半身
朝のラッシュ時の電車の中。
乗換駅で電車を乗り継ぎます。
いつものように混んでいて、ドア付近に立つときは、皆、車内に背を向けて乗り込みます。
私も列の後ろの方だったので、乗り込む時は、ドアのところで身体を反転させて、背中から乗り込みます。
「え?」
今日は、私の後ろにも会社勤め風の男の人と女の人が並んでいました。
男の人は、リュックサックをダッコ持ちにして、準備万端でしょうか。
私が乗り込むと、男性は、片手でドア上の壁を掴むと、そのまま、身体を半身にして乗って来ます。
その状況は私の正面に身体の左側を私の方に向け乗って来ます。
当然、リュックサックが思いっきり私の邪魔になります。
ダッコ持ちマナーは人に迷惑のかからないようにのはずなのですが、その姿勢だとリュックサックがあたり、とても邪魔。
それと合わせるように、今度は女性の方がやはり半身で乗って来ます。
私の正面に右側を向けていて、私の腕に女性の胸が当たります。
「いや、痴漢に間違えられたらどうしよう。
つり革は?
ふさがっている。」
いつものようにパニックを起こしていく私。
ドアが閉まると、そんな私を後目に、私の目前で二人は悠々とスマートフォンを取り出し、操作を始めます。
丁度男性のリュックサックが私の前あり、おあつらえ向きの空間を作っていたのでした。
女性の方も、その空間に相乗りなのでしょう。
リュックサックが当たって痛い思いと、痴漢に間違えられると冷や汗をかいた私はだんだんと怒りが。
「あんたも、目の前が開いているんだからスマートフォンでもやれば?」
と二人が言ったような。
「馬鹿おっしゃい。
朝は助け合って一人でも多くの人が乗れるように詰めるのがエチケットというものです」
明日も同じ電車に乗ろう。




