貼り付き虫
朝のラッシュ時の電車の中。
途中駅で、ドアが閉まったのに電車がなかなか発車しません。
私を含め車内の乗客はちょっとずつイライラ。
少ししてやっと電車は出発します。
そして出発が遅れたことのお詫びのアナウンスが流れます。
「先程、ホーム上電車に貼り付いているお客様がいらっしゃったので、この電車、3分程遅れて発車いたしました。」
「え?貼り付いている?
「なに?」
車内はどことなくザワザワ。
遠距離恋愛の男女が離れるのが嫌で、電車を止めた?
そう言えば。車掌さんの面白アナウンス集にそんなことが書いてありました。
たしか…。
「遠距離恋愛のお客様が、別れが惜しくてドアに貼り付いていました。
恋は盲目、二人の熱い想いに電車も動けなくなりました。」
だっけな。
少し脚色が入っているかと思いますが“遠距離恋愛のお客様”は確かです。
気の利いた車掌さんのアナウンス、いいですよね。
面白くて、ついイライラが飛んでいきます。
今回の“貼り付いた人”は一体どうしたんでしょう。
やはり、恋人同士?
「ジュテーム」と言いながらドアを挟んでチュッでしょうか。
それとも、生き別れた姉妹が偶然の再会。
でも、無情にもドアが閉まって。
「連絡するから、連絡先教えて!」
と、ドアで叫んでいるとか。
隣の女子高生も一瞬、参考書から目を離しました。
「おおかた、電車に乗りそこなって、ドアにくっ付いていれば開けてくれると思ったんでしょ。」
と言ったような。
「それ、正解!!」
明日も同じ電車に乗ろう。




