育に関しては次の言葉に要約され得る、つまり、「よく働き、万民に尽くせよ」。すべての住人は仕事に精進し、天帝の娘である織姫も機織りに余念がない。幼児教育の時期には音楽、美術(図画工作)が強調され、幼少期に入ると基本的な科学と初歩的な文学を学び始めるが、科学というのは中立で両刃の剣ともなるとも教えられ、万人を利するも利さないも人次第と習い、又、科学は住民のためであってその反対ではないと教えられる。哲学的思考法は因果関係を基調とする。善い原因を作れば善い結果を生むという単純なものであるが、この思考法は万人に受け入れられ易い。すべて教育は自己開発に向けられる。一人たりとも落伍者を出さないというのがモットーである。


 この惑星に天帝は宮殿にお住まいである。宮殿の外観と言えば、石柱やバルコニーなどをイメージするが、この宮殿は円盤型の簡素な灰色の建物で窓も見当たらない。しかし、建物内は七種の宝を基調として装飾されている。臣下とその側近がおり、多くの天女を従わせている。天女の衣は五つの色を基本にその後、二つ加えられ、赤、黄、白、黒、青、緑、紫の七色である。しかし、色が違っても階級はない。一つひとつの色が個性を表し、ここではすべての人が重要な役割を演じ果たす。このようにして円融無欠なのである。


 織姫もよいお歳になられ天帝は婿探しをお始めになられた。父親というものはどこの世界も同じで、娘をいい男に嫁がせようと奔走する。そして、彦星をお見つけになられたのであるが、二人の愛が余りにも熱烈であったので織姫は機織りも忘れられ物思いに耽られることが多くなった。この態度が天帝の逆鱗に触れ「二人は天の川の東と西に別れて暮らすがよい」と裁断を下され織姫と彦星を離ればなれにした。その後、織姫は仕事に手が付かず、一日中、泣くばかりであった。天帝はほとほとに困り果ててしまわれ、一年に一回の逢瀬をお許しになられた。しかし、織姫はただ彦星と別れ別れになったことだけを嘆いたのではない。お父上の怒りに何か不自然なものを感じ、その上、不吉な予感がしたのである。


 天帝は数百年もの間、この世を治め大変な人望があったが、この事件を機に天女の振る舞いに変化が起こった。天女らが他惑星に行くようになり、将来の新郎を連れ帰って天帝に紹介し、婚約のお許しを得るという申し出がこの所、頓に増えた。


挿絵(By みてみん)

恒星ベガ ー おりひめ星、織女星しょくじょせいとも言う

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