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オークとの戦い

教えてロッキさんを起動してオークについて検索してみる。


オーク

 簡単に言えば二足歩行している猪です。腕力はオーガと同等ですが、厄介なのは針金の様な体毛と分厚い表皮。鉄の短剣なんかじゃ、まともなダメージを与える事は出来ないと思います。ましてや木の弓なんて蚊に刺された程度でしょう。

 でも。森野さんなら倒せる筈。ちなみに次回はインスタントラーメンピックアップガチャですよ。

 ……カップなのか?それとも袋なのか?どっちも食べたい。

俺は今後の参考にする為にオークを見に行くだけだ。そう、見るだけだ。やばいと思ったら逃げれば良いんだし。


「主、まさかオークと戦うつもりじゃないですよね?駄目ですって!オークは物凄く鼻が良いんですよ!」

 セットが必死になって止めてくる。まあ、猪なら鼻が良くて当然だ。


「犯人を特定するには、現場検証が大事なんだぞ。大丈夫、やばそうなら逃げるし」

 オークがいなくならないうちに、魔操方で駆け付けなければ。待ってろ!インスタントラーメン。


 うん、笑えない。オークは2M近い巨体で、丸太みたいな棍棒を持っていた。

 ゴブリンの巣があるのは、街道から三mほど森に入った所だ。

 そこに座り込み、高いびきをかいて寝ている。強者の余裕ってやつだろうか。

(おかしい……ゴブリンは臆病な魔物だ。こんな人目に付く所に巣を作る筈がないんだが)

 詳しく、調べたい所だけど巣の前にはオークがいる。つまり、オークを倒さなきゃ、巣を調べられないのだ。

(まともに戦っても勝てないか……うん?あれは)

 俺の目に飛び込んで来たのはピンク色の花を付けた小さな木。葉は竹に似ている。


「主、あれはポイズンオリンダ―ですよ。毒がある危険な植物です」

 流石セット植物に詳しい。俺が目を付けたのは、日本でいう夾竹桃だ……しかし、毒夾竹桃って、やばい物があるな。流石は異世界。


「ああ、俺達にとって毒って事は、オークにとっても毒って事だろ?セット、悪いけど蜘蛛の巣を探して来てもらえるか?」

 俺の言葉を聞いたセットは一目散に森の中へ消えて行った。セットが戻って来るまで、下準備をしておく。

 まずは木の矢の矢じりを切り落とす。次に夾竹桃の木を薄く削って、おが屑状にする。それを丸めて服の切れ端で包んでいく。


「主、向こうにトラップスパイダーの巣がありました」

 意気揚々と進んで行くセットに付いていくと、そこにいたのは子犬位の大きさのある蜘蛛。異世界半端ないっす……巣に小鳥が掛かっているんですけど。絶対にモザイク必要だぞ。


「巣を少しだけ分けて下さいって言っても通じないよな」

 下手に近付いたら、逆に俺が捕まってしまいそうだ。異空間から棒手裏剣を取り出し、トラップスパイダーに狙いをつける。

 蜘蛛って生命力強いんだな。棒手裏剣はトラップスパイダーの腹に突き刺さったけど、まだ生きていた。それどころか足を高々とあげて威嚇をしている。


「主、トラップスパイダーからも魔石が取れますよ。憎き蜘蛛を倒して下さい」

 ナナフシのセットにしてみれば、蜘蛛は不俱戴天の仇。かなり感情がこもっている……それとトラップスパイダーって魔物だったんだ。

 ショートソードでトラップスパイダーに斬りつける。狙いは頭部と腹部のつなぎ目。


「さてと、さっそく蜘蛛の糸をいただくとするか」

 矢じりを切った矢に、さっき作った布玉を結わえる。そして布玉に蜘蛛の横糸を絡めていく。


「あ、主、本当にオークと戦うのですか?」

 怪しい痕跡がないかきちんと調べておきたいのだ。


「証拠がないと、犯人を追い詰められないからな」

 トラップスパイダーの糸が余ったので、木に巻き付けて異空間に収納しておいた。


 ありがたい事にオークはまだ眠っていた。掃除魔法を発動させ、逆風を身にまとわせる。これで俺の匂いに気付くまで時間が掛かる筈。少し臭うが服の切れ端を水で濡らして口を覆う。


「主、立ち去ってから調べれば良いじゃないですか。オークが起きる前に姿を消しましょうよ」

 セット、すまん。俺はどうしてもインスタントラーメンが食べたいんだ。


「セット、死にたくなかったら、俺から離れてろ」

 セットが離れたのを確認して、息を止める。ここからは時間との勝負だ。

 着火魔法でポイズンオリンダ―に火を付ける。生木の為、直ぐには燃えず、煙が上がり始めた。

 狙うのは、オークの下腹部……見事命中、矢はオークの服にへばりついた。


「なんだ……餓鬼か……俺様の眠りを妨げるとは、良い度胸をしているな」

 自分に掛けていた掃除魔法を解除。オークの鼻辺りで空気が滞留する様に風を操作する。


「ぼ、僕じゃないです。怖い猟師さんに脅されて、つれてこられて……」

 怯えたふりをしながら、涙を流す。昔から嘘泣きは得意なのだ。そのままうずくまり、オークの出方をまつ。

(おっ、手頃な石があるじゃないか。ちょいとデカ過ぎるが、魔操法を使えば問題ないな)


「俺はワイバーンに棲み処を追われてムカついてるんだよ……なんだ、この煙は息が苦しい」

 ポイズンオリンダ―の煙を吸い込んだらしく、オークが喉を抑えながら苦しみ始めた。

 俺が目を付けたのは、一抱えはある大きな石。それを持ったまま、木の上に飛び移る。


「防御力が高過ぎるってのも、考え物だな。でも、この高さから石を落とされたら、痛いじゃすまないよな」

 矢じりの代わりつけた布玉では、蚊に刺された位の痛みしか感じなかっただろう。そしてデカい腹が邪魔して、布玉が見えない筈。

 お陰でオークは毒煙を思いっきり吸い込んでくれた。

 でも、暴れて布玉が外れてしまったら、形勢が逆転してしまう。だから、俺は木の上からオークの頭目掛けて石を落としたのだ。

 オークが動かなくなったのを、見計らってゴブリンの巣を鑑定する……やっぱり、そういう事か。


「主、オークを倒したのですか?流石です」

 セットは大喜びだけど、俺は手放しでは喜べない。高ランクの紋様を持った奴等なら、集団のオークでも悠々と倒せるだろう、でも、俺は策を弄して、なんとか一匹倒しただけだ。

「なんとかな……それと、面白い事が分かったぞ。このゴブリンの巣は人間が作った物だ」

 臆病なゴブリンが、こんなに人の匂いがプンプンする所に巣を作る訳がない。それに街道から近いと言っても、三mは離れている。偶然、少女がゴブリンに連れ去られた所を見つける確率なんてゼロに等しい。

 

「それでは主、そいつらが犯人なんですか?」

 セットの言う通り、犯人は例の二人組だ。ゴブリンに罪をなすりつけていたんだ。

 でも、残念ながらオークの重みの所為で、碌な証拠は残ってなかった。


「多分な。アイさんをさらうのを失敗している。だから呼び出して、連れ去る手口はしばらく控える筈だ」

 つまり、またゴブリンの犯罪に見せかけた手口を使ってくるだろう。


「しかし、ついこの間失敗したばかりなのに、またやりますかね?」


「やるさ。予定していた商品じょせいが入荷しなかったんだ。奴隷商から、矢の様な催促が来ている筈だ」

 一度甘い汁を吸った奴は、我慢出来ないもんだ。それに追い詰められた奴は、自分に有利な展開にすがる。

 なにより、今インスパークにはスノウさんがいない。エレナさんに罪をかぶせる絶好のチャンスでもあるのだ。


 ありがたい事にオークの毛皮と牙は高値で売れた。その金で、少し高めの飯屋で食事を済ませた。

 場所は俺が泊まっている連れ込み宿の近く……そう、奴らの縄張りだ。

 案の定、チンピラみたいな二人組が俺の後をつけてきている。ここに来た日に、宿屋の周辺を歩き回って、地理は把握済みだ。


「よう、坊主。随分景気が良いな。俺達にも分けてくれないか?」

 鑑定してみたら、紋様ランクは二人ともD。スキルは盗みと短剣チンピラ級。そりゃ、誘拐の片棒も担ぐわな。

 無言のまま、近付き腹を殴りつける。その際、相手の目を見て俺の顔をしっかり覚えさせておく。


「兄貴!……ぐへっ」

 驚いている隙に、もう一人を投げ飛ばし、そのまま路地裏へ。


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