気にする人
朝のラッシュ時の電車の中
いつものようにつり革に摑まって立っていると、隣に40歳位の男性がスマートフォンで何かをしながら立っています。
隣の駅に着き、いつものように大勢の通勤客が乗り込んできます。
通勤客はスマートフォンを操作している男性の横にも押し寄せます。
そう、その男性のすぐ後ろにも立つことになります。
電車が動き出し、少しすると隣のスマートフォンで何か操作をしていた男性が、後ろを振り返ります。
「見た?」
そんなことを言いたげな目です。
当然、その後ろの人は「見てません」と言いたげにそっぽを向きます。
それから次の駅に着くまで、3回くらい、
「見た?」「見てません。」
「本当は見た?」「んにゃ、見てませんて。」
「見たでしょ?」「絶対に見てないって。」
そんな攻防があります。
そしてまた電車が動き出し、駅と駅の間で、回数はまちまちですが、そんな攻防が続いていました。
昔、「俺の後ろに立つな!立つと命がないぞ。」というような物騒なマンガがあったのを思い出します。
横で、いきなりっピストルを抜いたらどうしよう、いやナイフを抜いたらどうしよう、と全く関係のない私はなぜかドキドキ、ハラハラ。
しかし、スマートフォンの男性は気が付いていません。
眼が良くないのか、その男性はスマートフォンを目元から遠ざけて操作しています。
そのため、実は、スマートフォンの画面が横の私から丸見えだったのです。
「そんな気にする画面でもないじゃない。」
と私は思わず思ってしまいます。
「何を馬鹿な。これはとっても大事で、人には見せられないんだ。」
その男性は、そう言った気がします。
ならば、電車の中なんかでやらないで、家の中で操作すればいいのに…。
明日も同じ電車に乗ろう。




