表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/59

下から上へ

朝のラッシュ時の電車の中。


乗換駅で乗り換える電車が、トラブルで遅延。

なかなかやって来ません。

駅のアナウンスでは10分程遅延しているとのこと。

朝の通勤時間帯、10分の遅延は大変なことになります。

ホームはいつしか長蛇の列。

駅のアナウンスも、途中駅混雑で、この駅に着いても乗れない場合があると声を枯らして説明しています。

「後の電車も続いているので、無理しないで。」と。

「はい、そうですか」と言う人はいません。


いよいよ電車が入って来ます。

私の乗るのはいつも後ろの車両。

ホームに入って来た電車は、前の車両からすでにぎゅうぎゅう詰めのようで、ドアに人が張り付いているのが見えます。

さて、乗れるでしょうか。

以前、会社の先輩に教わったことを思い出します。

「満員電車に乗るときは、下から上に押し上げるようにして押せば乗れるよ。」

「え?

 なんでですか?」

「人間は、両脚で踏ん張るじゃない。

 下から上へ押し上げると、脚が踏ん張れず、荷物のように押し込めるんだよ。」

そう言えば、私も以前逆の立場で、ドアから大勢の人が入って来て、下から上に持ち上げられ、何と電車の中で両脚が浮くという物凄い経験をしたこと思い出しました。


若い頃は力任せにできたでしょうが、果たして今回は。

電車のドアが開きます。

案の定、混雑の圧力でドアがなかなか開きません。

開いて人が出て、また、わーっとなだれ込みます。

その波に乗り「下から上、下から上」と呪文のように心の中で呟きながら乗り込みます。

「もう、私も君も車内に入っているよ。」

前の人が言ったような。


明日も同じ電車に乗ろう。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ