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何食べる?

朝のラッシュ時の電車の中。


いつもと見慣れぬ乗客が座っています。

人が好さそうで、仲のよさそうな老夫婦がちょこんと座っています。

朝早く起きて、どこか遠出をするのでしょうか。

ワクワク感が2人からこぼれてきます。

おっと、そこで老婦人の方がリュックサックから何やらがさがさと取り出しています。

それは、アルミホイルに包んだおにぎりです。

きっと朝が早かったので、電車の中で車窓の風景を見ながら食べようと用意したのでしょう。

老婦人はにこやかに何かを老人の方に話しかけ、おにぎりの入ったアルミホイルを渡し、自分の分もリュックサックから取り出します。

電車は動き始め次の駅までは比較的空いているので、窓の外の景色も見えるでしょう。

二人は、楽しそうにおにぎりを食べ始ます。

しかし、次の駅からラッシュの混雑が始まることを二人は知らないようです。

電車が次の駅に停まると、ホームに並んでいる大勢の通勤客が見えます。

それを見て、二人の顔は驚きに変って行きます。

そしてドアが開き、一気に人がなだれ込んできて、その後、老夫婦の姿は人込みで見えなくなりました。

可哀想に、目的地に近づき車内の人がまばらになった時に食べればよかったのにと思ってしまいます。

私は乗換駅で老夫婦の乗っている電車を後にします。


すると、乗換駅のホームで今度は若い女性の会社員がおにぎりをゆっくり食べてます。

「ちょっと、何ゆっくり食べているの。

 電車、すぐ来るよ。」

喉の先まで出かかった言葉を飲み込みます。

案の定、電車がホームに入ってきました。

それまで、おにぎりを半分まで3口で食べていた女性は、顔付きが変り、一気に残りのおにぎりを口の中に押し込みます。

「一台見送って、ゆっくり食べればいいのに、のどに詰まらせないようにね。」

「んんん(詰まったぁ)…。」

声にならない声が聞えた気がします。


明日も同じ電車に乗ろう。

挿絵(By みてみん)

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