トンネルの風景
朝のラッシュ時の電車の中。
最初に乗る電車ですか、乗換駅に付く前に、少し長いトンネルを通過します。
夜、周りが暗いと、明るい車内が窓に反射して、鏡のように見ることが出来ます。
トンネルの中も同じで、車外がトンネルで真っ暗になると窓に車内の様子が鮮明に映ります。
朝の通勤時間は、朝日で明るいので、トンネル以外は窓に車内は映りません。
なので、隣の人がどんな顔をしているのかとか、後ろに立っている人がどんな人なのか振り返ってみなければ見ることが出来ません。
例えば、横でスマートフォンに夢中になり、肘をぶつけてくる人、後ろで何をやっているのか、荷物をぶつけてくる人、様々です。
そんな時、顔でも見てやりたいなと思うこと、ありますよね。
そういう時、トンネルに入ると一網打尽に窓越しに見ることが出来ます。
「こいつかぁ!」って。
電車の中は狭い空間なので、そういう時でも、細部まで良く見えます。
目と目が合うこともよくあります。
まあ、目と目が合うと言っても、横一列に並んでいる状況なので、本当に目があったかどうかわかりませんが、気恥ずかしくなることもちょくちょくあります。
隣の女子高生も、いつも横顔、それも勉強していると髪が下がってほとんど顔も見えません。
今日は元気かなってたまに気になったりもします。
まれに前の席が空き、私か女子高生のどちらかが座れば顔を見ることは出来ます。
でも、まじまじとは見ることはしません。
だって、気味悪がられるじゃないですか。
何気なく“ちらり”と見て、元気そうだなって思うことくらいです。
「今日もお元気そうですね。」
「え?」
トンネルの中で窓越しに、いつもの女子高生に話しかけられた気がします。
窓をチラ見すると、女子高生も参考書から目を離し、窓を見ていて、一瞬、視線が合ったような気がしてドキッ!
今日は良いことがありそうな予感がします。
明日も同じ電車に乗ろう。




