眉
朝のラッシュ時の電車の中。
いつものようにドア付近で吊り革に摑まって立っています。
ドアの横に貼ってある大手美容サロンの広告の美しい女性が微笑みかけてくれます。
「かわいいなぁ。
こんな娘と、どこかに遊びに行けたらいいな。」
なんて思いながらうっとり?と鼻の下を伸ばし眺めていると、何か違和感が沸々と。
「あれ?
この娘、眉毛がふさふさしている。」
周りを見渡すと、丁度、年配の女性の方が多く、皆、眉毛が書かれたように綺麗に揃っています。
書かれた?
そう、ごめんなさい、綺麗に書かれている眉毛を見慣れていたので、その広告の女性、その女性も綺麗に切り揃えてはいるのでしょうが、車内の女性に比べてボリュームが、そう“こんもり”していて、それが違和感の原因です。
以前、会社勤めをしていた母親が、朝、会社に行く前に化粧をしている時、たまに眉毛のない顔(?)を見せ、その都度、私は驚いていました。
「何を驚いているのよ、いやーね。
いつまでも若くないから、女の人って大変なのよ。」
と笑いながら眉毛を書いていたのを思い出します。
その時は何を言っているのか、眉毛がどう関係するのかわかりませんでしたが、歳を重ね、会社勤めが長くなり、周りに女性の社員の方がいると、その時母親が言っていたことがだんだんと分かるようになってきました。
「何よ。
周りに綺麗な女性がいた方がいいでしょ。
そのために苦労しているんだからね。
感謝しなさいよ。」
どこからかそんな声が聞えた気がします。
「ははー、おっしゃる通りです。」
と心の中で感謝を言ったりして。
明日も同じ電車に乗ろう。