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窓は開きません

朝のラッシュ時の電車の中


季節は冷房も暖房も必要のない束の間のいい季節。

しかし、車内は人込みでムシムシしてきます。

以前だと、「窓を開けて換気に協力してください」というアナウンスがあり、こぞって窓を開けた記憶があります。

上手な車掌さんだと、「外はいい天気で、空気も気持ちいいです。窓を開けてフレッシュな空気を取り込みましょう」なんて言った車掌さんもいました。

きっと、車掌室の窓を開けて顔をちょこっと出し、風を感じていたんでしょう。


しかし、最近の電車は窓が開くのかわかりません。

昔は、上下に開く窓で、洗濯ばさみのような取っ手が左右に付いていて、それを挟みながら窓を開けたのですが。

そうそう、上下に開いたんですよね。

下の窓を開けると、座っている人に風が直撃。

長い髪の女の人の横だと、髪が顔にかかったり。

直接風に当たりたくない人、換気をしたい人は上の窓を開けます。

そうすると、立っている人も風を感じることが出来ました。

また、面白かったのは、昼間の電車でしたが、暑かったので窓を全開にして乗っていると、“ががーん”とものすごい音がして、何事かと思って車内を見渡すと軟式の野球のボールがコロコロと転がっていました。

電車がグラウンドの横を通った時に、ホームランボールが飛び込んだようです。

野球をやっていた子供たちは、さぞ記憶に残る出来事だったでしょう。

ボールを電車に持って行かれて。


今の電車の窓は、窓ガラスに矢印が付いていてOPENとシールが貼ってあります。

きっと下に押せば開くのかな?

でも、どうやって押せばいいのか。

試して見たくて恨めしそうに窓を見ている私。

「窓を開けなくても、空調が付くから大丈夫」

誰かが教えてくれた気がします。

その途端に涼しいか風が天井から。

自然の風じゃないですが、これでもいいや。


明日も同じ電車に乗ろう。

挿絵(By みてみん)


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